エシカル協会さんの、フェアトレード・コンシェルジュ講座の2回目に参加しました。
講師は、特定非営利活動法人フェアトレード・ラベル・ジャパン(FLJ)の事務局長、中島佳織さんでした。
フェアトレード認証の仕組みがよく分かりました。
FLJは、日本国内のフェアトレード製品の審査、認証ラベルのライセンス事業を行っています。
代表的な製品は、主に途上国で生産され日本に輸入される、コーヒー、カカオ、バナナ、紅茶、それにコットンなどです。
国際フェアトレード基準
世間には「フェアトレード」をうたう商品があふれています。
しかし、国際フェアトレード認証のような第三者の認証を取っている製品は一部です。
国際フェアトレード機構では、大きく3つの基準でフェアトレード認証を行っています。
1.経済的基準・・・最低価格保証と"プレミアム"
2.社会的基準・・・人権を守る(児童労働の禁止など)
3.環境的基準・・・自然環境への配慮(オーガニックなど)
このうち、一番大事なのが1.の取引価格の基準。
生産者との「適正な価格での取引」がフェアトレードの根幹なので、製品にお墨付きを付けるには、ここがきちんと担保されているかどうかがポイントになります。
最低保証価格とプレミアム
コーヒーの取引を例に、説明がありました。
コーヒーの国際価格は、商品相場の需給で決まります。フェアトレード認証を受けるには、価格が暴落した場合でも、生産者組合に最低保証価格を支払う必要があります。
さらに、取引量に応じて、フェアトレード参加の「プレミアム」(奨励金)が上乗せして支払われます。
※アラビカコーヒーの場合、最低保証価格:1.4ドル、プレミアム:0.2ドルと定められています。
最低保証価格とプレミアムによって、生産地の持続的な暮らしと社会を支えることが可能です。
(参考)国際フェアトレード基準 : フェアトレード・ラベル・ジャパン
このプレミアムは、コーヒーの仕入対価とは別枠の支援金です。生産地の医療や教育、インフラ整備など、生産者の生活水準向上や地域開発のために使われます。
プレミアムはとてもいい仕組みだと思いました。
認証付きのフェアトレード製品を買えば、途上国の生産者に適正なコストを支払うだけでなく、日常の消費を通して、途上国への支援に気軽に参加できます。
一方で、価格があまりにも手厚すぎると、補助金のようなモラルハザードを生み、自立を妨げてしまうかもしれないので、価格設定は制度の肝です。
FLJでは、品目ごとの取引価格の設定や、輸入業者が基準を守っているかの監査もやっています。現地生産者組合との契約書や振込口座の明細チェックまでするそうです。
日本のフェアトレード認証製品市場
FLJさんの取り組みの結果、日本でもフェアトレード認証に参加する企業や製品が増えてきました。
スターバックスやイオン、生協、無印良品なども積極的に取り扱っています。
企業調達(社員食堂、ユニフォームなど)や、公共調達(自治体)も広がってきました。まちを挙げて取り組むフェアトレードシティという考え方もあって、熊本や名古屋で進められています。
ただし、まだまだ日本は遅れていて、国内市場(小売価格で約100億円)はイギリスのわずか30分の1です。
スイスでは流通しているバナナの半分にフェアトレード認証ラベルが付いているとのこと。
「フェアトレード製品を購入する」以外にも、いろんな参加の選択肢が増えるといいと思います。