セルフ・リライアンスという生き方

自立した個人として豊かに生きる。長期投資のメモ。

第51回テラ・スタイル東京(ゲスト:認定NPO法人ACE代表 岩附由香さん)

認定NPO法人テラ・ルネッサンスの月1回の東京での講演会、テラ・スタイル東京の51回目。

児童労働問題に取り組み、設立20年を迎えた認定NPO法人ACEの代表理事・岩附由香さんをお迎えしました。

ACEは、先日Readyforのクラウドファンディングを応援したり、日頃フォローしていますが、岩附さんの話をじっくり聞くのは初めてでした。テラ・ルネッサンスの鬼丸昌也さんとのトークも興味深く聞きました。

●ACEの活動



ACEは、岩附さんが学生だった1997年に活動開始。児童労働に反対する世界的キャンペーン「グローバルマーチ」を仲間と実施したのがきっかけでした。今年で活動開始20周年を迎えます。
先日20周年のプレイベントにも参加させて頂きました。

日本ではピンときませんが、世界を見ると未だに「1億6,800万人」もの児童労働が存在します(ILOの2013年統計)。これでも減少傾向ですが、日本の全人口より多いのには驚きます。
※児童労働とは、学校に行く権利を奪われる労働、有害で危険な労働を指します。
児童労働入門講座 | 世界の子どもを児童労働から守るNGO ACE(エース)

児童労働は、条約で禁止されているものの、途上国や一次産業を中心に実態としては全くなくなっていません。

ACEは、その中でも、インドのコットン生産地域、ガーナのココア生産地域で活動しています。
スマイル・ガーナ・プロジェクト
ピース・インド プロジェクト

そして、ACEは、現地の支援だけでなく、企業との協働やわれわれ市民への働きかけをとても重視しています。児童労働を根本的になくすためには、先進国側の企業のサプライチェーンや、消費者の意識を変えることが絶対的に必要だからです。

森永とコラボして、支援地域のカカオで作り、国際フェアトレード認証を取った「1チョコfor1スマイル」など商品化した例もあります。児童労働の問題は、エシカル消費と結びついていて個人的にもとても関心を持ちました。

「児童労働から子どもを守る活動」と、「ビジネスや消費者を変える活動」を両輪として回せているのがACEの強みです。

なお、最近話題になるSDGs(持続可能な開発目標)の中にも、「2025年までの児童労働ゼロ」が盛り込まれました。それも踏まえて、現在、ACEでは、児童労働も含めてより広く子どもや若者の権利を守るための新しい活動方針を策定中とのことです。

いろいろなNPOを応援していますが、ACEは、組織としての理念と存在意義、活動方針といった組織目標について、みんなでとことん議論し、共有するプロセスをとても大事にする団体ですね。この組織の力が、20年大きくなってきた理由の一つだと思います。

ビジネスや投資との関係で、ESGやCSR・CSVなどの話題も出てきました。投資や金融がこの分野で果すべき役割は大きいので、個人投資家としても引き続き関心を持っていきたいと思います。

●鬼丸昌也さんと岩附さんのトーク

後半は、お二人のトークセッションでした。 

NPO・NGOに必要なのは、市民を巻き込む「市民性」と常に革新し続ける「革新性」。鬼丸さんは、ACEはこの2つを備えていると言います。

鬼丸さんはブログで書いています

「岩附さんのお話を聞くたびに、その構想力と、それを実現するためのプロセスデザイン力、なにより実現のために地道に取り組みを続ける執念力に、軽く嫉妬(笑)してしまう」

ノーベル平和賞のカイラシュさんを招聘したり、フェアトレードのチョコを商品化したりと、「そんなことできるの?」という大きなこと、新しいことをどんどん実行してしまうACE、岩附さんの力は凄いです。

もう一つ印象に残ったのは、鬼丸さんの「活動力を続けられる原動力は?」との問いに対して、岩附さんが答えた「怒り」と「共感」という言葉。

「どうして子どもがこんなことをさせられているのか?」「どうして国は動かないのか?」という「怒り」は、自分を突き動かす力になっても、怒りだけではやはり20年は続けられないと思います。
同じ思いを持っている人がたくさんいること、多くの人からの「共感」が、継続する力の源になっているんだろうなと感じました。

短い時間でしたが、鬼丸さんと岩附さん、それぞれの団体を率いてきた「同士」のような関係が垣間見れて、うれしい気持ちになった会でした。

(参考)先日、PIECESのイベントでご一緒させて頂いた堀潤さんが、岩附さんのインタビュー記事を書かれています。
とても詳しいのでぜひご覧ください。

あなたも気がつかないうちに加害者に 児童労働1億6千万人以上 現場を知ってほしい(堀潤)