セルフ・リライアンスという生き方

自立した個人として豊かに生きる。長期投資のメモ。

「いい会社の力」シンポジウム・鎌田實さん(諏訪中央病院名誉院長)『自分にもできる少しだけの貢献』

NPO法人いい会社をふやしましょうのシンポジウムで、諏訪中央病院名誉院長、鎌田實さんのお話を聴いてきました。
タイトルは「自分にもできる少しだけの貢献」。

鎌田さんは、メディア出演や著書も多く、有名なお医者さんです。
公立病院の再建と地域の長寿化を達成した医師、経営者として、紛争地域や被災地での医療支援など社会活動家として、いろいろな話が聞けました。

講演の4日前まで、イラクの難民キャンプで、シリアから逃れてきた人々の支援活動をされていたそうです。



実の親の顔を知らない不遇な生い立ち、潰れる寸前だった「諏訪中央病院」を立て直すまでの苦労話や、チェルノブイリやイラクでの医療支援活動の話など、鎌田先生の今までの歩みを語ってくれました。
後半は、「いい会社」のセミナーでは恒例の大久保寛司さんとの対談。

「幸せとは何か」「何のために生きるか」という普遍的なテーマにもつながる人生論と、名言の数々でとても書ききれませんので、中でも、経営、ビジネスよりの観点でのお話をいくつか。

・人間は本能的には利己的だが、進化の過程で大きな脳と「心」を持った。だから、100%自分中心では生きていけない。利己の中に少しの利他=他人ために行動することで、生きがいが生まれる。

・諏訪中央病院でやっているような「あたたかい医療」は「経営」「経済」の視点があって初めて持続可能になる。これはビジネスの世界でも同じ。ボランティアだけでは長続きしない。

・天才と言われるイチローですら、4,000本安打の裏では8,000本アウトになっている。凡人は10回チャレンジして9回失敗したっていい。

・人は心を持っているから、否定や命令では動かない。相手の心をリセットする=「行動変容」を一度起こせば、人や組織は自然と動く。真に相手の立場で考え、行動し続けること。100%否定するのではなく、相手のいいところを99%評価したうえで、1%変えてもらう努力をする。

・塩分の多い食事で脳卒中の多かった長野で、在宅ケアや減塩などの健康づくり運動を全国にさきがけて始めた頃、友人の医者に「不健康な地域のままの方が儲かるぞ」と言われたが、きちんとした本物の行動をしていれば、必ず患者は戻ってくると信じていた。
 結果的に、隣町の大病院に行っていた地元の人たちも、「あの先生は自分たちの健康を親身になって考えてくれている」と思うようになり、患者が戻ってきた。
(鎌田さんの取り組みが広がり、今や長野県の平均寿命は全国1位です)

・医療もビジネスも全て人間同士の関係で成り立っている。結局は、人間同士の関係をよくする、絆を持つことで、心が豊かになり、生きがいが生まれ、健康になるしビジネスもうまくいく。


人間は「心」を持った社会的な存在だから、資本主義という利己のシステムの中でも、1%の利他の気持ちを持つことが幸せにつながる、というメッセージは、なるほどなと納得しました。

ダーウィンによると、今までの生物の長い長い進化の過程で、利己的な集団は多くが絶滅し、利他的な集団は繁栄しているのだそうです。

1%の力 (河出文庫)

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こんな本も書かれているので、読んでみようと思います。「NPO法人いい会社をふやしましょう」のイベントは何度か参加しています。

少しうまくいっていない時でも、毎回、不思議とリフレッシュできるというか、とても前向きな力をもらえます。

今回は、同NPOの理事で、同じ苗字の鎌倉投信の鎌田社長と、以前日経マネーで対談したのがきっかけで、鎌倉投信本社にも訪問されたことがあるそうで、通常3年待ちの講演を受けて頂いたそうです。
参加できてよかったです。