セルフ・リライアンスという生き方

自立した個人として豊かに生きる。長期投資のメモ。

コモンズ投信の8周年イベント「The 8th Commons Dialog」に参加(その1)

コモンズ投信の8周年イベントに参加しました。

運用報告とともに、受益者と投資先企業、寄付先、運用会社の共創と対話をテーマに掲げた、まる一日の盛り沢山のイベントでした。

The 8th Commons Dialog~共に創る"対話"の時間~(コモンズ投信8周年イベント)

昨年は仕事で途中退席してしまったのですが、今年はフル参加できました。



午前中は、コモンズ投信の運用する2つのファンドの運用報告でした。
私は、コモンズ30ファンドを保有しています。

●コモンズ30ファンド運用報告

社長の伊井さんより、コモンズ30ファンドの第8期の運用報告と、運用の考え方を改めて説明頂きました。

見えない価値に着目した、長期・集中厳選投資という運用哲学の背骨の部分は何ら変わりがありません。
投資プロセスでは、見える価値である収益力と、見えない価値である4つの力(競争力・経営力・対話力・企業文化)を柱に企業を見ています。

特に、対話力と企業文化という要素を組み込んでいるのが30ファンドの大きな特徴です。午後の部の企業との対話でもテーマになっていますが、長期目線の投資だからこそ、経営者と長期的な視点で対話ができます。




第8期(2016年1月19日~2017年1月18日)の主なポイントです。
・騰落率 +15.9%(分配金240円)
・純資産総額 86.7億円(マザーファンドは約210億円)
・実質コスト1.398%、売買高比率0.96
・組入企業 30社
 今期は新規組入、全売却ともにありません。

30社の投資先はこちら
2月末時点では、日東電工、ディスコ、東京エレクトロン、信越化学、堀場製作所あたりが上位に並んでいます。基本は30社ほぼ均等投資なので、大きなウェイトの偏りはありません。

第8期に、企業の入れ替えはありませんでしたが、長期投資ファンドなので、企業を選ぶプロセスももちろんだが、実際に投資した後のポートフォリオの観察と管理が非常に重要で、そこに力点を置いているという話がありました。

対話の取り組みとしては、投資先との間で「企業価値研究会」を立ち上げ、見えない価値と長期的な企業価値創造について議論しています。コモンズ投信らしい取り組みだと思います。
(参考)コモンズ投信「企業価値研究会」-SDGs

受益者の一人から、情報漏洩問題以降低迷しているベネッセHDをなぜ保有し続けるのか?との質問がありました。
10年20年先を見た場合に、トラブルは売りではなく対話だという伊井さんの回答は納得でした。企業文化や体質も含めた、会社の底力を見極めています。まさにそれが見えない力なのだと思います。

●ザ・2020ビジョン運用報告



続いて、運用部長の糸島さんから、もう一つのファンド、ザ・2020ビジョンについての報告でした。2020ビジョンは、糸島さん色が前面にに出たファンドです。

私は2020ビジョンは持っていないのですが、糸島さんのポリシーはよく分かった気がします。

※糸島さんは、以前はコモンズ30ファンドの運用にもFMとして関わっていました。
ただ、昨年8月の役割分担の変更で、投資委員会の1メンバーという位置づけになり、2020ビジョンにより軸足を移しました。コモンズ30ファンドの運用が落ち着いてきたのは、この影響が大きいと思われます。

(過去記事)コモンズ投信(コモンズ30ファンド)の運用体制変更

ザ・2020ビジョンは、30ファンドよりも短い時間軸(5年程度)の「変化を買う」ファンドです。自ら「変化」を始めた企業、環境の変化に対応して「変化」にチャレンジする企業に注目します。

コモンズ30ファンドがじっくり、ゆっくりだとすれば、こちらは現金比率のコントロールも含め、かなり激しくダイナミックな運用です。

糸島さんが変化に注目する背景は、コーポレート・ガバナンスコードとスチュワードシップ・コードの導入で、企業のウチとソトの両面から、日本の企業も欧米並みに「稼ぐ力」を発揮することが求められるようになったことです。
株式市場における3回目の開国、と表現していました。

そういう文脈で、例えば今のROEが低くても、潜在的に稼ぐ力が大きく、大化けするポテンシャルのある会社に投資します。

代表的な投資先の一社、サイバーダインの紹介もありました。日本=成熟しているからダメ、ではなく、高齢化や就労人口減少など日本が課題先進国であるからこそ、むしろそれをチャンスとして成長できるような会社に投資する、という考え方はよく理解できます。

糸島さんは、モーニングサテライトなどテレビ出演も頻繁にされていて、とても弁が立つ方ですね。
パフォーマンス的に、第3期は1期、2期の好調ぶりと比較すると振るわなかったので、気合いを入れたいとのことでした。



運用報告のまとめとして、渋澤さんが、自分と伊井さん、糸島さん3人のキャラが全く違う、と自ら言っていました。

まさにその通りで、30ファンド派の自分にとっては、2020ビジョンが設定された当初は、「コモンズ投信らしくない?」とも感じました。ただ、運用方針や運用プロセスはどうあれ、受益者との対話を大事に、受益者の長期的な資産形成を目指して運用するという大きな考え方のもとで、性格の違うファンドが共存しているのもコモンズらしさかな、と今では思っています。

午前の部はここまで。

午後の対話の部はこちらです。