セルフ・リライアンスという生き方

自分も社会も豊かにできるお金の使い方について。日々の投資や寄付の記録を綴ります。

1%の人が知っている99%勝てる株が見つかる本(山本 潤・皆木 和義 著)

セゾン投信の「セゾン共創日本ファンド」のファンドマネージャー、山本潤さんが共著で執筆した2019年の本です。山本さんの考え方を知る参考に読みました。タイトルが煽り系なのが残念ですが、中身は非常に真っ当な長期投資本です。

前半は山本さんが成長株のスクリーニングとバリュエーションについて、後半は皆木さんが経営戦略やビジネスモデルについて解説しています。

本書で紹介されているのは「配当が持続的に成長する企業を探し、配当を複利で再投資する」ことにより長期的リターンを得るという手法です。

成長株投資において重視すべきは、「配当の安定性・成長性」なのです。

配当の再投資という考え方を持ち、長期のプランさえあれば、増配企業を保有して再投資するだけで投資はほぼ確実に報われるのです。

本書では、以下を満たす企業を成長株とします。
1.「営業費用売上比率」(売上÷総費用)が1.15以上(利益率の低いセクターは1.1以上)
2.企業の提供する商品やサービスが永続的であること、または今後数年間増収基調が期待できること

その上で、投資先を選ぶ11ステップが解説されています。

●成長株をスクリーニングする5つのステップ(配当性向や増収継続有無、中計の有無、永続性の判断)

●バリュエーションの6つのステップ(NOPATとROE水準に基づく、7年後の想定配当利回りによる割安度の算定)

山本さん独自の多段階配当モデルを簡略化した手法ということで、数字の設定や計算はかなりざっくりしていますが、非常にわかりやすく、誰でもすぐできるのはメリットと思います。企業を絞り込めば、割安度の計算は帯コメントのとおり20分もあればできます。

また、簡単でありつつ理論的で納得感のあるモデルです。インカムゲインの再投資が本書の中心ですが、とにかく配当性向の高い高配当企業に投資しろ、と言っているわけではなく、企業側での内部留保の再投資による自己資本(将来の配当原資)の増加も織り込んでいます。

以前、セゾン投信のセミナーでも、ROEと配当性向、内部留保率の関連について説明がありました。本書の記述を念頭に置いたものだと思います。

個人的には、気になる企業があったら、DCFやPER-ROEモデルと併用するかたちで、この11ステップで分析しても面白いと思っています。

※出版時の2019年時点では、山本さんはセゾン投信には所属していないので、現在の「セゾン共創日本ファンド」の運用が、100%この本の考え方に沿って行われているかは分かりません。そこは現在のセゾン投信の運用レポートやセミナーでの発信内容などから判断する必要があります。

後半の皆木さんのパートは、分量は少な目ですが、戦略やビジネスモデルについて深めるとっかかりにになります。前半の定量分析と後半の定性分析、両方カバーしているのはいい点です。「バリュープロポジションキャンバス」は企業の強みを分析するのにいいツールと感じました。

なお、以下は少し残念でした。
・肝心な営業費用売上比率の説明が、「売上÷総費用(売上ー営業費用)」となっている箇所が何ヶ所かありました。この「営業費用」は「営業利益」の誤植だと思います。