昨年9月に設定された、「ブラックロック・インパクト株式ファンド」が第1期の決算を終え、運用報告書がアップされています。
企業活動の社会課題に対するインパクトに注目して、先進国を中心に世界全体の株式に投資するファンドということで、(ごくわずかですが)積立をしています。
(ブラックロックのHPより)
●ブラックロック・インパクト株式ファンドの第1期データ
第1期:2015年9月30日~2016年9月20日
下記は決算日時点のデータです。
本ファンドは、「限定為替ヘッジあり」と「為替ヘッジなし」の2種類があります。自分積み立てているのは「為替ヘッジなし」です。
・基準価額
為替ヘッジあり 10,000円 → 10,764円(+7.6%)
為替ヘッジなし 10,000円 → 9,127円(▲8.7%)
ヘッジ付はプラス、なしはマイナスなので、為替の影響大でした。ただ、決算日以降、株高円安が進んだので、今日現在では為替ヘッジなしもプラスです(1/6基準価額は10,931円)。
・純資産総額
82百万円(為替ヘッジなし)、21百万円(為替ヘッジあり)
設定当初は、「社会的インパクトに注目した初めての公募投信!」と宣伝されましたが、合計1億円ちょっとのお寒い状態です。
外国株式中心のアクティブファンドとしては信託報酬も1%切りで、もう少し売れるかと思いましたが、販売がネット証券(SBI、楽天、マネックス)のみなのがむしろネックかもしれません。
なお、本ファンドは、ブラックロックの運用する「BSFブラックロック・インパクト・ワールド・エクイティ・ファンド」に投資するファンド・オブ・ファンズです。サブファンド自体は、2015年11月末現在で純資産が約2億ドル以上あります。
・組入企業数
サブファンドの組入企業数は527社でかなり分散されています。
国別の投資比率は、最新の運用レポートによるとアメリカが59%、日本が9%、イギリスが6%、次いでカナダ、フランス、ドイツ、スイス・・・と続きます。
●パフォーマンス
本ファンドにはベンチマークも参考指数もありません。
一方、サブファンド(BSFブラックロック・インパクト・ワールド・エクイティ・ファンド)のベンチマークはMSCIワールドインデックスですが、円建や配当込の数字は入手できませんでした。また、「代表的な資産クラスとの騰落率の比較」も、当ファンドがまだ短いため、比較できません。
そこでより直感的に、「セゾン資産形成の達人ファンド」と直近1年の値動きを比較してみました(ブラックロックの決算期とはリンクしていません)。
地域別の配分割合が多少違いますが、両方とも世界全体の株式(日本含む)を対象としているので、動きは似ています。
(青:資産形成の達人F、赤:ブラックロック・インパクト株式F)
●インパクト投資ではない?がESG的には面白い
このファンドは、「持続的な社会的インパクトを与えることを目指す企業への投資」を掲げてはいますが、上場企業を投資対象としているので、社会的なリターンも重視する「社会的インパクト投資」と言えるかは微妙です。
具体的には、日々発生する企業に関する大量のデータ(IRやテキストベースのものも含む)や、外部機関から入手したデータを独自のモデルで処理分析します。
その結果得られた、「疾病研究」や「環境保全」「従業員満足度」のスコアが高い企業をオーバーウェイト、「社会的・道徳的問題」「訴訟」のスコアが悪い企業をアンダーウェイトします。ブラックロックが「科学的アクティブ運用」と言っている、システムによるデータ解析を前面に出した運用です。(なので、外国株式メインのアクティブファンド、しかもFoFsにしてはコストが低め。)
(11月月次レポートより)
インパクト投資とは言えなくても、ESG投資のひとつとしては面白いと思っています。中長期のパフォーマンスがどうなるのか引き続き見ていきます。