セルフ・リライアンスという生き方

投資信託を中心にいい会社、いい事業にコツコツ長期投資。 社会とつながるソーシャルな投資や寄付も実践中。

コモンズ投信のコモンズ30塾(味の素・グローバル人事部長 高倉千春さん × 認定NPO法人マドレボニータ 吉岡マコさん)

コモンズ30ファンドの投資先企業からゲストを招き、対話を通じて企業の理解を深める「コモンズ30塾」。

今回は、味の素でダイバーシティを推進するグローバル人事部長の高倉千春さんと、産後ママのケア教室を運営するマドレボニータの代表で、第4回のコモンズSEEDCapの応援先でもある吉岡マコさんがゲストでした。

味の素 高倉千春さん(理事・グローバル人事部長)

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味の素は、社会的課題の解決を通じた長期的な企業価値向上のための取り組みをASV(Ajinomoto Group Shared Value)として体系化しています。

同社の統合レポートは非常に質が高く、GPIFも「優れた統合報告書」に挙げました。コモンズ30ファンドの投資先の中でも、非財務情報の開示やESG課題の設定などの取り組みレベルは最も高い水準にある会社の一つだと思います。

ただ、その一方でダイバーシティの取り組みは相対的に遅れていました。
そこで、外資を中心に人事畑を歩んできた高倉さんが4年前に入社。味の素全社のグローバルな人財マネジメントシステムを構築してきました。

高倉さんによると、味の素が扱う「食品」という分野は、国ごとのローカル性が非常に大きいので、人材の面でもローカルとグローバルをどう両立するかが課題だった、と言います。

可能な限り現地化しつつ、グローバルな一体感を高めるには、さまざまな国籍、宗教、文化的背景の人たちが「なぜ味の素で働くのか?」というフィロソフィーを共有することが大切です。それを形にしたのが、味の素版のCSVともいえるASVです。

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味の素グループ 統合報告書2017より)

そして、ASVを構成する社会価値、経済価値の両方を高めるには、「従業員の働きがい向上」が最重要と考え、全世界の社員約3万5千人に、仕事を通じて社会に貢献できているか?働きがいの実感があるか?といった項目を尋ねるアンケート(エンゲージメントサーベイ)も行いました。約8割がポジティブな回答でした。

高倉さんのリーダーシップのもと、「働きがいの実感」、「多様な人材の共創」、「自律的成長」という好循環ができつつあります。

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味の素グループ 統合報告書2017より)

働き方改革では、2020年を目途に7時間労働の導入を目指しています。
分かりやすいところでは、経営会議の簡素化や、サテライトオフィスの導入など、仕事のための仕事や、仕事でないこと(移動など)に充てるムダを削減しています。自由な働き方の手段をどんどん導入する一方で、社員ひとりひとりが自律的に動き、成果にコミットすることを促しています。

生産性が量や時間ではなく、質で測られる時代には、仕事中心ではなく、仕事以外(家族、趣味、コミュニティ・・)での居場所を見つけ、多様な人生を楽しめる人の方がより高いアウトプットを上げることができる、と高倉さんは考えています。今後の進展に期待です。

マドレボニータ 代表・吉岡マコさん

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吉岡さんは、東大の大学院で運動生理学を研究していた1998年に出産を経験しました。産後の母親をケアする制度やサービスのなさを痛感し、自ら団体を立ち上げました。2008年にマドレボニータはNPO法人化。今では、心身をケアする産後リハビリ教室などを毎年1万人の女性が受講しています。

「25歳出産時のボロボロ体験が『産後リハビリ』を生んだ」NPO法人マドレボニータ代表・吉岡マコさん | DRIVE - ツクルゼ、ミライ!行動系ウェブマガジン

マドレボニータは、産後のダメージ回復だけでなく、出産をきっかけに女性達を心身ともに元気づけ、ひとりひとりが本来の力を発揮できるようサポートしています。「マイナスをゼロにする」のではなく「マイナスをプラスにする」と表現されました。

吉岡さんは、先日JWLI(Japanese Women's Leadership Initiative)という、女性のチェンジメーカー育成のためのリーダーシップ研修プログラムで4週間ボストンに滞在しました。

自分の本質にじっくり向き合う中で、リーダーにはフィジカルな強さが一番大切ということを再認識したそうです。
「オーセンティシティ」や「オーセンティック・リーダーシップ」というキーワードも出てきました。誰もが本来的に持っている価値観や信念に根差したリーダーシップを発揮するには、心の強さとそれを支える強くて健康な身体が欠かせません。

吉岡さんの話は、また詳しく聞いてみたいです。

 

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コモンズ投信の渋澤健さんを交えた最後のトークセッションでは、企業、非営利それぞれの立場から、欧米人と日本人のリーダーシップやマネジメントに対してのマインドセットの違いや、これからの女性の働き方などについて議論。

吉岡マコさんの結びの言葉はとても印象的でした。
「働くことは社会とつながること。子どもが大きくなった今、働いてきて本当によかった。」

子育てに専念することももちろん一つの価値観ですし、人生の選択はひとりひとりに委ねられています。また、男性の育児分担や保育環境などさまざまな事情で、働き続けたくても仕事を辞めざるを得ない人がたくさんいることも事実です。

ただ、吉岡さんの「子育ては大変。だけど女性も絶対に働き続けた方がいい」という言葉や、高倉さんの「細くでもいいから、女性も仕事を辞めずに続けてほしい」という言葉には、お二人の経験に基づく確信がこもっていて説得力がありました。

これからキャリアを積もうとしている学生さんもたくさん参加していて、自分が参加した30塾の中でも、一番活気があったと思います。参加する人のダイバーシティ度が高いイベントは盛り上がります。

過去のコモンズ30塾の記事。