セルフ・リライアンスという生き方

自立した個人として豊かに生きる。長期投資のメモ。

認定NPO法人かものはしプロジェクト事業報告会

去る7月15日、マンスリーサポータ―になっている、かものはしプロジェクトの事業報告会に参加しました。去年まではNPO法人の総会とセットでしたが、今年は、総会と切り離し、純粋に支援者向けの報告会として開催されました。

かものはしの創設以来のあゆみを振り返りつつ、カンボジア事業とインド事業のいまと今後についての報告がありました。

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創業からの歩みとカンボジア事業報告

前半は、共同代表の村田早耶香さんより、かものはし創業のストーリーから、「子どもが売られる問題」にどんな思いで取り組んできたのかについてのお話。村田さんの話は何度かお聞きしていますが、今までと少し違う部分もありました。

かものはしの立上げの頃、カンボジアで女の子の保護施設を訪問した時のエピソードで、被害者の6歳の女の子から分かれ際にもらったというオレンジ色のクロマー(ストール)を紹介してくれました。その際、村田さんが急に感極まって涙を見せるシーンがありました。

いつも、児童買春という非常に重いテーマであっても、毅然と伝えている印象があったので、村田さんにもこういうことがあるんだと少し驚きました。きっとクロマーを手に取った瞬間に当時の思いが蘇ったのでしょう。自分ももらい泣きしそうでした。 

カンボジアでは、被害者支援だけでなく、警察の取締能力向上など「買わせない」ための10年以上の地道な努力が実り、2015年頃には国内の児童買春の問題はほぼ解決に向かいました。

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一方、「子どもを売らせない」ために、貧困農村の所得向上のための取り組みとして2006年に開始したコミュニティファクトリー(工房)は、その後、役割を変え、農村女性達にライフスキルトレーニングを行う職業訓練校として成長してきました。

ファクトリーから生まれたオリジナルの「SUSU」ブランドは好評で、先日は渋谷のヒカリエにも商品が並びました。私もSUSUのトートバックを持っています。

そして、2018年春から、コミュニティファクトリー事業と、共同代表の青木健太さんは、かものはしとは別のNPOとして独立します。

コミュニティファクトリーとSUSUについては、以前お聞きした青木さんの話を詳しく書きました。

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インド事業の現状と今後

カンボジアが解決した今、かものはしの活動の主体は、より問題の根深い大国インドに移っています。

インドでは2012年から活動開始しました。インドは、アジアの中でも児童買春や人身売買の被害者が多いこと、また被害者への差別や被害者の社会的な孤立が深刻なことから活動国に選びました。

しかし、インドはカンボジアより人口も面積も大きく、かつ人身売買の犯罪が遠く離れた州をまたいで行われます。州ごとの自治が強く法律も異なるため、トラフィッカー(誘拐する人)が裁かれずに野放しになっており、被害が減りません。

そんな中で、かものはしは、現地のパートナーNGO、財団、弁護士、行政など多くの関係当事者と連携して、「子どもを売らせない」「買わせない」ための仕組みづくりと、被害者救出→心のケア→経済的支援→裁判支援というサバイバー(被害者)に対する一連のサポートに取り組んでいます。

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共同代表の本木恵介さんからは、現場、州政府、中央政府の3つに同時に働きかけ、変えていく必要がある、という話がありました。

ハードルの高い道のりですが、ここへきて、中央政府が「包括的人身売買取締法案」をつくったり、加害者に有害判決が出たり、被害者への補償金支給が確定したりと、活動5年の成果が少しずつ出始めています。

インド事業の責任者である清水友美さんからは、被害者(サバイバー)の女性達が、辛い経験をバネに、別のサバイバーをケアする側にまわって活動している様子なども紹介されました。

支援する側にとって、「支援することで人は変われる、人生を取り戻せる」ことを実感できることが活動の支えになっています。
サバイバーの女性達が絶望から希望へと立ち直っていくプロセスから、むしろ支援する側の方がエネルギーをもらっているという言葉は響きました。

 

自分がかものはしプロジェクトを応援したいと思ったのは、単に児童買春・人身売買の被害者を助けるだけでなく、問題の根本的な原因を絶つための仕組みを作る、という活動方針に共感したからです。

2016年度のかものはしプロジェクトは、サポーター会員の大幅増(2017年5月時点で5,000人を突破!)や、Web経由のファンドレイジングが成果をあげ、経常収益も2億円を超えました。

カンボジアからインドに軸足がシフトした今、今後はこの資金をどう有効に課題解決につなげていけるかが求められます。

インドは、国も大きく州もまたがり、当事者も多いので、なかなか一筋縄ではいかないようですが、それだけ問題が根深いということでもあり、ぜひ成果を出してもらいたいと思います。

最後に、本木さんからは、2020年までにインドで問題解決の道筋をつけるとの強い意志が示されました。これからも応援します。

 

昨年(2016年)の総会の模様です。