セルフ・リライアンスという生き方

自立した個人として豊かに生きる。長期投資のメモ。

マネーの会で介護の基本を学ぶ(講師・FP柳澤美由紀さん)

ひさびさに「マネーの会」さんのセミナーに参加しました。

テーマは介護。介護に関わるお金や制度の知識、介護と仕事を両立していくためのコツを学びました。
講師は、FPの柳澤美由紀さん。ご自身も遠距離介護経験があります。



2016年8月28日(日)「介護に備えて、今から知っておくべき大切なこと!~介護に関する、お金・制度・仕事との両立まで~」 | マネーの会

介護に対する考え方を変える必要性

はじめに、介護の現状を理解するためのデータが紹介されました。
介護負担の増大が問題になっていますが、長生きに伴い、介護をしている人の平均介護期間は4年11ヶ月と長く、年々伸びています。

介護離職も増えていますが、仕事を辞めて介護に専念している人へのアンケートでは、精神面、肉体面ともに、仕事を辞める前より「負担が増えた」人の方が多くなっています。24時間介護漬けでは介護する側がもちません。

介護が長期化する中で、介護とうまく付き合うには、「身内だけ」から「みんなで支える」発想の転換が必要です。そのためには、介護する側が、要介護者だけでなく、自分の暮らしのバランスもきちんと意識することと、事が起きた時に初動で困らないように、制度を知っておくことです。

知っておくべき「会社の介護制度」と「介護保険」

介護で利用する制度の柱は、会社の介護制度と、公的な介護保険サービスです。

・会社の介護制度
育児・介護休業法で、会社は介護にかかわる従業員をサポートする制度を用意する義務があります。
全企業に義務があるもの(介護休業、介護休暇など)と、選択導入のもの(短時間勤務など)があるので、会社により多少違いますが、「うちは中小企業だから制度がない」ということはありません。
配偶者がいる人は、自分の勤務先だけでなく、配偶者の勤務先の制度も調べておくといいです。

(参考)育児・介護休業法(介護関係制度)の内容 |厚生労働省

・介護保険サービス
介護保険サービスは自己負担1割(一定所得以上の人は2割)で利用できます。
訪問介護、デイサービス、ショートステイなどいろいろな介護サービスがある中で、どこまでが介護保険の適用範囲か?というクイズは難しかったです。

1割(または2割)負担で利用できるものと、全額自己負担となるものは、事細かく決められています。
例えば、要介護のおじいちゃん分の食事や洗濯(家事代行)はOKでも、元気なおばあちゃん分は自己負担だったり、デイサービスの入浴料はOKでも食事代は自己負担となる、等々、かなりややこしいです。

そのほか、介護保険を利用する場合の費用の目安や、高額介護サービス費などの話題もありました。

(参考)介護保険パンフレット|豊島区
→ 介護保険の制度、サービスの種類や費用が詳しく載っています。

介護保険サービスを賢く使うコツ

・介護保険以外のサービスも併用 
介護保険の限度額を超えた「上乗せサービス」や、対象外の「横出しサービス」は全額自己負担です。なので、別の事業者のサービスを組み合わせた方がおトクになる場合もあります。
例として、有償ボランティア団体(家事代行など)、シルバー人材センター(庭の手入れなど)が紹介されました。

・「地域包括支援センター」がおススメ
介護保険の申請は、役所の介護保険課ではなく、介護の専門職員が常駐してワンストップで相談に乗ってくれる「地域包括支援センター」がおススメとのこと。地域包括支援センターはエリアごとに管轄が決まっています。

・必要なサービスを検討してから施設を探す
かといって、何も考えずにいきなり地域包括支援センターに行くと、ランダムに地域のケアマネージャー(介護プランを作る資格者)を紹介されます。ケアマネは、自分の所属する事業所のサービス体制を考慮する場合も多く、結局ニーズに合わないケアプランが作られ、後々困るケースもあるそうです。

まず、必要な介護サービスを検討してから、施設を探し、そこでケアマネージャーを紹介してもらう、という順番が大切です。

介護のプロジェクトリーダーになる

仕事と介護をうまく両立するために、「介護のプロジェクトリーダー」という考え方を教えてくれました。介護に関係する人達(親、自分、家族、近所、ケアマネージャー、サービス事業者、医師、職場・・・)のネットワークをきちんととりまとめ、必要なことを少しずつお願いしていけば、介護とうまく付き合うことができます。
そのためにも、手続きや制度の知識がとても大事だと思います。

まとめ

・介護が必要になったら、まずどんな介護サービスが必要か、プロに頼むべき部分はどこか決める
・使いたいサービスの内容をまず決めてからケアマネージャーに相談する。
会社の介護制度をあらかじめチェックしておく。
・一人で完璧を目指さない。まわりの助けを少しずつ借りる意識をもつ。

そして、柳澤さんの締めの言葉は、「介護は知恵8割、お金2割」でした。
介護はお金がかかる、というのは確かで、資金的な準備も必要ですが、手続や制度を知っているのとそうでないのとでは、かかるお金が大きく違ってくるし、介護をうまく続けられるかどうかも変わってきます。
介護制度は複雑で、専門用語も多いのですが、まずは制度全体の仕組みを知るのが大事だと思います。

具体例や体験にもとづくお話でとても分かりやすかったです。地域包括支援センターやケアマネージャーの話は参考になりました。
機会があれば、具体的な介護費用の話や、施設の選び方(有料老人ホームなど)なども聞いてみたいです。