1/15に、海外向けソーシャルレンディングを提供する、クラウドクレジットの運用報告会に参加しました。
自分は、途上国や新興国の中小事業者や個人をサポートできる投資ということで、同社のカメルーンやペルーのファンドに出資しています。
今回は、各ファンドの運用状況について詳細に説明があり、理解が深まりました。珍しくPCを持ち込んだので、備忘メモを残しておきます。
東京開催!クラウドクレジット運用報告会|クラウドクレジット
クラウドクレジットの近況と今後(杉山智行社長)
冒頭、代表の杉山智行さんより、近況のご説明がありました。
・現在約10種類の海外向けローンファンドを提供。登録ユーザーは約2,600名、うち実際にファンドに出資しているのは約1,300名。ローン成立額は16億円を突破(今日現在だと17億円を超えています)。
・プロダクト、投資家コミュニケーション、UIの3つを柱に今後もサービスを強化していく。
・利回りの高さの背後にあるリスクをきちんと理解してもらうと同時に、株式とは違うローン投資の本来のリスク特性や、分散によるリスク低減効果を初心者の顧客にもしっかり説明していく。例えば、「デフォルト」というと貸したお金が100%なくなるイメージを持つ人もいるがそうではない。
・UIの面では、Web上で、保有している各ファンドのパフォーマンス、返済時期が分かり、為替変動によるリターンの変化も想定できるポジション一括管理機能を提供すべく準備中。
(参考)「ポジション一括管理機能」を導入します|クラウドクレジット
・現在、さらにファンドを増やすべく、今まで提供していなかった新規の国でも組成準備中。
ソーシャルレンディング全体の動向はよく把握していないのですが、クラウドクレジットは、2015年中頃から、ユーザー数、実際の出資額の増加ペースが速まっているようです。
投資家一人あたりの平均出資額は100万円を超えているとのことで、結構多い印象を持ちました。
各ファンドの運用状況(商品部長・依田雅彦さん)
運用中の全ファンドについて、運用状況の説明がありました。今は募集されていないものや、小規模なものもあるので、自分が投資しているカメルーンの中小企業支援プロジェクト、ペルーの小口債務者支援プロジェクトを中心に、気になったものを書きます。
●預託金口座導入とファンドの仕組みの変更
最近、クラウドクレジットは「預託金口座」を導入しました。ファンドを購入する度に都度振込する必要がなく、預託金口座に投資用資金やもらった分配金をプールでき便利になりました。
これに伴い、海外子会社への貸付は、クラウドクレジット本体ではなく、クラウドクレジット・ファンディング合同会社(GK)からに変更されました。
われわれ出資者がファンドを購入した場合、預託金口座からGKに出資金がファンディングされ、GKを経由して海外子会社、さらには最終資金需要者に貸し付けられます。お金の流れが多少複雑なので、基本はおさえておく必要があります。
(クラウドクレジットHPより)
●カメルーン中小企業支援プロジェクト●
本ファンドは、Ovamba社と提携して、カメルーン国内の中小事業者に対するトレードファイナンス債権に投資するものです。私も少しばかり出資中です。過去記事もご参照。
・累計ファンド組成額 527百万円
1号ファンドから8号ファンドまでを運用中。
・カメルーンファンドは、クラウドクレジットの多くのファンドと違い、各号のファンド毎に最終的な資金需要者(債務者)が異なる。したがって、ある号で投資したトレードファイナンスでデフォルトや延滞が発生した場合、その号のリターンには影響するが、他の号のファンドには影響しない。逆に言えば、号ごとに与信先の企業が異なるので、リターンも変わってくる。
資料では、カメルーンファンドの1号から8号まで(為替ヘッジあり/なし)について、実際の運用額、トレードファイナンスの件数、各案件の債権額が説明されていました。トレードファイナンスは、小さいものでは何千ユーロから、大きいものでは何十万ユーロ単位まであります。何となくですがイメージが湧きました。
実際に、カメルーンの1号ファンド(為替ヘッジあり)で、エンドの債務者である現地のベーカリー事業者がトレードファイナンスに基づく買戻し債務を履行できず、運用期間を延長する措置が取られました。(昨年12月のリリース)
このように個別の債権が延滞しても、別の号のカメルーンファンドは債務者が全く別なので、直接関係ありません。
逆に、例えば、同じクラウドクレジットの「東欧金融事業者支援ファンド」では、メインの最終資金需要者(借り手)が、個人向けローンを提供するキプロスの金融事業者1社なので、そこからの返済が滞ると、運用中の全ての号のファンドが影響を受けます。利回りが高い低いだけでなく、最終資金需要者とお金の流れを十分理解しておくのが大事です。
●北欧個人向けローンファンド
フィンランドを中心に個人向け融資や、個人向け債権の買取・回収を行うローンファンドです。前者はフィンランドのFellow Finance、後者はエストニアのBondoraというP2Pレンディング業者と提携してファンドを組成しています。
・累計ファンド組成額 67百万円
運用形態はエストニア子会社による全シリーズの合同運用。リターンの増減は運用中の全ての号の出資者に影響する。
・2017年1月10日時点の債権のデータ
<Fellow Finace>
未返済ローン元本 337千EUR(567件)、平均貸付金利 18.81%、うち延滞なし債権75.0%
<Bondora>
未返済ローン元本 49千EUR(121件)、平均貸付金利 29.55%、うち延滞なし債権80.19%
・延滞があること自体はローン投資では心配する必要はない。本ファンドも一定割合のデフォルト率を見込んでおり問題ない。ただし、当初見込んだよりも、全体的に個人向けローンの金利が下がっている。例えば、同じ与信の債務者でも、以前は18%の金利がとれた今は12%ぐらいに下落しているイメージ(18%で借りたローンが12%でリファイナンスできる状態)。
・新規貸付の都度リターンが下がるため、当初の想定よりファンド全体の利回りも低下している。債権の質は問題ないが、金利水準の低下により、予想分配利回りが確保できない可能性がある。
(参考)北欧個人向けローンファンド (全号共通) 2016年12月期(2016年12月1日~12月31日)の運用状況及び分配について
全体的に、資金供給サイドの競争が激しくなっているようで、金利水準が下がっているという話は随所に聞かれました。
前半はここまで。
後半は「ペルー小口債務者支援プロジェクト」などについてまとめています。
クラウドクレジットの運用報告会に参加(その2)
(追記)当日の資料がこちらにアップされています。
クラウドクレジット運用報告会を開催いたしました。