セルフ・リライアンスという生き方

投資信託を中心にいい会社、いい事業にコツコツ長期投資しています。 社会とつながるソーシャルな投資や寄付も実践中。

日立製作所から学ぶ「ダイバーシティ」(コモンズ投信・コモンズ30塾)

コモンズ30ファンドの投資先、日立製作所のダイバーシティの取り組みを聞きました。ゲスト講師は、日立製作所の人財統括本部・ダイバーシティ推進センタの武内和子さん。

【コモンズ30塾】日立製作所から学ぶ『ダイバーシティ』への取組み | コモンズ投信株式会社

コモンズ投信は、投資先企業との対話の一環で、過去にもダイキン工業や資生堂などのご担当者を招いて、同様のセミナーを開催しています。

コモンズ投信の日立製作所に対する視点

日立の武内さんの講演に先立ち、コモンズ投信・アナリストの末山さんから、コモンズ投信の5つの評価軸収益力・競争力・経営力・対話力・企業文化)の観点から、日立をどう評価しているか説明がありました。

※5つの評価軸のうち、収益力は財務面の「見える価値」、残り4つはコモンズが重視する「見えない価値」に対応します。

「収益力」では、ROEが8%を超えている点など、「競争力」では、IoTプラットフォーム「Lumada」、「経営力」では社外取締役に外国人を多数登用している等のガバナンス面を評価しています。

経営戦略としてのダイバーシティ

武内さんの講演では、日立グループがダイバーシティを推進する背景、具体的な取り組みをお話頂きました。

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日立グループは、連結売上約9兆円、グローバルのグループ従業員約30万人の超大企業です。情報通信システム、社会産業インフラなどあらゆる事業セグメントを持ち、現在は「IoT」を柱に事業を構築中です。なじみがある「家電」の売上は6%に過ぎず、売上の約半分が海外です。

その日立は、ダイバーシティを「経営戦略」と位置付けています。

ダイバーシティはイノベーションの源泉であり、日立の成長エンジンです。性別・国籍・職歴・年齢・性的指向・価値観といった違いを「その人がもつ個性」と捉え、それぞれの個性を尊重し、組織の強みとなるよう生かすことで、個人と組織の持続的成長につなげることが日立のダイバーシティ&インクルージョンです。」(日立サステナビリティレポート2016より)

右肩上がりの高度成長期は、効率化と大量生産が求められ、「単一性」「同質」が企業の強みでした。しかし、現在は、変化の激しいグローバル市場で、顧客ニーズに多品種少量で応えなければ生き残れない「多様性」「個別性」の時代となっています。
だからこそ、日立は、製品やサービスを生み出す人財そのものの多様性が、企業の成長には不可欠と考えています。

このようにダイバーシティをより積極的にとらえる発想は、日立に限らず、グローバルに展開する企業には共通して必要だと思います。

ダイバーシティは「プロフィール」ではなく「内面」「中身」

競争優位のための戦略として、トップの強いコミットメントのもと、さまざまな取り組みを進めています。

  1. 「人に仕事を割り当てる」のではなく、「仕事に人をアサインする」という人財マネジメントシステム(ジョブ型雇用システム)への転換
  2. 性別、国籍、年齢、障がい、LGBT・・・を含む全ての人財ミックスの推進
  3. 働き方の見直し、ワークライフイノベーション、管理職の意識改革など、多様な人財が能力を発揮できる環境づくり

日立では、ダイバーシティは何か一つに注力するのではなく、あらゆる施策を総合的に継続し続けることが大事と考え、1.~3.の柱を同時並行的にまわしています。

そんな中で印象に残ったのは、「プロフィール面にとらわれず、内面のダイバーシティを尊重すること」という武内さんの言葉。

ダイバーシティというと、とかく「女性の管理職が何%」「外国人が何%」「障がい者雇用率が・・・」と形式的な数字で評価しがちです。

それも大事ですが、ダイバーシティの本質は、
ひとりひとりをきちんと尊重し、活かすこと
プロフィールに関係なく、成果を出した人がきちんと評価されること
だと言います。

例えば、育休明けで時短勤務の部下と上司が、仕事の進め方についてしっかりコミュニケーションすることなどが身近な例として紹介されました。時短勤務でも意欲を失ったり退職せずに、その後のキャリア形成につながれば、個人にとっても会社にとってもプラスです。

この視点は、社会や組織の本質にもつながる部分で、非常に大事だと感じました。

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ダイバーシティは長い目で取り組むもの

日立というと、古い日本の大企業の典型のようなイメージを持っていたので、多様性を受容し、イノベーションにつなげようと取り組んでいるのは少し意外でした。
これだけの大企業で、実際に現場レベルまで含めた社員の意識を変えるには多くのハードルもあるでしょうし、時間もかかります。

参加者の質問にもあったのですが、ダイバーシティを進めたからといって、すぐに利益や株価に反映するようなものではありません。

しかし、サステナビリティや社会性の観点から企業は当然取り組むべきですし、10年、20年経った時に、企業の成長や業績の「見える化」につながっていくんだと思います。長期投資家は、短期的な業績数値ではなく、このような見えない部分をしっかり見ていく必要があります。

【過去記事】
資生堂、ダイキン工業のダイバーシティセミナーレポです。

今年3月のコモンズ投信の8周年イベント。