フェア・ファイナンス・ガイド日本版(Fair Finace Guide Japan)の立ち上げ1周年を記念したセミナーに参加しました。
Fair Finance Guide Japan 1周年記念セミナー
フェア・ファイナンス・ガイドは、銀行の投融資方針を、社会性の観点からチェックし、格付けしたサイトです。
もともとは、2009年にオランダで始まり、現在7ヶ国でサイトが開設済です。
日本では、三菱UFJ、みずほ、三井住友、りそな、三井住友トラスト、日本郵政、農林中金の7グループが評価対象になっています。
具体的には、「気候変動」「自然環境」「人権」「兵器産業」などの15テーマ、273項目もの多岐にわたって、各銀行をチェックし、採点しています。
言うより見るのが早いので、ぜひ見てみてください。
全体としては、3大メガバンクのポイントが高めですが、唯一三井住友トラストの頑張りが目立っています。
三井住友トラストは、「国連グローバル・コンパクト」を、支持・署名よりも一歩進んで投融資基準に盛り込んでいることや、クラスター爆弾や対人地雷関連企業を投資対象から除外したり、パッシブ運用でも組入企業へのエンゲージメント(働きかけ)を行っていることが評価されています。
三井住友信託のCSRサイトを見てみましたが、確かに金融機関の中ではかなり詳しくて具体的です。
私たちのお金の多くは、銀行を通じて、広く世の中に出回っていきます。
したがって、環境や人権問題など社会の課題を解決する一つの有効な手段は、資金の出し手である銀行の行動を、これらにプラスとなる方向に変えていくことです。また、その前提として、私たち預金者が、自分のお金の行き先に関心を持つことも必要です。
自分も、投信や株式などは、自ら投資先を選択しているので意識していますが、預金についてはたしかにあまり意識していません。
とはいっても、個々の銀行が社会的に○か×か?、環境や人権にどの程度配慮しているか?についてわざわざ調べるのは大変です。こういったサイトはとても有用だと思います。
銀行サイドも、社会性格付の結果は気にしていて、採点結果のフィードバックを受けて、りそなグループが人権方針を変更するなど、わずか1年で具体的成果も出ているそうです。
日本でも、公的年金の莫大な積立金を運用するGPIFが、国連の責任投資原則(PRI)に署名するなど、持続可能な社会に向けたお金の流れが生まれてきています。
日本の家計金融資産のうち、現預金は900兆円近くあり、膨大です。
パネラーで参加されていた、認定NPO法人ACEの岩附由香さんの発言を借りれば、個人が銀行を選ぶ時の一つの基準に、従来の利便性やサービスだけでなく「社会性」が加わったとしたら、インパクトは計り知れないぐらい大きいものになるでしょう。
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