GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、かねてより公募していたESGインデックスの選定結果を発表しました。
今後、パッシブ運用のうち、国内株式の一部を、選定した指数に基づくESG投資(E:環境、S:社会、G:ガバナンスに配慮した投資)にあてます。すでに国内株式の3%、1兆円程度で運用開始したとのこと。
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(GPIF公表資料より)
選ばれた指数は次の3つです。
FTSEとMSCIという、大手インデックスプロバイダー2社が採用されました。
1.FTSE Blossom Japan Index
2.MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数
3.MSCI日本株女性活躍指数
(GPIFリリース)ESG指数を選定しました(PDF)
1.FTSE Blossom Japan Index (総合型)
FTSE Japan index(約500銘柄)から環境・社会・ガバナンス要因への対応力が優れた企業を選定。
構成銘柄数は151。
(上位10銘柄)(クリックで拡大)
トヨタ、三菱UFJ、JR東日本、セブン&アイ・・・と続きます。
2.MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数 (総合型)
MSCIジャパンIMIの時価総額トップ500銘柄のうち、各業種から、ESG評価が高い銘柄を、該当する業種の時価総額50%になるまで選定。
構成銘柄数は251。
(上位10銘柄)
KDDI、三井住友フィナンシャル、キーエンス、信越化学・・・となっています。
3.MSCI日本株女性活躍指数(WIN)(テーマ型)
1、2、はESGをトータルにみる総合型指数ですが、こちらはダイバーシティに着目した、S(ソーシャル)をカバーする指数です。
MSCIジャパンIMIの時価総額トップ500銘柄のうち、性別多様性スコアが高い上位半数の銘柄を選定。構成銘柄数は212。性別多様性スコアは、女性活躍推進法による開示データに基づき算定。
(上位10銘柄)
こちらもKDDIが組入比率1位、次いでアステラス、ブリジストン、ドコモ・・・です。
以上3指数のほか、E、S、GのうちE(環境)をカバーする指数も現在検討中です。
どれも、ESGスコアの高い企業を選んで指数化する、ポジティブ・スクリーニングに基づきます。欧米で拡大しているネガティブ・スクリーニング(環境や社会的に望ましくない企業を投資対象から外す)にまで踏み込むのは難しいようです。
また、あまり特定の企業に集中投資することのないよう、どれも比較的広範に分散されているので、指数構成をみてもそれほど目を見張るものはありません。
このあたりは、巨大な公的年金として、バランスや中立性にできるだけ配慮しているように感じました。
とはいえ、今回のGPIFの発表で、ESGを考慮した運用が、環境や社会の「ネガティブな外部性」を最小化し、長期的なパフォーマンス(リスク調整後リターン)を改善するはず、と明言したのは意義があると思いました。
また、最大の機関投資家であるGPIFがESGを長期投資の柱に据えることで、運用を委託される運用会社、評価される企業へとESG対応の流れが加速します。
(GPIF公表資料より)
今後は、指数運用以外のアクティブ運用にも拡大するとのことなので、ポジティブ・スクリーニング以外のESGの運用手法の多様化も含めて期待します。
(参考)【日本】GPIF、日本株ESGインデックスを3つ選定。ESG総合型で2つ、社会テーマで1つ | Sustainable Japan