グラミン銀行をモデルに、貧困層・生活困窮者向けの無担保少額融資を行うマイクロファイナンス機関(グラミン日本)の創設に向けたワークショップに参加しました。
講演会・ワークショップ『「グラミン日本」の立上げに向けて』
主催は草の根金融研究所さん。
「構想グラミン日本」の著者で、元・世銀日本代表理事、グラミン・アメリカのアドバイザーも務めた、菅正弘さん(明治学院大教授)を講師に迎え、意見交換が行われました。
6/2、6/3の2回のセミナーで100人近い参加者がいたようで、関心の高さが感じられました。
==== 菅さんは、今年2月に、グラミンの創設者、ムハマド・ユヌス氏とグラミン日本の設立について合意、今後、準備組織としてグラミン日本準備機構を設立予定です。
グラミン日本は、先進国の中でもワーストレベルにある、日本の貧困の問題を金融の力で解決することを目指します。
基本構想はこのようなものです。
・借り手は5人一組の互助グループをつくる。(グラミン銀行と同じシステム)
・融資対象は貧困ライン以下の生活困窮者(約2,000万人)のうち、働く意欲・能力のある人。就労や起業のための資金(シードマネー)として無担保の融資を行う。生活資金には融資しない。
・「ユヌス・ソーシャルビジネス7原則」に基づき運営される。投資家の投資回収は最大で元本100%で、投資額以上の配当はされない。
出資者の利益を最大化する純粋な営利企業ではなく、社会的なリターンを追求するソーシャルビジネスとして運営されます。ただし、事業を持続可能とするだけの金利はもちろん徴収します。
資金提供者に元本以上のリターンがないのは、KIVAやオイコクレジット、国内のNPOバンクなどと同様です。
(参考:ユヌス・ソーシャルビジネス7原則)
1.利益の最大化ではなく、社会問題の解決することが目的であること。
2.財務的に持続可能であること。
3.投資家は投資額を回収するが、それ以上の配当は分配されないこと。
4.投資額以上の利益は、ソーシャル・ビジネスの拡大や改善のために使うこと。
5.環境へ配慮すること。
6.スタッフは標準以上の労働条件・給料を得ること。
7.楽しみながら仕事をすること。
具体的なビジネスモデル、組織形態、融資形態も詳しく説明がありました。
まだ素案なので、書きませんが、先進国型のマイクロファイナンス(グラミン・アメリカ)がベースになっているようです。
今後1年間を目途に、組織・ファイナンスのオペレーション、資金調達(出資、寄付、助成・・・)、他団体(NPOなど)との連携など具体的な部分を詰めていきます。
当初の資本は7億円を調達するとしています。1年は相当ハードルが高く、講演後の意見交換ではかなり厳しい意見も出ましたが、他の先進国でも既に実績があるので、実現不可能ではないという印象を持ちました。
グラミン日本は、やる気はあっても経済的な事情で一歩を踏み出せない人たちを包摂する社会を、金融を通してつくる取り組みです。
また、株主優先ではなく、全ステークホルダーに貢献するソーシャルビジネスのモデルとなります。
設立に際して、個人の出資や寄付なども検討中なので、具体化したら何らかのかたちで関われればと思います。