少し前になりますが、三井住友トラスト基礎研究所が、外国人観光客の増加とホテル稼働率の関係について面白いレポートを出していました。
訪日外国人による国内ホテルマーケットへの影響 (4都道府県の稼動率編)
同レポートでは、日本に来る外国人のうち、シェアの高い4ヶ国・地域(韓国・台湾・香港・中国)からの訪日外国人によるホテル稼働率の押し上げ効果を推計しています。
それによると、東京は+20%以上、大阪は+15%以上(2014年の推計)の稼働率アップという驚くような数字が出ています。
たまに地方出張でホテルを予約しようとすると、最近は、主要都市中心にとても取りにくい上、値段もかなり上がっている実感がありますが、その感覚ともマッチします。
客室需要に占めるインバウンドの大きさを改めて感じます。
ちなみに、ホテル特化のJ-REITであるジャパン・ホテル・リート投資法人(JHR)の最新(2015年12月期中間期)の決算説明資料でも、客室単価×客室稼働率で求められるRevPARが、大阪:+31.5%、東京:+12.2%、京都:+13.1%、福岡:+15.1%などと大きな伸びを示しています(2015年1~6月対前年同期比)。
このようなデータからも、冒頭の三井住友トラスト基礎研の推計はリアリティのある数字だと思います。
逆に言えば、日本のホテルの客室需給は、国内景気ももちろんですが、むしろ外需次第という面がかなり強くなっています。
最近は、東京オリンピックも見すえて、ラグジュアリー系からビジネス系まで幅広い層のホテルへの新規投資や開発が凄い勢いで進んでいます。都内でもホテル建築中の現場をよく見かけます。
リーマンショック直後の、客単価を下げても稼働率がなかなか上がらなかった局面がうそのようです。
これは漠然と感じていることですが、これだけ外国人頼みとなってくると、新興国の景気減速や通貨安をきっかけに、今のアグレッシブな投資が裏目に出るリスクは結構あるのかなと思います。