セルフ・リライアンスという生き方

投資信託を中心にいい会社、いい事業にコツコツ長期投資しています。 社会とつながるソーシャルな投資や寄付も実践中。

寄付白書2017出版によせて-「利他性」を考える

2年ぶりとなる寄付白書、「寄付白書2017」が刊行されました。
関係者や執筆者の方々が参加する出版記念のシンポジウムに招待頂きました。

『寄付白書2017』出版記念シンポジウム | イベント・研修・スクール | 日本ファンドレイジング協会

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寄付白書は、寄付文化を育てるため、日本の寄付市場の全体像を明らかにするデータブックです。
寄付白書が出る以前は、国内の寄付について分かりやすくまとめたものがありませんでした。NPO、メディア、研究者など寄付に関わる人たちにとってとても貴重な資料となっています。
調査研究(寄付白書) | 日本ファンドレイジング協会

私個人は、前回(2015年版)から発行サポーターとして参加しています。

寄付白書2017の目次です。

要約 日本の寄付市場の推移、特色のある寄付者ペルソナ、寄付を取り巻く政策・制度
第1章 2016年の寄付の動向
第2章 人はなぜ寄付をするのかーNPO研究、行動経済学における知見から
第3章 善意の資金(寄付・社会的投資)国際比較ー日米英韓
第4章 課題と展望

1章では、寄付者率や、寄付金額などのデータがビジュアル的にも分かりやすくまとまっています。時系列の推移や海外との比較は役立ちます。

今回は、寄付のカテゴリーを3つに区分し、新たに「ふるさと納税」をカテゴリー3として切り分けて集計しました。ふるさと納税は寄付なのかどうか、議論が分かれますが、かなり普及してきているのでデータ把握は大事です。

今回2017年版の目玉は、「人はなぜ寄付をするのか?」という大きなテーマを分析検討した第2章です。

海外では、資金を集めるNPO側の要請や、寄付市場そのものが大きいこともあって、経済学、心理学、社会学などさまざまな領域から、人の寄付行動についての研究が進んでいます。
今回の白書では、人が寄付する動機について、行動経済学の立場も入れつつ本格的に検討されています。

寄付は、経済的な見返りを求めず他人にお金やモノをわたす行為なので、その主な動機は「利他性」です。

ただ、「利他性」と言っても、

  • 相手が幸せになることが自分もうれしい=「純粋な利他性
  • 相手の幸せは関係なく、自分が寄付していること自体が満足=「暖かな光

という2つの動機があるとのこと。

そして、白書では、前者の「純粋な利他性」タイプの人は、支援先が満たされたり、他の人の寄付が増えると寄付を減らしてしまう傾向があるため、欧米では、行動経済学に基づき「暖かな光」タイプに働きかけるファンドレイジングが進んでいるとしています。

どうなんでしょうか。

自分に置き換えて考えてみると、この2つはミックスしているというか、事実上一体化している気もします。

自分のお金を他人のために使うことがうれしいのは、寄付先の団体やその先にいる人たちの役に立ち、社会の課題解決にほんの少し貢献できている、と思うから、社会参加できているという自覚が得られるからです。

逆に、寄付した相手のことには関心がなく、寄付そのものが満足、という人がいるとすれば、自分のした寄付の効果や寄付による変化には興味がないわけで、その方がむしろ継続的な寄付につながらないのではないでしょうか。

以前、鎌田實さんから、人間は社会的な動物だから、「1%の利他」が幸せにつながる、という素敵な話を聞きました。

鎌田さんの話を思い出してみても、利他と利己は厳密に分けられないし、どんな人もみんな両面を持っていると思います。

ファンドレイジングの立場からは、行動経済学的なマーケティングがいろいろ研究されています。ただ、あまり小手先のテクニックに走るのではなくて、やはり、利他はこれ利己なり、寄付者の幸せにもつながる、という寄付の本質を率直に訴えていくのも大事では?と思った次第です。

日本ファンドレイジング協会の鵜尾さんが、この白書の成果の一つは、「寄付」に関するメディア記事が大幅に増えたことと言っていました。寄付が多くの人の身近な存在になるために、役立ってほしいです。

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