セルフ・リライアンスという生き方

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地域再生に個人のお金を呼び込む? 不動産特定共同事業法の見直し検討

不動産を活用した地域再生について、こんなニュースがありました。

空き家 小口資金で再生 国交省、事業参入要件を緩和 資本金1000万円から 地場不動産やNPOも(日経新聞)

「小規模不動産特定共同事業」創設など3つの方向性提示/国交省不動産投資市場政策懇談会(不動産流通研究所)



『国土交通省は投資家からお金を集めて空き家や古民家を再生する事業の規制を緩める。事業者に求める資本金の要件を現在の1億円から1000万円に下げ、まちづくり会社やNPOが参入しやすくする。インターネットでお金を集める「クラウドファンディング」も使えるようにする。個人マネーを呼び込み、地域の再生を後押しする。』

(日経新聞記事より)

ソースはこちら。
空き家再生などの小規模なプロジェクトに、「不動産特定共同事業」を使おうという有識者会議の提言です。

不動産投資市場政策懇談会 報告書をとりまとめ ~不動産特定共同事業に関する制度のあり方について~

ポイントは2つ。

1.小規模不動産特定共同事業の特例創設
・小規模な不動産ファンドを不動産特定共同事業で組成する場合の事業者の資本金要件の見直し(1億円→1,000万程度)

2.投資型クラウドファンディングへの対応
・投資型クラウドファンディングを使った不動産特定共同事業を行う場合、ネット経由での契約締結をOKに

不動産特定共同事業は、投資家から集めた資金で現物不動産を購入し、収益を配当するスキームの一つです。不動産特定共同事業法(不特法)で定められています。世間的に知名度は低いですが、REITなどよりずっと歴史は古く、不動産証券化の元祖的な存在です。

商品としては、東京建物の「インベスト・プラス」、住友不動産の「サーフ」が有名です。最近話題になることの多い「みんなで大家さん」もそうです。

ただ、不動産特定共同事業を行うには、宅建業免許が必要なほか、最低資本金が1億円というハードルがあり、誰でも参入できるものではありません。
7月末現在の許可事業者は71社いますが、大手デベロッパーや上場ファンド会社、その子会社が大半です。

提言にある法改正(小規模事業の特例やクラウドファンディング対応)がなされれば、空き家や空き店舗を購入して再生するケースなど、比較的規模の小さい事業を、地元の不動産会社や、投資型クラウドファンディング事業者などがファンドの形で手掛けやすくなります。

現状、不特法以外に、他人からお金を集めて不動産ファンドを作る方法としては、信託を使ったGK-TKスキームや資産流動化法に基づくTMKスキームが代表的です(そちらの方がむしろメイン)。

しかし、物件の性質(遵法性、規模等)や組成手続、セットアップコスト、各種免許やコンプラ体制の整備などを考えると、例えば地場の不動産会社が、自前でこれらのスキームを使ってファンドを立ち上げるのはほぼ無理です。
その点、不特法が簡単に使えるようになればいいかもしれません。(もちろん一定の投資家保護要件は必要です)

個人としては、例えばセキュリテのような投資型のプラットフォームを通じて、地方都市の中心市街地の空きビルの再生とか、田舎の古民家再生など、地域再生やコミュニティづくりにお金を出せたら面白いなと思います。

こういった不動産は、リスクの割に収益性が見込みにくいからこそ放置されてきた面があるので、純粋にリターンを求める投資家のお金は集まりにくいとは思います。

ただ、「地域再生」「まちづくり」「コミュニティ」・・・という文脈で、少額から応援できる仕組みがあれば、既存の寄付型クラウドファンディングのユーザーや地元の人たちを中心に、関心を持つ人も多いのではないでしょうか。