セルフ・リライアンスという生き方

自立した個人として豊かに生きる。長期投資のメモ。

IKEUCHI ORGANICのファンイベント(今治オープンハウス2018)に参加しました

6月2日に、愛媛の今治にあるオーガニックテキスタイルメーカー、IKEUCHI ORGANIC(イケウチオーガニック)のファンイベント(今治オープンハウス)に参加しました。昨年に続き2回目の開催です。

イケウチは、鎌倉投信を通じて知って以来ファンになった会社で、タオルも日々愛用しています。
2015年に、鎌倉投信の投資先をめぐる「いい会社訪問」ツアーで一度今治を訪問したことがあります。その時は、染色工場(インターワークス)の見学がなかったのと、全体的に短めだったので、もう一回行ってみたいと思っていました。

・当時の記事(2015.11.8)
鎌倉投信の「いい会社訪問」日本環境設計&IKEUCHI ORGANIC in 愛媛 参加レポ(その2)

当日の行程です。
11:30 松山空港集合 
⇒ マルブン小松本店(鉄板ナポリタンが有名なイタリアンレストラン)
⇒ インターワークス(染色工場)
⇒ IKEUCHI ORGANIC本社工場
⇒ ファンミーティング&懇親会(はーばりー)

2回目の参加者さんには、よりマニアックな別行程が用意されていました。

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染色工場見学(インターワークス)

インターワークスは、1992年設立。池内代表が、吉井タオルの吉井久さんから「お金は出すから最高の染色工場を作ってほしい」との声を受け、複数の企業が参画する協同組合で建てた工場です。

インターワークスのある西条は、四国山地(石鎚山)からの豊かな地下水資源に恵まれれています。一方、染色工程で出る大量の水の排水先となる瀬戸内海は厳しい水質基準があります。インターワークスでは自前で巨大な排水施設を設け、12ppm以下というきれいな水に浄化しています。イケウチの環境配慮のレベルの高さを象徴する工場です。

環境に配慮したものづくり|FACTORY|IKEUCHI ORGANIC 株式会社

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タオルの生産工程のうち、インターワークスは、糊抜き、染色、脱水&乾燥、幅出し、裁断、縫製の一部までを担当します。下記工程の11.です。

タオルができるまで|FACTORY|IKEUCHI ORGANIC 株式会社

基本非公開の工場でとても貴重でした。
※現地で撮影OKが出ましたが、イケウチ以外の商品も扱っているので、内部の写真は一部。

工場内では、染色から脱水~乾燥、裁断するまでの一連の作業を見せていただきました。

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タオルの色づくりを行っている開発室にもお邪魔しました。染料を組み合わせて、各メーカーの希望する色を出す作業です。過去の全ての色データを管理しているそうです。

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インターワークスの目玉である屋外の排水施設。
染色工場内にこれほど大きな水処理設備があるのには驚きました。いくつもの槽を通しながらバクテリアで浄化していくと、最終的に瀬戸内海に放流できるきれいな水質になります。
染色工場なのに鯉が泳げる水質とは聞いていましたが、私たちが行った際も鯉が顔を出してくれました。

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インターワークスから望む瀬戸内海。

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IKEUCHI ORGANIC本社工場見学

続いて、今治の本社工場に向かいました。社員さんの熱い歓迎で、みんなテンションが上がりました。

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設計担当・矢野浩次さん

まず、設計担当の矢野さんの話を伺いました。矢野さんの仕事について、「灯台もと暮らし」のインタビューです。

イケウチといえば、シンプルな無地のデザインが思い浮かびますが、最近は他ブランドとのコラボ商品を中心に、“今までのイケウチっぽくない”商品づくりにもトライしています。

矢野さんが紹介してくれたのが「フォトタオル」と言うジャンルのもの。2色の糸の組み合わせ(毛違い、ジャガード織)で、写真をプリントしたような独特なリアルなテイストを出します。「温泉むすめ」やビートルズとのコラボタオルに採用されました。

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今治のファクトリーストアのみのサービスで、ペットの写真など顧客の持ち込みデータをもとにオーダーメイドのオリジナルタオルも作っています。

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オーガニックな素材と工程にとことんこだわりつつ、常に新しいものに取り組むイケウチの一面が見られました。

温泉むすめ ジャカード織バスタオル|温泉むすめ×IKEUCHI ORGANIC

The Beatles × IKEUCHI ORGANIC

池内代表からも、最近の新しい取り組みを紹介頂きました。
発売予定の新商品や未公表の話がたくさんあって書けませんが、その中の一つはトレーサビリティの見える化の部分で、興味深いサービスを検討中です。

工場見学

グループに分かれ、工場内の見学に移りました。ご案内頂いたのは品質管理担当の曽我部さん。「灯台もと暮らし」から、曽我部さんの紹介記事です。

インターワークスに送られる前の整経、製織の工程と、生地が戻ってきてから最終製品になるまでの縫製、検品の工程を見せて頂きました。

糸をセットするクリールと糸巻き(ビーム)。

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次いで、大量の糸をつなぎ合わせ、織っていく製織工程。工場内には織機のガチャン、ガチャン、という音がリズミカルに響きます。実際に織機のスイッチを押す体験もさせてもらいました。

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今回のオープンハウスの記念タオルも織っていました。

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織機見学の後は、解反(かいたん)、縫製、裁断、刺繍等の加工、検品の工程を拝見。

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わが家でも使っているオーガニック120のバスタオルにミシンを入れている様子。

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細かい刺繍もこちらでされていました。

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出来栄えに問題のあるB品を抜き出す検品作業。商品はバンブー540です。

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最後に金属片など万一の異物混入をチェックするための機械にかけて、出荷となります。

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見学の後は、しばしフリータイム。

事務所2階の特設お買いものコーナーでは、未発表のレアな商品も含めた即売会で、みなさんどんどんお買い上げ。私もバンブー540のフェイスタオルなど買いました。

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テキスタイルメーカーなのに自然に置いてある食品ISO(ISO22000)の認証書。「赤ちゃんが食べても安全なタオル」を目指す、イケウチの安心・安全の証です。

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ファンミーティング

締めくくりは、今治港に面した施設「はーばりー」で、スタッフさんを交えて意見交換&懇親会でした。

まず、前回のオープンハウスからこの1年のトピックについて、イケウチの方々よりご紹介。

タオルメンテナンスの開始

まず、阿部社長より、SDGsの「つくる責任 つかう責任」の実現に向けて、以前から検討していたタオルメンテナンスサービスを開始するとの発表がありました。サービス詳細は今後詰めていくとのこと。

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実は、今回のオープンハウス参加者向けに、メンテナンスの体験サービスがありました。私も、事前に自宅のオーガニック120のバスタオルを預け、メンテしてもらったうえで受け取りました。ほぼ毎日、数年使っていますが、洗いを中心にメンテして頂き、風合いがかなり回復しました。

SDGsがブームっぽくなっていますが、口だけでなく本当に実践できている企業は少ないと思います。どんどん買い換えて(=捨てて)もらう方がメーカーは儲かりますが、それはSDGsの考え方に反します。日用品のタオルという商品でメンテに乗り出すのは、イケウチが本気で「持続可能なものづくり」を追求している表れです。また、われわれ消費者もこのようなサービスを通じて、むしろ、いいものを選び、長く大事に「つかう責任」を意識できるようになると思います。

コラボ商品の展開

続いて、池内代表より、ビートルズとのコラボ実現の経緯が紹介されました。
きっかけは、池内さんがもともと業界でも有名な超ビートルズフリークだったこと。繊維業界は環境配慮に欠けていると思われる中で、権利を持っているアップルが、IKEUCHI ORGANICのオーガニックに対する取り組みに共感してくれて、いつの間にか実現してしまいました。あのビートルズと同列に並んで商品化されてしまったのは本当にすごいことです。

今治タオル|The Beatles × IKEUCHI ORGANIC

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もう一つの最近の大きなコラボ商品が、イケウチのタオル生地を裏地にあしらった、アディダスの限定スニーカーです(すでに完売済)。
ストアマネージャーの益田さんが、前職の経緯で、アディダスが安心・安全なタオルを探しているという話をたまたまもらい、直接取引にこぎつけました。アディダスはサプライヤーに対する環境基準がかなり厳しいそうで、イケウチの強さが生きました。ちなみに、アディダスジャパンではなく、ドイツ本国のアディダスとのコラボいうのも相当ポイントが高いです。

IKEUCHI ORGANICのタオル地を採用したadidasスニーカーが発売!

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「金融排除」を書いた橋本卓典さんも先日言っていましたが、こうやってビッグネームから次々声がかかるのが、イケウチの環境配慮と品質が世界に認められている証です。

意見交換&懇親会

最後のまとめは、社員さんを交え、参加者同士でのグループディスカッション。
IKEUCHIとの出会い、IKEUCHIの好きなところ、今後IKEUCHIとともに作りたい社会・・・について話し合いました。

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参加者の中のお一人が、IKEUCHI ORGANICのことを「好きが循環している会社」と表現しました。イケウチのヒト、商品、われわれ顧客、そして取引先や地域・・・全てを端的に表している素晴らしい言葉と感じたので、記しておきます。

最後は、阿部社長の「笑顔をつくる会社になる!」との宣言で、イベントは終了。懇親会も盛り上がりました。

工程を詳しく見せてもらい、職人さんのこだわりや、タオルづくりのことをより深く理解できたというのはもちろんですが、ただ素朴に楽しかったですし、社員皆さんのホスピタリティに癒された一日でした。ありがとうございました!

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「はーばりー」から望むしまなみ海道。

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5月のIKEUCHI ORGANIC東京ストアでの「金融排除」トークイベントの模様です。今回のファンイベントでも強く感じたのは「共感」です。