セルフ・リライアンスという生き方

自立した個人として豊かに生きる。長期投資のメモ。

「社会をよくするビジネスのつくり方」-ソーシャルインパクト経営を考える-(NPO法人いい会社をふやしましょう・シンポジウム)

大手町の「3×3 Lab Future」で、NPO法人いい会社をふやしましょうの公開イベントに参加しました。

【社会をよくするビジネスのつくり方~ソーシャルインパクト経営を考える~】(オルタナS)

登壇者は以下の方々。
・パタゴニア 日本支社長 辻井 隆行さん
・(株)マザーハウス 取締役副社長 山崎 大祐さん
・鎌倉投信(株) 運用責任者 新井 和宏さん



3人のうち、パタゴニアの辻井さんは初めてでした。先日来通ったエシカル協会の「フェアトレード・コンシェルジュ講座」で、あいにく辻井さんの回だけ欠席してしまっていたのです。

環境問題、途上国、金融という別々の分野で、本業を通じてソーシャルインパクトを追求し続ける、パタゴニアとマザーハウス、それに鎌倉投信。みんなが(そしてこの3社のファンである参加者も)同じベクトルなので、とても質の高い議論でした。
盛り沢山すぎてメモが10ページ以上になってしまいましたが。。。 

●目の前のソーシャルを大事に

3つの会社の共通点は、顧客、社員、取引先、投資先・・・といったステークホルダーとの「顔の見える関係」を大事にしていることです。

「ソーシャルインパクト」というと大げさですが、新井さんも言っていた「目の前の人達を大事にする経営」の積み重ねが大事だと思います。投資家としてもユーザーとしても、そういう会社と長く関わりたいです。

そういった継続的な関係づくりによって、3つの会社は全て「熱狂的なファン」がいるのも共通点です。「信じる人を増やせばもうかる」という伊那食品工業・塚越会長の言葉はその通りだと思います。

●本業に組み込まれた社会性

いわゆる大企業のCSRは、利益が出たオマケの社会貢献活動だったり、企業イメージアップのための広告宣伝活動の枠を出ません。(ヤマトHDのような会社もあるし、全部がそうだとは言いません。)

一方、この3社は、本業自体に社会的な要素が内包され、ビジネスそのものでソーシャルインパクトを生み出しています。

●しかし「社会貢献」ありきではない

だからといって、パタゴニアもマザーハウスも、顧客に対して「社会貢献のために当社の商品を買ってください」とは決して言いません。

あくまで、デザインや機能面に優れた商品づくりで勝負していますし、ユーザーからもそこが評価されています。環境問題やエシカルといったストーリーは、ブランドを支える価値観ですが、そこばかり前面に出したら、こんなにユーザーは増えなかったでしょう。

鎌倉投信も、「パフォーマンスは悪いけどいい会社に投資するから投資してください」というきれいごとだけでは、純資産200億以上まで伸びなかったはずです。



●ひとりひとりの関わり方

最後に、新井さんが紹介した、ヤマトHD木川会長の言葉は響きました。

『為さざるの罪』という言葉がある。社会人であれば、社会のためにできることは必ずある。できる人とそうでない人の違いは『やるかやらないか』『やる覚悟があるかどうか』。

「ソーシャルインパクト経営」というテーマでしたが、経営者の立場にいなくても、仕事、それ以外の活動を通じて、社会をよくするために動くことはできます。

質疑応答では、オジサンの多い投資系のイベントとは違って、若い女性の方々からも本質的な質問が相次ぎました。議論が盛り上がりすぎて交流会の時間がなくなるほどでした。笑いも多く、とても一体感のあるイベントでした。


(追記)「石木川ダム」問題を考える映画づくり
パタゴニア・辻井さんも関わっている、長崎・川棚町のこうばる地区で計画中の「石木川ダム」問題を考えるドキュメンタリー映画「ほたるの川のまもりびと(仮)」が紹介されました。

監督の山田英治さんは、大手広告代理店でCMプランナーのほか、脚本、作詞も手掛けるマルチなクリエイターです。東日本大震災を機に、クリエイティブを通じて社会課題を解決しようと一気にシフトチェンジしたそうです。

ダムのような公共事業は、関係者それぞれに言い分があり、何が絶対正しいとは言えませんが、この映画で伝えようとしている、賛成の人も反対の人もみんなで一緒に考えることは大事です。

現在、製作費をクラウドファンディングで募っています。参加しようと思います。
里山にダムはいる?いらない?故郷を守ってきた人々の暮らしを巡る映画を完成させたい|クラウドファンディング|A-port