よく参加している「マネーの会」に、投資型クラウドファンディング(海外向けソーシャルレンディング)事業を行っているクラウドクレジット株式会社の代表取締役・杉山智行さんが登壇しました。
【マネーの会主催】投資型クラウドファンディングで日本と世界のお金の流れを変える!~クラウドクレジットの挑戦~
ソーシャルレンディングは未経験ですが、先日、投資家との意見交換会でオフィスにお邪魔したりして、関心を持っています。
投資型クラウドファンディング拡大の背景、国内外の業界動向、クラウドクレジットの目指すところについて、たっぷり聴けました。
クラウドクレジットは、広義の「クラウドファンディング」のうち、「投資型」かつ「融資型」に分類されます。
※有名な「READY FOR?」や「JapanGiving」などは、ネットで寄付や商品の購入を募る「非投資型」です。
ペルーの小口債務者向け延滞債権回収ビジネスへのローンファンドや、イタリアでの消費者ローンファンドなどを比較的高めの利回りで提供しています。(詳細は同社のHPをご参照)
投資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)拡大の背景
「債権回収」「消費者ローン」というと、マイナスイメージを持つ人も多いですが、途上国や、資金供給が十分でない国では、信用が低いために銀行が貸してくれない個人や中小事業者が大きな層を形成していて、国の成長の阻害要因になっています。
先進国のアメリカでさえ、人口3億2千万人のうち、金融にアクセスできない人が6~7千万人はいるとのこと。
一方、貸し手の銀行は、リーマンショック以降の資本規制強化で、以前よりもリスクを取れなくなっています。
そこで、ネット・ITの力(FinTechという言葉も流行っています)も活用して、こういった個人・中小の資金需要層に、個人が直接資金供給できる仕組み=ソーシャルレンディングが、欧米で急激に拡大しつつあります。
イギリスでは、ISA(日本のNISA)の対象に含めて税制優遇も受けられるようになる見込みで、国を挙げて投資型クラウドファンディングの普及に乗り出しています。
ソーシャルレンディングの役割
高齢化と成長率低下で、モノ余り、カネ余り(低金利)の日本にいるとピンと来ませんが、それはあくまで日本の現状であって、グローバルに見ると、資金を必要とする人と資金が余っている人の間のミスマッチ=投資機会がたくさんあります。
例えば、ペルーのプロジェクトは、中小事業者が返済できなくなった債権を、額面の数%(例:100万円の債権を4万円)というタダに近い価格で買い取ります。現地パートナーのサービサー企業と組んで、債務者との間で債権カットの相談もしながら、100万円のうち例えば6万円を回収し、利益から運営コストを引いた部分を投資家に還元します。
実際は不良債権回収ビジネスですが、これで現地の中小事業者は再スタートへの道が開け、銀行は不良債権をオフバランスできるので、ペルーの経済にとって大事な意味を持ちます。
同時に、カネ余りで困っている日本の個人投資家には、相対的に高い期待リターンがもたらされます。
ISAにソーシャルレンディングを組み込むとしているイギリス政府・中銀によると、今後は、大企業向けなど預金に基づく元本確保前提の融資は従来どおり銀行が担う一方、個人や中小事業者などへの資金供給はクラウドファンディングがカバーする、という役割分担が進むと考えられています。
金融全体に占めるポジションはまだまだとても小さいですが、海外でのソーシャルレンディングの急拡大をみると、それも現実的かもしれません。
※ソフトバンクが主体となって、アメリカの大手ソーシャルファイナンス事業者、SoFi(ソーファイ)に10億ドルを出資した件も紹介されました。
感想
もちろん、ソーシャルレンディングは、貸す相手が個人・中小で、クレジットリスクが通常の債券とは比べものにならないうえ、海外向けの場合は為替リスクもカントリーリスクもあります。
高い利回りだけに魅かれず、リスクを理解するのが大前提です。
最近は不動産担保ローン型中心に業者が乱立している感もあり、実際に投資するには、どんな人達が運営しているのか直接話を聴くのも大事だと思います。
今回のセミナーでは、前回会社に伺ったときよりも詳しい話が聴けて、大分理解が深まりました。
特に、国を超えて、資金を本来必要としている人に直接ファイナンスする意義が分かりましたし、日本の余っているお金を、リスクマネーとして世界に供給して大きなお金の流れをつくるという杉山社長の理念には共感できました。
実は最近、ミュージックセキュリティーズのセキュリテに初めて出資したばかりで、時間が空くかもしれませんが、実際の投資ももう少し検討してみます。