セルフ・リライアンスという生き方

自立した個人として豊かに生きる。長期投資のメモ。

第53回 テラ・スタイル東京2017(ゲスト:認定NPO法人難民支援協会 代表理事 石川えりさん)

53回目となるテラ・スタイル東京は、ゲストに、日本国内の難民をサポートしている難民支援協会の代表理事・石川えりさんをお迎えしました。

※テラ・スタイル東京は、認定NPO法人テラ・ルネッサンスのボランティア主催の講演会です。原則月一回開催。

石川さんが国内での難民支援に関わるようになったきっかけや、日本の難民受入の現状と難民支援協会の活動について、お話頂きました。

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石川さんは、ルワンダ内戦時の難民に関心を持ち、学生時代にアムネスティの事務局でボランティアをされました。そこで、日本国内にも多くの難民がいることを知り、難民支援協会の立上げに参加。

難民支援協会(1999年設立)ができた当時、外国人支援の分野で専従職員を置くNGOはほとんどありませんでしたが、石川さんは、日中の支援活動には専従職員が必須と考え、2001年に難民支援協会の専従スタッフとなりました。
2014年には代表理事に就任。現在は、主に制度面の働きかけや政策提言を中心に行っています。

2016年に日本で難民認定申請したのは10,901人、認定されたのはわずか28人です。日本の難民に対する考え方は「保護」よりも「入国管理」的発想であり、出稼ぎ目的の偽装難民が増えているとの事情を差し引いたとしても、他国と比べると難民認定は非常に少ないです。さらに、認定されるとしても2~3年という期間を要します。

データ上は少なくとも「寛容」とはほど遠い日本が、「おもてなし」の国を自称する資格があるのか? と思ってしまいます。

難民支援協会の主な活動は、このような厳しい状況の中で、日本で難民認定申請をし、審査を待っている人たちに対する、生活支援、就労支援、法的な支援などのさまざまなサポートです。

石川さんナレーションの紹介動画です。


(字幕付き)【難民支援協会】難民ってどんな人?難民支援協会ってどんな団体?

最近は、民間主導で、独自にシリアの難民留学生を受け入れる新しい取り組みも始めるなど、存在感をどんどん高めています。

石川さんの講演の後は、テラ・ルネッサンスの鬼丸さんとのトークでした。テラ・ルネッサンスでも現在、主要活動国の一つウガンダで、隣国南スーダンから避難している難民に対する支援を行っています。

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難民支援協会は国内、テラ・ルネッサンスは海外での活動が中心ですが、設立時期や団体規模は比較的似ています。

鬼丸さんがいつも言われる「目の前の人を助ける現場支援」と同時に、「問題の根本を解決するための啓発や政策提言」を実践している部分も共通しています。ともに大事な役割を果たしているNPOだと思います。

印象に残ったのは、難民=「困難な状況にある人たち」というレッテルを貼らないでほしい、という石川さんの言葉。

難民は英語では「Refugee」=避難している人にすぎません。
見ず知らずの遠い国に逃げてくる以上、困難な状況には違いありませんが、だからと言って、とかく「弱い人」「かわいそうな人」として見ることは、むしろ排除の論理につながりかねません。

皆自国で家族を持ち、普通に働いていた人たちです。偏見を持たず、多様な社会の一員として共に生きるという考え方ができるか。鬼丸さんは、難民受入は「国の民度が問われる課題」と指摘しました。

石川さんの話を聞くまでは、日本にもこれだけ多くの難民が来ていることすら知りませんでした。街中ですれ違う外国人の中にも、実は国を追われてきた人がいるはずです。想像力を持って「見えないマイノリティー」に関心を向けないと、と改めて思いました。

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増える難民に対して、落ち着いた環境で相談に応じるため、協会では事務所移転を計画中です。先日の移転プロジェクトのクラウドファンディングも応援したので、新事務所にはぜひうかがってみたいです。

昨年、コモンズ投信のイベントで石川さんのお話を聞いた時の記事。一昨年のコモンズ社会起業家フォーラムに登壇された時から、難民支援協会の活動はフォローしています。