セルフ・リライアンスという生き方

自立した個人として豊かに生きる。長期投資のメモ。

セゾン投信の「セゾン資産形成の達人ファンド・コムジェストを徹底分析!~ニッポン編~」

セゾン投信の「資産形成の達人ファンド」の組み入れファンド「コムジェスト日本株式ファンド」の運用会社、コムジェストのセミナーに参加しました。

【セゾン資産形成の達人ファンド】コムジェストを徹底分析!~ニッポン編~

<参考>セゾン資産形成の達人ファンドのポートフォリオ
コムジェストの運用する、3つの私募ファンド(欧州株、エマージング株、日本株)が組み入れられています。
(クリックで拡大)


前半は日本コムジェストの高橋庸介社長、後半は日本株ファンドのポートフォリオマネージャーであるケイ・リチャード氏が登壇しました。


○コムジェストの運用理念と組織

・長期投資
コムジェストは85年創設のフランスの独立系運用会社です。社員は約130人、運用資産規模は約2.7兆円です。
「持続的なEPS成長がリターンにつながる」との信念のもと、短期売買はせず企業の長期的な成長に投資します。銘柄の平均保有年数は3~5年ですがそれ以上持つ場合も多いです。株式運用100%で債券その他のアセットは扱いません。

・アンコンストレインド(unconstrained)な集中投資
ベンチマークは設定しないアンコンストレインド(unconstrained=制約を受けない、束縛されない)運用で、確信度の高い企業にのみ集中投資します。

※直近の運用報告書によると、組入銘柄数は、欧州:34社、エマージング:38社と超厳選です。
※日本株ファンドの上位銘柄をみても、エムスリー、キーエンス、ポーラオルビス、シスメックス、モノタロウ、ホシザキ電機、日本M&Aセンター・・・と、ありがちなベンチマーク運用のファンドとは全く違う独自性のある構成です。

・国際性と多様性
社員の国籍は20以上で言語も多様です。リチャードさんは4ヶ国語を操ります。女性のPFマネージャーも約3割います。国をまたいで同業他社比較を行ったり、多様な視点で企業の価値を分析できます。





○投資プロセス

・クオリティグロース
景気に左右されにくく、長期的に持続的な利益成長が見込める企業(=クオリティグロース)を徹底したリサーチで選定し、割安な局面で投資します。
銘柄選定基準は、5年スパンでの利益成長、参入障壁、ビジネスの持続性、透明性やガバナンスなど多項目にわたります。

・ESGも重視
銘柄選定はESG要素も考慮します。ESG専任のアナリストが2名いて、E(環境)とS(社会)は15~20項目、G(ガバナンス)は80項目のチェック項目があるそうです。基本的なところで、対人地雷やクラスター爆弾製造関連企業や、タバコ銘柄除外の話もありました。長期投資を掲げる以上ESG重視は必須だと思います。

・ポートフォリオ構築プロセス
(例)エマージング株式の例。他のアセットでも同様です。

1.時価総額や財務指標に基づき1次スクリーニング(2,500社→300社)
     ↓
2.ウォッチリスト300社を詳細調査
     ↓
3.投資ユニバース150社(投資候補先)の決定
     ↓
4.バリュエーション(割高割安の判断、5年間の利益予想)
     ↓
5.ポートフォリオ構築(30~50銘柄)

・チーム間のアイデア交換
大手運用会社では、アセットや地域ごとに運用チームが独立して動き、交流はほとんどないのが通常だそうです。一方、コムジェストは、欧州、エマージング、日本各々のチームがリサーチやモニタリングの過程で相互に情報交換を密にしています。

例えば、日本の投資先のホシザキ電機と、ビジネスモデルが類似するヨーロッパの投資先のドイツのRational社を比較して意見を出し合い、各社の強み弱みの分析や業績予測に役立てています。ほかにも、村田製作所とクアルコム(米)とメディアテック(台湾)、HOYAとエシロール(仏)など、グローバルな比較分析をしています。

・スターマネージャーに頼らないチーム運用
投資ユニバースの追加・除外は、チームの全会一致が必要です。いわゆるカリスマ・スターマネージャーに頼るリスクを避け、運用の質を長期的に保つようにしています。

たくさん書きましたが、他にも興味深い話がありました。
セゾン投信のコムジェスト紹介ページも見てみてください。
コムジェスト|運用会社|セゾン資産形成の達人ファンド

「ベンチマークなど関係ない」「集中投資するからこそ信託報酬を頂く価値がある」との高橋社長の言葉には、アクティブ運用の真髄を感じました。全ファンドの運用方針が一貫していて、寸分の迷いもない感じが頼もしいです。直接の顧客ではない私たちに対しても、説明、質問の受け応えは誠実で、信頼感が持てました。

自分が出た達人Fの投資先ファンドのセミナーは、アライアンスバーンスタイン、スパークスに次いで3度目です。運用報告者や資料ベースでは分からない、投資先の社風が肌で感じられるので、また参加したいです。