代官山のT-SITE蔦屋書店にて、鎌倉投信の新井和宏さんの新著「持続可能な資本主義」の出版記念トーク&サイン会が開かれました。
【トークイベント】『持続可能な資本主義』発売記念 新井和宏さん トーク&サイン会
新井さんの生い立ちから信託銀行~外資(BGI)時代、病気を患ってBGIを辞め、鎌田さんに誘われて鎌倉投信を立ち上げるまで、現在の「いい会社」との関わり、そして本に込めたメッセージまで、たくさん聞けました。
(写真はNGでした)
聞き手は代官山蔦屋書店の勝屋なつみさん。
勝屋さんは、金融やお金ではなく、料理や食が専門ということで、「食」と「金融」の対比の話は面白かったです。
例えば、「食」の世界では、とにかく安いものばかりを買うのではなく、生産者の顔の見える食材や、安全性、環境、トレーサビリティにこだわる消費者が増えています。
金融も同じで、ブラック企業に投資していようが、兵器産業に融資していようが、とにかく儲かりさえすればいい、という投資家もいる一方で、鎌倉投信のように、投資先とのつながりや、目先のリターンだけでない社会的価値を重視する投資家もいろんなレベルで出てきました。
両方とも、後者は、自分のお金がどう使われているか関心を持とう、短期的なリターンだけでなく、長期的な社会全体の持続可能性を大事にしようとする人たちです。
リンク先の記事で、勝屋さんが、「食のブラックボックス化」を指摘しています。
リターンを求めるあまり何に投資しているか分からなくなったサブプライムローンは、まさにこれに対応すると思います。
投資未経験の人に、「投資しています」というと分かってもらいにくいどころか、引かれてしまうのがオチですが、なるほど食に例えると伝わりやすいかも、と思いました。
また、新井さんは、「鎌倉投信は自然栽培のようなもの」とも。
世界中全てが自然栽培やオーガニックにならないとしても、そういう大事な価値がある、ということを示し続ける存在だと思います。
この本の基本的なテーマは、株主至上主義の経済から、「八方よし」=全てのステークホルダーと価値を共有する経済への転換です。それは、「誰かの犠牲で成り立つ経済を、終わらせよう。」というサブタイトルにも込められています。
それを経営者や学者ではなくて、鎌倉投信という投資家が使命として掲げ、そこにわれわれ個人が共感し、200億円以上ものお金を託しているところに意味があるんだと思います。
「見えざる資産」=企業文化にふれていたり、ROE偏重主義への批判、フローからストックへの転換など、鎌倉投信に投資していない人に読んでもらいたい内容が盛り沢山です。
特に、社会課題をどう解決していくか、という点では、NPOセクターへの提言の部分は関心を持ちました。「いいNPO」にお金が流れる仕組みに、新井さんがどう関わっていくのかにも注目しています。
(追記)イベントの翌日の3/29で、鎌倉投信の結い2101が設定7周年を迎えました。約3億で始まったこのファンドも、今や受益者数16,000人超、資産規模は260億円以上まで大きくなりました。
私は受益者になってもうすぐ4年ですが、鎌倉投信をきっかけに、投資に対する考え方だけでなく、人生の価値観が大きく変わったのは間違いありません。「感謝」とサイン頂きましたが、こちらこそ本当に感謝しています。