鎌倉投信の新井さんと、テラ・ルネッサンスの鬼丸さんの全3回の対談イベントが始まりました。新井さんが上梓した「持続可能な資本主義」をベースに、新しい資本主義のかたちと個人の役割を考えます。
「平和と資本主義の未来は「個人」がつくる〜『持続可能な資本主義』著者・新井氏から学ぶ」
鬼丸さんが聞き手となり、新井さんに投げかけながら対談するスタイルでした。
引き出しが多すぎるお二人なので、経営、組織、NPO、資本主義論・・・と話が目まぐるしく展開しましたが、中でも、一番重要と感じたのは、「持続可能な資本主義」の考え方を端的に集約した、新井さんがホワイトボードに書いたこの図。
(管理人が書き直しています)
1と2のどちらを優先すべきでしょうか?
現代資本主義の問題は、個人、企業、国のレベルを問わず、本来優先しなければならない1の価値よりも、2の価値が優先されてしまっていることです。
2は数字で測れる価値、1は数字で測れない価値とも言いかえられます。
この優先順位の逆転は、人々の視野が「短期的」になるほど、そして「効率」を求めるほど起こりやすくなります。
効率を重視すれば短期的には利益は出ますが、長期的には持続可能ではありません。
鎌倉投信は、100年続くような社会に必要とされる会社に永続的に投資を続けます。
そのような「超長期」の軸では、1の価値に基づいた投資の方が、結果的にはリターンが得られるし、社会全体も豊かになるという考え方です。この点には100%同意です。
新井さんも言いましたが、GPIFがESGを掲げるなど(クラスター爆弾製造企業へのインデックスファンドを経由した投資など不十分な点がありまくりですが)、世の中全体のお金の流れがこうした「持続可能性」に徐々にかじを切っているのは間違いありません。
そして、もう一つのポイントは、「持続可能な資本主義」をつくるためには、企業や投資家だけでなく、実は私たち個人の役割がとても大きいということ。
具体的には、個人が自分のお金の使われ方にもっと関心を持つことです。これは投資する、モノを買う(消費)、預金する、全てにおいて同じです。
個人の意識が変われば、企業も銀行も、巨大なGPIFですら行動を変えるでしょう。
「平和の実現」というと崇高な目標に聞こえますが、実は自分の日々のちょっとした行動が起点になっている、と感じられれば、一歩を踏み出す勇気が湧きます。
他にも、いい会社の「理念」と「多様性」の関係など、2時間あっという間でしたが、いつも長くなるので今回はこれだけにしておきます。
2回目、3回目もどんな話が飛び出すか楽しみです。
ご興味ある方はぜひどうぞ。
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【過去記事】
今回の話とつながる、新井さんの新著「幸せな人は「お金」と「働く」を知っている」のレビュー記事です。
「持続可能な資本主義」の出版記念トークの模様です。