セルフ・リライアンスという生き方

自分も社会も豊かにできるお金の使い方について。日々の投資や寄付の記録を綴ります。

日本環境設計・岩元美智彦さん講演「環境とリサイクル・100年後の未来」

公益財団法人日本環境教育機構の主催で、日本環境設計株式会社の代表取締役、岩元美智彦さんの講演に参加しました。

鎌倉投信の投資先でもあり、一度ご本人にお会いしたいと思っていました。
とても響く内容でしたので、自分の備忘メモも兼ねて長めのレポートです。

消費者参加型の仕組みづくり

日本環境設計は、リサイクルが遅れていた、繊維やプラスチックなど有機物のリサイクルを中心に手掛ける環境ベンチャーです。

起業して8年で、資本金は約8億円、150社以上の大手流通業者やメーカーを巻き込む資源循環ネットワークを作るまでに急成長、もうすぐ3つめの工場を建設予定です。
事業開始以来、8年連続増収増益中で、単月ベースでも一度も赤字になったことがありません。

事業が大きく成長したのは、技術力の高さだけでなく、消費者参加型のリサイクルの仕組みを作ったことにあります。

資源が循環する社会を実現するためには、技術だけではなく誰にでもわかりやすく参加しやすいしくみが必要です。私は、人々の「生活動線」をそのまま「環境動線」にすることでそれを実現出きると考えます。

日本環境設計 会社概要より)

従来のさまざまなリサイクルは、技術が優れていても、回収の仕組みがうまく機能していないものが多いそうです。

岩元さんは、「リサイクルは難しい」「面倒くさい」ではなくて、「リサイクルは楽しい」と実感してもらうために、商業施設でのファミリー向けのイベントや、幼稚園での環境教育などを地道に続けてきました。
かわいいハチくんのキャラクターも、親しみがわきます。

(プロジェクトのサイト)
FUKU-FUKUプロジェクト あなたの服を地球の福に。
PLA-PLUSプロジェクト プラスチックを地球のプラスに。

われわれ消費者には、潜在的には「環境に貢献したい」という気持ちがあります。その気持ちを引き出すには、「参加したくなる仕組み」を作ることが一番のポイントと繰り返しお話していました。

経営の安定よりも、消費者参加型のリサイクルインフラ構築に注力するため、企業系のごみの受け入れを一切断ってきたというこだわりです。

会場に置かれていたFUKU-FUKUプロジェクトの回収ボックス。私もTシャツを3枚出してきました。
綿以外の素材(ポリエステル、ナイロン)などが入っていても、どんな服でも問題ないそうです。




環境と経済性の両立


FUKU-FUKUや、PLA-PLUSの回収ボックスは、良品計画、イオン、スターバックス、トイザらス・・・といった参加企業が購入して設置しています。つまり、プロジェクト参加企業がリサイクルコストの一部を負担しています。

それでも、150もの企業団体が参加しているのは、環境配慮をアピールしたい面ももちろんあるでしょうが、もっと直接的な経済的メリットがあるからです。
無印良品でもイオンでも、回収ボックスを設置した店舗の方が、しなかった店舗よりも客数が増え、売上がアップしたそうです。
「環境は利益につながる」ことを実証しています。

また、岩元さんの会社でリサイクルしたプラスチック原料は、石油から作ったものと品質は同じなのに価格は安く提供できています。
環境にいいだけでなく、経済性と両立することが非常に大事、と語っていました。

先端的な技術

消費者参加型のネットワークとともに、リサイクルを支えるもう一つの柱は技術力です。

例えば、繊維製品の場合、綿を酵素を使って分解、糖化し、バイオエタノールにしています。食べ物(とうもろこしなど)由来のバイオエタノールは一般的ですが、衣料品をエタノールにする技術は画期的だそうです。

従来の研究では、綿花から直接バイオエタノールを作ろうとしてうまくいかなかったそうです。
逆に、Tシャツなどの衣料品は、生産過程で繊維(綿)の表皮をとっているので、酵素が入り込みやすく、糖化できたとのこと。

従来のリサイクルが、古紙を回収してまた紙に戻すといった「モノ」に着目しているのに対し、モノを元素レベル(C、O、H)まで分解することで、資源をグルグル循環させる発想です。

先端的なだけでなく、分別なしで漕に突っ込んで酵素を入れてかき混ぜるだけで数日でエタノールができるシンプルさも強み。
従来のリサイクルコストの半分ぐらいを占めた分別作業がいらなくなり、コストダウンできます。

ちなみに、今治に工場があるのは、繊維からバイオエタノールを作る工程と、タオルを作る工程に共通点が多かったからだそうです。

争いのない世界を

日本の家庭ごみは年間4,500万トン、かりに今の変換率(4分の1)で全てリサイクルできれば、約1,100万トンのエタノール、そこから約1,000万トンのプラスチックがつくれる計算で、実現すれば国内で消費されているプラスチック製品については石油が全く不要となるそうです。
さらに、企業が出すゴミはその10倍の4億5千万トンです。日本には豊富な「資源」があると言えます。

岩元さんがリサイクルを通じて目指すのは、資源の争い=戦争のない世界の実現です。紛争の原因の多くは資源の奪い合いなので、循環型の社会をつくれば、争いのない世界も夢ではなくなります。
取り組み方は違っても、同じところを目指している、テラ・ルネッサンス鬼丸昌也さんのお話もありました。


終了後の懇親会では、岩元さんの地元鹿児島の同窓生の方なども囲んで盛り上がりました。石油を一滴も使わない社会をつくる夢を熱く語ってくれました。

今年10月21日には、30年前の「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に登場したデロリアンが、東京で、映画さながらゴミから作った燃料で走るプロジェクトを計画中です。(劇中でデロリアンが到着した未来が2015年10月21日です)

映画で使った本物のデロリアンを、本国のユニバーサルを口説いて、買ってしまったエピソード一つとっても、岩元さんのバイタリティー、まわりを動かす、巻き込んで現実化する力は凄いです。社会を変えていく人というのはこういう方だと思います。また、ご本人が本当に楽しそうに今の仕事に取り組んでいるのが伝わってきて、とても前向きな力をもらいました。

9月5日に京都で開かれる、鎌倉投信の「結い 2101」第6回受益者総会®でもメインスピーカーとして登壇されます。そちらも楽しみです。

・セミナーアーカイブ(一部動画もアップされています)
環境とリサイクル 100年後の未来