セルフ・リライアンスという生き方

自立した個人として豊かに生きる。長期投資のメモ。

「投資と寄付フォーラム」(Invest in Women ~未来を創るお金の使い方~)

パブリックリソース財団主催の「投資と寄付フォーラム」に行ってきました。
あい基金「投資と寄付フォーラム」開催のご案内

大和総研の河口真理子さん(JSIF共同代表)、共催のコモンズ投信より渋澤さんも登壇しました。
河口さんは、感銘を受けたこの本の著者です。
【書評】「ソーシャルファイナンスの教科書」(河口真理子著)



前半は河口さんの講演、後半は渋澤さんと、宮城・亘理町のWatalis代表の引地恵さん、静岡市女性会館の運営をしている男女共同参画フォーラムしずおかの松下光惠さんを交えたパネルでした。

●投資と寄付の共通点

人とお金の付き合い方は、
1.使う(消費)、2.貯める、3.投資する、4.寄付する、の4つです。投資と寄付は一見真逆ですが、「社会のために、自分で相手を選ぶ金融」という点は共通しています。
(参考)ハッピー・マネー四分法

投資は、一義的には自分の利益のためですが、最近では、それだけでなく社会的な課題解決や社会的な利益のためという動機に基づく投資が増えています(セキュリテ、クラウドファンディング、・・・)。

自分はもともと社会貢献やサステナビリティへの意識は普通だと思いますが、河口さんのような考え方に共感し、投資行動(寄付や消費も含めて)が大分変わってきました。自分の中では、投資も寄付もかなり近い感覚です。

●いい投資に個人のお金をもっと呼び込むために

とはいえ、日本で「投資」というと、まだまだギャンブル、バクチの延長のように言われます。理由は、農耕民族の国民性や、戦後の間接金融偏重などもありますが、河口さんが言及した「教育」が一番の課題と感じました。

学校で株式投資ゲームをやるのが金融教育、のように言われていますが、投資手法や金融商品の話以前に、ハッピーマネーのような、基本的な「お金との付き合い方」「社会におけるお金の役割」を小さいうちから学べる環境が必要です。例えば、岡本 和久さんの「ハッピー・マネー教室」や、コモンズ投信の「こどもトラストセミナー」(かきくけコモンズ)はいい取り組みです。

●「女性」と投資・寄付

パブリックリソース財団は、分野別の基金をつくり助成活動を行っています。「あい基金」は、女性の経済的自立を支援する基金です。

女性は、一般論として家庭や教育、コミュニティなどの社会的な影響を男性よりも考える傾向があるため、女性の起業家に投資することは、サステナブルな社会のためにプラスになるそうです。「寄付白書」では、女性の方が寄付率が高いというデータもあります。

河口さんが、女性の投資や起業に働きかけるには、従来のような男向けではない、女性の心に響く、女性向けのロジックが必要というのも分かる気がしました。



●資金の受け手側のハードル

Watalisの引地恵さんが、「外部からの投資や寄付は、どう応えていいか分からない(ので今まで受けたことはない)」とコメントされました。今はあくまで売上による収益がメイン、一部助成金と銀行融資で資金調達しているそうです。

この点は結構大事で、強い想いを持っている事業家ほど、第三者のお金を受け入れることを重荷に感じる場合もあるということです。お金を受け入れれば、想いを貫くことが難しくなることもあるからです。
引地さんのお話は少しでしたが、被災地での起業は地域や関係者との間でたくさんの苦労もあったようで、なおさらなのでしょうか。

マザーハウスの山崎大祐さんも同様のことを言っていました。
(関連記事)鎌倉投信の「いい会社訪問」(マザーハウス・山崎大祐さん講演)

その点、クラウドファンディングのように、事業・起業家への共感に基づきつつ、使途を限定した上でのスポットの投資(または寄付)であれば、事業者側がお金を受け入れるハードルも下がるのではないでしょうか。事業のPRにもなります。
クラウドファンディングが拡大しているのは、資金を集める側にとっても使い勝手がいいからかもしれません。