セルフ・リライアンスという生き方

自立した個人として豊かに生きる。長期投資のメモ。

NPO法人PIECESのクラウドファンディング感謝祭に行ってきました

先日、Readyforで500万円の目標を達成した、NPO法人PIECESのクラウドファンディング感謝祭に行ってきました。

PIECESは、児童精神科医の小澤いぶきさんが代表を務め、昨年6月にNPO法人化しました。社会的にさまざまな困難な状況にある子どもたちや若者に寄り添う「コミュニティユースワーカー」を軸に活動しています。

PIECESの取り組みについては、過去にもご紹介しました。

NPO法人PIECESのクラウドファンディング(Readyfor)を応援

NPO法人PIECES設立記念パーティに参加しました

今回は、Readyforのリターンとして、支援者向けに活動内容を詳しく紹介するイベントでした。
過去記事とも重なりますが、大事なポイントが多いのでメモしておきます。

●代表・小澤いぶきさんより



・PIECESは、子どもたちがさまざまな困難にぶつかっても、人との関わりの中で何とか乗り越えていけるような社会を目指す。(=いぶきさんは「レジリエンスのある生態系」と表現します)

・定点的な学習支援や貧困対策だけでなく、子どもたちに対して網の目のように途切れない「つながり」、多様な大人との関係性をつくっていく。その関係づくりを担うのがコミュニティユースワーカー(CYW)
※今回のReadyforは、コミュニティユースワーカーの育成のための資金を募りました。現在2期目のCYWメンバー(学生、社会人)が活躍しています。

・(児童精神科医として医療に携わってきたが、)医療でケアした子が社会に戻ったとしても、戻ったその社会が寛容でなければまた医療に戻ってきてしまう。だから社会を変えないといけないという思いがPIECESのベースにある。

●PIECESの事業報告と今後(理事・荒井佑介さん)



Readyforのクラウドファンディングは、当初200万円目標だったが、500万円のNEXT GOALも達成したのは、PIECESのメンバー自身が驚いているとともに、支援してくれた方々に本当に感謝している。
→ 500万円はさすがに厳しいかな?と応援した自分も思っていましたが、最後の追い込みは凄かったです。

・SmartNewsの「ATLASプログラム2」に、認定NPO法人フローレンスとともに選出。SmartNewsアプリ上での広告枠1000万円分の無償提供を受けることになった。

SmartNews ATLAS Program 2の支援先としてフローレンス(赤ちゃん縁組)とPIECES(CYW育成)の二団体を選定

・「コミュニティユースワーカー」は、若者を支援するユースワーカーと、地域で福祉のコーディネートを行うコミュニティソーシャルワーカーという言葉からきたPIECESの造語。半年間の研修と実地の活動を通じて、子どものニーズに応じた支援ができる人材を養成する。

・親でも、友達でも、先生でもない、だけど子どもに寄り添い、一緒に伴走するのがコミュニティユースワーカー。
→ この「親でも、友達でも、先生でもない」けど寄り添ってくれる大人、というのはCYWの役割や位置づけを知ってもらうのにとてもいい表現だと思いました。ほどよい距離感、だけど一緒になって考えてくれる、という関係性がちょうどいいんだと思います。

・CYWの特徴は、ひとりひとりのオーダーメイドの支援を行うこと。

「自立」とは、「多様な依存先があること」といえる。まず最初に子どもにつながり、寄り添う人(=CYW)を育成することによって、その人が多様な大人たちと子どもをつなげることができる。

・CYW1期生は、昨年6月から11月まで活動し、豊島、板橋、足立エリアで194人の子どもたちを支援した。割合は中学生が約4割、ついで高校生。
具体的な活動はさまざま。学習支援や、10代シングルマザーのサポート、不登校の子の支援、プログラミング教室など・・・。

・子ども食堂やプレーパークなど小中学生までのサポートは地域でも比較的あるが、高校生の支援が少なかったりするので、PIECESがそこを担うことによって、切れ目のない支援をつくっている。

・今後は、学習支援だけでなく、個々のやりたいこと、得意なことを伸ばすための体験活動に力を入れていきたい。

・中長期的には、目の前の課題解決だけでなく、育成した人材の他団体への派遣や、CYWのプロフェッショナル人材化、地域の様々な支援リソース(人)のデータベース化など、仕組みづくりを目指す。

●コミュニティユースワーカー活動報告



その後、4人のコミュニティユースワーカーのメンバーから、実際の活動報告がありました。

板橋の古民家で開かれている10代ママのサポート会、不登校の子の家庭訪問、調理師志望の高校生がイタリア料理をふるまった「子どもトラットリア」、そしてゲームアプリの製作教室など、アイディアを出し合ってさまざまな活動が行われています。

得意な分野、好きな分野で他人から評価される結果、子どもたちの自己肯定感が高まり、少しずつでもプラスの方向に転換できるとしたら素晴らしいことです。

とはいえ、貧困や不登校など、みんなさまざまな複雑な事情を抱えているので、簡単に心を開いてくれない子も多いそうです。サポートする側が参ってしまうことのないよう、CYWの研修ではストレスコーピングなども取り入れているとのことでした。

ブログには、CYWの活動やメンバーの想いがアップされています。
コミュニティユースワーカー活動ブログ

●湯浅誠さんコメント



CYWプログラムのアドバイザーとしてPIECESに関わっている湯浅誠さんも会場に来られていて、コメントされました。

・もともと、弱者に対する「個別の寄り添い型の支援」(PSS:パーソナルサポートサービス)の必要性をずっと言ってきた。PIECESの理念はそことマッチするので、応援している。

・社会的に弱い立場にいる人は、そもそも社会に対する信頼感がなくなっている。PIECESのような支援によって、困難な状況にある人たちが自己有用感(自分が役に立っているという気持ち)を持てるだけでなく、失っていた社会に対する信頼感を取り戻すことにつながる。だから、大きな社会づくりの観点から見ても大事。

イベントの後半では、実際にPIECESのサポートを受けた子と話したり、他の支援者とも交流の機会がありました。

PIECESが目指す、人との「つながり」によって、子どもたちを社会からこぼれ落ちさせないという考え方には共感しています。また、「人」を軸にしたオーダーメイドの支援、個別の寄り添い型のサポートという手法も求められていることです。
ぜひ、PIECESの活動を多くの人が知ってもらえればと思います。