セルフ・リライアンスという生き方

自立した個人として豊かに生きる。長期投資のメモ。

日本サステナブル投資白書2017が発行されました

会員になっているJSIF(NPO法人 日本サステナブル投資フォーラム)より、「日本サステナブル投資白書2017」が届きました。

機関投資家へのアンケート調査に基づき、ESG投資を中心とした日本のサステナブル投資市場の最新動向をまとめたデータブックです。

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3回目となる最新調査(2017年3月末時点)では、運用業界でのESG投資の広まりが数字に表れています。

・国内のサステナブル投資残高は136兆5,359億円
 2016年3月末時点の56兆2,566億円から約2.4倍に大幅に増加。

運用資産額全体に占めるサステナブル投資の割合は35%

運用手法別では「エンゲージメント」が約88兆円で最も大きい。次いで「議決権行使」「ESGインテグレーション」「国際規範に基づくスクリーニング」と続く。

スチュワードシップ・コードの普及、GPIFのPRI署名&ESG投資開始、SDGsへの注目の高まりなどが積み重なり、ESGが日本でも「ふつうの投資」になってきたことが分かります。

本白書の構成です。
- 第1章 機関投資家の動向
- 第2章 個人投資家の動向
- 第3章 エンゲージメントとスチュワードシップ
- 第4章 アセットクラス別の動向

第1章では、運用会社(三井住友信託銀行、ニッセイAM)の具体的なESG評価方法、ESGインテグレーション手法や、GPIFが採用したESGインデックス(MSCI、FTSE)の中味が詳しく解説されていてとても参考になります。

個人向け金融商品でいくと、サステナブル投資に区分される公募投信の中で、鎌倉投信の結い2101が純資産残高トップになったのが個人的にうれしいです。
鎌倉投信は、運用会社が個人投資家とのエンゲージメントを通じて、投資理念を共有している事例として紹介されています。

「今後は投資先企業に事業の社会性を問う立場からも、運用会社は1本の投資信託を長い目で育てる方向へ進むのではないだろうか。そして投資信託が着実に純資産残高を増やしていくためのポイントの一つが、個人投資家の共感であるならば、サステナブル投資との親和性が高いといえるのではないだろうか。」(p23より)

同感です。
広い意味でのESG投資やサステナブル投資の普及には、機関投資家だけでなく個人のお金や投資に対する意識の変化が必要で、そのために投資信託が果たす役割は大きいと思います。

第1章、第2章の一部は無料公開されています。全文は会員外の方でも有料で購入できますので、ぜひご覧ください。

日本サステナブル投資白書

 

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