セルフ・リライアンスという生き方

自立した個人として豊かに生きる。長期投資のメモ。

コモンズ投信のコモンズ30ファンド7周年イベント

4/2に、コモンズ30ファンドの7周年イベントに参加しました。

都合で前半だけだったのですが、コモンズの運用哲学を改めて確認できました。

【東京開催】コモンズ30ファンド7周年イベント




渋澤さん冒頭挨拶のあと、社長の伊井さんより、運用の考え方中心に運用報告がありました。

コモンズ30ファンドの「5つのP」

1.Philosophy(投資哲学)
・世代を超えて進化し続ける「強い企業」に厳選投資
・金銭的リターン(資産形成)だけでなく投資を通じて社会とつながるリターン

コモンズ投信は「30年目線」を掲げています。30年先の社会は分かりませんが、時代のサイクルを超えて、変化に対応していけるしなやかで強靭な会社に投資する、いうことだと理解しています。
「社会とつながる」という表現をコモンズ投信が使うのを聞いたのは初めてで、いい意味で意外でした。

2.People(人材)
・投資委員会による合議制を採用。新規組入や全売却は全会一致で決定。役職の上下を問わずフラットな立場で対等に議論が交わされます。
・シニアアナリストとして新しく末山仁 氏が入社されました。コモンズは山一証券OBの方が多いですが、末山さんも山一ご出身です。

3.Process(投資プロセス)
・30年目線で約30社に絞り込む
・「対話」を重視
・見える価値(収益力)だけでなく、「見えない価値」(競争力・経営力・対話力・企業文化)を重視(「5つの軸」)

4.Portfolio(ポートフォリオ)
・世界全体の発展を取り込める企業=海外売上比率の高い会社が多いのが特徴です。投資先30社中10社が海外売上50%超、6社が80%超です。

5.Performance(パフォーマンス)
・第7期(2015/1/20~2016/1/18)のリターンは▲0.7%で、同期間プラスのTOPIXに劣後。
・マザーファンド(機関投資家向けも含む)の純資産残高は期末時点で132億円です。(前期末は106億)。

その他、主要な指標です(運用報告書より)。
・売買高比率・・・0.87(前期 1.77)
 銘柄入替が少なかったこともあり、前期よりも大分落ち着きました。
・実質コスト・・・1.396%(前期 1.510%)
 こちらも前期よりやや下がっています。
・期末の保有銘柄数・・・30銘柄   
 デンソーを新規組み入れ。全売却銘柄はなし。

なお、コモンズ投信は、投資先企業の中長期的な価値向上をうながすエンゲージメント(対話)や議決権行使にもしっかり取り組んでいます。

2015年度の議決権行使結果は、234件の議案に対して反対は44件でした。ガバナンスの点から、取締役選任議案に対する反対が比較的多くなっています。

(参考)議決権行使等について




企業をみる5つの軸~新規組入企業(デンソー)の例

新規に組み入れたデンソーを例に、投資委員会の全メンバーが登壇し、投資決定プロセスを「模擬投資委員会」形式で紹介してくれました。

・収益力
見える価値である「収益力」は、単に営業利益率やROEが同業他社より高いかではなく、「持続的」「長期的」に高めていけるかどうかを評価します。

その評価のベースになるのが、見えない価値である4つの項目「競争力」「経営力」「対話力」そして「企業文化」です。

・競争力
クルマのトレンドがシフト(電気自動車、自動運転・・・)しても、中核部品を作っているサプライヤーは必要とされつづける。

・経営力
トヨタグループなのにトヨタ出身の役員は1名のみで社長は生え抜き。社外取締役はまだ少な目だが、長期的に企業価値を高めるための経営体制ができている。

・対話力
社外取締役(一橋大の名和高司教授が就任)が機能していて、対話がスムーズにできている。対話がしっかりできるかどうかは、何か問題があった時こそ重要。

・企業文化
企業理念「DENSO SPIRIT」は17ヶ国語に翻訳され世界中に浸透している。過去の経営危機を乗り越えてきたデンソーのDNAがグローバルに共有されている。

非財務要素をどう投資判断に活用しているか分かりやすい説明でした。
これらの「見えない価値」は定性的な要素なので、どの部分が収益力の長期的な成長につながるかを見極めるのはまさに運用会社の力が問われる部分です。

7期のパフォーマンスは芳しくありませんでした。毎年のパフォーマンスの積み重ねが長期のリターンにつながるのでもちろん大事なのですが、あまり気にしていません。
5つの軸で評価した会社を、長期的に持ち続けるところに魅力を感じてコモンズ30ファンドに投資しています。「見えない価値」が「見える化」することを願いつつ積立を続けます。

この時期は仕事が繁忙期で、前回に続き今年も途中退席してしまいました。
懇親会も申し込んだのに残念。次回はフル参加したいです。