セルフ・リライアンスという生き方

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日本における社会的インパクト投資の現状2017

国内の社会的インパクト投資市場を包括的にまとめた、「日本における社会的インパクト投資の現状2017」が公開されています。

「日本における社会的インパクト投資の現状2017」を公開しました!:Japan Impact Investment Taskforce / G8インパクト投資タスクフォース 日本国内諮問委員会

昨年に続いてチェックしてみました。

日本の社会的インパクト投資市場規模は718億円

同レポートによると、2017年度の国内の社会的インパクト投資市場規模の推計値は718億円と、前年度の337億円からほぼ倍増しました。既存のインパクト投資主体の投資増加と、投資主体そのものの増加が理由です。
推計値は、金融機関などへのアンケートに基づきます。

社会的インパクト投資の定義

同レポートでは、社会的インパクト投資を、
「社会面・環境面での課題解決を図るとともに、経済的な利益を追求する投資行動」と定義し、以下2つの条件に当てはまるものを抽出しています。
・資金使途を社会・環境分野に限定していること
・投資判断にあたって社会的インパクトの評価を行っていること

社会的インパクト投資の具体例

とは言っても、何となくイメージがつかみにくい社会的インパクト投資。
国内の実例は次のようなものがあります。スキームや規模はさまざまですが、投資利益だけでなく、明確に社会課題の解決を目指しているのが共通項です。

・NPOやソーシャルビジネス向け融資(日本政策金融公庫、西武信金など)
・マイクロファイナンスファンド、MFIへの出資(大和証券、五常アンドカンパニーなど)
・鎌倉投信(結い2101での非上場企業への社債投資)
・ソーシャルインパクトボンド(SIB)への金融機関の資金提供
・企業の財団やVCによるインパクト投資ファンド(子育て支援ファンド、復興支援ファンドなど)

ソーシャルインパクトボンド(SIB)には個人投資家も資金提供

2017年のトピックとして、休眠預金活用法の成立、本格的なソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)の導入、メインストリーム金融機関の参入、の3点が挙げられています。

SIBでは、神戸市の糖尿病の重症化予防事業で、三井住友銀行や個人投資家が投資家になりました。信託を使った優先劣後スキームで、投資家がリスクを取りやすくしています。本件は事業規模が3,000万円と小さいので、受益権化の費用やスキームをアレンジする手間を考えるとコスト負けしてしまうかもしれませんが、こうやって民間のお金が入りやすくなれば、SIB普及の道も開けます。

神戸市がソーシャル・インパクト・ボンドを開始、腎症患者の人工透析を予防:健康:日経デジタルヘルス

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神戸市:日本初「ソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)」神戸市、社会的投資推進財団、DPPヘルスパートナーズ、三井住友銀行、SMBC信託銀行が導入~「糖尿病性腎症等の重症化予防SIB」で人工透析への移行を予防~)より

究極的(長期的)には、社会課題の解決を意図しない投資には経済的リターンも付いてこないはずなので、今後もこのような社会的インパクト投資の流れは加速しそうです。

 

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