セルフ・リライアンスという生き方

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不動産鑑定評価基準が大幅改正へ

国土交通省より、12/20付で、鑑定評価基準の改正案とパブリックコメントの募集が出されています。

不動産鑑定評価基準等の改正(案)に関する意見の募集について

今回の改正は、平成19年の証券化対象不動産に関する改正に並ぶかなり大きなものとなります。 内容をチェックしてみました。

1.スコープ・オブ・ワーク(調査範囲)概念の導入  

鑑定士の通常の調査では確認が困難な価格形成要因について、一定の調査範囲を、評価条件として定めることが可能になります。

具体的には、土壌汚染やアスベスト、埋蔵文化財、地下埋設物、越境などを考慮外とするケースが想定されています。
→ これらは、鑑定士の内覧のレベルでは判断が難しいので、以前から悩ましい問題でしたが、今回の改正で整理されることになりそうです。  

ただし、調査範囲を設定できるのは、「依頼者や評価書の利用者の利益を害するおそれがない場合」に限られ、依頼者が自ら判断する場合や売買当事者での取り決めがある場合などが例示されています。

2.価格概念の整理(正常価格と特定価格)  

以前から懸案になっていた問題です。REITやファンドの証券化物件については、評価額が全く同じなのに「正常価格」と「特定価格」が併記され、依頼者から「正常」と「特定」の違いを質問され、答に窮した鑑定士も多いと思います。  

今回の改正で、対象不動産が最有効使用であれば、証券化物件であっても「正常価格」に一本化されることになります。背景には、国際評価基準(IVS)との整合性を図る目的があるようです。

3.建物の価格形成要因の充実  

住宅、オフィス、商業施設、物流施設などの用途ごとに、価格形成要因をより詳細に例示しています。

4.原価法規定の見直し   

建物の再調達原価や耐用年数、減価修正は、過去のリニューアルや修繕も踏まえること、また、付帯費用に、建築期間の資金調達費用や事業者としての開発リスクを反映させることとの規定が新設されました。
→ これは、言葉ではたやすいですが、実際の評価上、数字にどのように反映させるのかは難しい問題です。確かに、大規模リニューアル済のオフィスビルなどで、収益価格上は賃料や利回りに反映しているのに、積算価格上はリニューアル費用や耐用年数の延長を無視するのはどうかと思いますが。。

5.「未竣工建物等鑑定評価」を対象確定条件に追加  

建築中の建物やリニューアル中の建物を、竣工後の状態を前提として評価する場合、今までは鑑定評価ではなく価格調査報告書で対応していましたが、改正案では「未竣工建物」として鑑定評価できるよう整理しています。

6.事業用不動産の評価方法の規定を新設  

ホテル、ゴルフ場、老人ホーム等、賃貸収入の裏付けが事業収支そのものとなる、いわゆるオペレーショナルアセットについて、事業収益をきちんと検討しなさい、という規定です。  

これは基準に書いていなくても鑑定士としては当然やらないといけないことなのですが、最近こういった物件が投資対象となる機会が増えているため、新設されました。

その他にも、定期借地権や継続賃料がらみの改正があります。斜め読みなので、ニュアンス等違っているところがありましたらご容赦ください。  

今回は、鑑定業務の実質的な部分に関わる改正が多いので、鑑定士の方はあらかじめチェックしておいた方がいいでしょう。 また、鑑定士試験を目指している方は、今すぐ試験に反映されないにしても、最近の業界の方向性が分かると思うので、今の基準と見比べると面白いのではないでしょうか。