セルフ・リライアンスという生き方

投資信託を中心にいい会社、いい事業にコツコツ長期投資しています。 社会とつながるソーシャルな投資や寄付も実践中。

鎌倉投信(結い2101)がホープに投資

鎌倉投信の結い2101が、マザーズ・Q-Board上場のホープを投資先に加えたと開示しました。
結い2101の投資先は63社となりました。

自治体の財源確保を支援するホープ

ホープは2005年創業の福岡の会社です。自治体の財源確保支援を中心に、自治体の課題解決に特化したサービスを提供しています。

主に2つの事業を展開しています。

・自治体の遊休スペースを活用した有料広告事業(DS:デッドスペースサービス
・自治体向けの無料冊子提供サービス(MC:メディアクリエーションサービス

デッドスペースサービス

売上の8割近くを占める主力が、自治体有料広告事業(デッドスペースサービス)です。
広報紙やHP、庁舎内、ゴミ袋、さらには職員の給与明細に至るまで、あらゆる自治体の遊休スペースを活用して、地元企業の広告を掲載します。自治体には広告収入が入り、企業には新しいマーケティングのチャンスが広がります。住民と自治体、地元企業をつなげる役割もあります。2006 年から 2017年6月までで、約 44 億円の財源確保に貢献しました。

デッドスペースサービスの生み出すメリット
(「デッドスペースサービス(自治体広告) | 株式会社ホープ」より)

メディアクリエーションサービス 

一方のメディアクリエーションサービスは、自治体と協働し、市民向けの専門情報冊子(子育て、介護、防災関連のガイドブックなど)を作成し無償提供するサービスです。製作費は地元企業からの広告掲載料でまかないます。自治体にとっては、経費節減をしつつきめ細かい情報提供ができます。「子育て ガイドブック ホープ」などで検索すると、多くの自治体でホープが採用されているのが分かります。

その他、広報誌をスマホアプリに載せる情報プラットフォーム「マチイロ」や、コンサルティングなど関連事業を展開しています。

ホープのビジネスモデルについては、下記のアナリストレポートも参考にしました。
ホリスティック企業レポート ホープ - 証券リサーチセンター(PDF)

すでに450件以上(2017年6月末)の自治体との契約があること自体が、取引実績が重視される自治体ビジネスではアドバンテージです。ニッチかつ参入障壁が高いビジネスモデルは、結い2101の投資先企業に多く見られる特徴です。

鎌倉投信のホープに対する視点

鎌倉投信は、「いい会社」の評価軸として「人」「匠」「共生」の3つを掲げます。ホープは、このうち「共生」の視点で評価しています。「共生」=「循環型社会を創造する会社」です。

同社の事業は「自治体に特化したサービス」というニッチな分野ですが、自治体の維持・改善は、社会形成の土台となる大切な要素です。最近は、ふるさと納税に注目が集まっていますが、鎌倉投信では、地域の自己財源の確保とその多様化が必要不可欠なものだと考えます。
(「結いだより」第95号より)

鎌倉投信の開示にあわせ、ホープのWebサイトでは、時津孝康社長と鎌倉投信の新井和宏さんの対談がアップされました。

鎌倉投信株式会社 ✖ 株式会社ホープ

鎌倉投信の考え方、なぜホープに投資したのか、新井さんが語っているので、受益者の方は必読です。

その中で、新井さんは、自治体の自己財源確保支援という事業はもちろん、ホープの「若さ」「エネルギー」「フラットさ」に触れています。若い会社ということで「鍛えがいがある」とも。
「社長と同じ志を語れる社員をどれだけ増やせるかが重要」ということで、時津社長が引っ張ってきた局面から、次の成長ステージを見据えて、人財育成にも積極的に関わっていくそうです。

これが普通のファンドならいつ売却するか分からないので、このような投資家と企業との関係は成り立ちにくいです。公募投信のファンドマネージャーが自ら人財育成に関わると公言することもまずないでしょう。
「いい会社」であり続けられるようサポートし、「いい会社」である限り持ち続ける鎌倉投信だからこそだと思います。

ホープの業績・株価

鎌倉投信は、過去の数字には表れない本質的な価値を見出して投資判断しているので、業績が話題になることはまずありません。新井さんもこう言っています。

会社に対して投資を検討するとき、最初はその会社の業績の数字はほとんど見ないんですよ。
業績は、基本的には「今まで」の結果です。投資に重要なのは「未来」なので、すでに生まれているものを見ても仕方がないんです。

自分も投資先企業の業績や株価はノーチェックなのですが、たまには、ということで見てみました。

ホープの過去4期の売上高・営業利益と、今期(2018年6月期)の業績予想です。同社は2016年6月上場なので、それ以前も含みます。
(単位:百万円)

f:id:shimo1974:20180211172940p:plain

f:id:shimo1974:20180213000753p:plain


2017年6月期は、売上微増の一方で、営業利益は23百万円と、前年(145百万円)から大幅減益となりました。今期(2018年6月期)は、売上高(2,338百万)は前期比+32%と大きく伸びる一方、営業損失▲176百万円と大幅赤字の予想です。

決算説明などによると、2017年6月期の減益は、企業向けの営業人材不足によるロスや、自治体側の広告枠仕入の競争激化によるものです。

今期は、体制強化のため採用予算の大幅アップや人件費増加など販管費増で赤字がふくらむ見通しです。人財採用・育成が進み、どう成長につながっていくのか要チェックです。また、売上の8割近くが有料広告事業なので、2番目、3番目の柱を育てるのも課題といえそうです。

チャート画像

上記はホープの2年チャートです。業績に引っ張られるかたちで足元の株価は弱含みで、上場来安値の水準にあります。

今の市場で評価されていなくても、長い目で見て社会に必要とされるいい会社を選び、持ち続ける鎌倉投信にとっては、むしろ割安に投資できるチャンスでしょうか。

福岡や大阪の運用報告会では、時津社長の講演があります。いずれ東京や他の場所でも直接お話をうかがう機会がありそうです。

【過去記事】