セルフ・リライアンスという生き方

投資信託を中心にいい会社、いい事業にコツコツ長期投資。 社会とつながるソーシャルな投資や寄付も実践中。

コムジェストのブロガーズミーティング「個人投資家と考えるESG投資」

先日、コムジェスト・アセットマネジメントさん主催のブロガーズミーティングに参加しました。

コムジェストは、フランス本拠の独立系運用会社です。日本では機関投資家向けメインですが、「セゾン資産形成の達人ファンド」や、「ニッセイ/コムジェスト新興国成長株ファンド」で実質的にコムジェストのファンドに投資できます。

自分は達人ファンドで間接的にコムジェストのファンドを保有しています。コムジェストの運用の考え方(クオリティ・グロース)には共鳴する部分が多いです。

2年前にも一度オフィスに伺い、同社の運用哲学についてお聞きしました。

今回は、特に、ESG投資の切り口から、コムジェストの取り組みや、個人投資家にどのようにESGを広めるか?などを議論しました。

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コムジェストのESG投資

・長期的に成長できる企業を見極めるには非財務情報の分析は必須。「ESG」という言葉が普及する前からESG的な要素を組み込んでいる。世界全体の運用チーム43人のうち、ESG専門のアナリストは3名。

・メインはESGインテグレーション。一部ネガティブスクリーニングもあり(非人道兵器、タバコは除外)。日本株の場合、投資ユニバース(約100社)について社内独自のESGクオリティレベル(4段階)を付与し、バリュエーション時の割引率に反映(レベルが低い会社はその分ディスカウント)。

・外部のESG評価データも参考にはするが、鵜呑みはせずにあくまで独自に分析する。ここが他のファンドとは違うところ。

・(ESGインデックスファンドのように)ESG評価が高い会社だけに投資してもパフォーマンスが上がるとは限らない。むしろ、現在のESG情報開示は劣っていても、エンゲージメントで高められる余地がある企業にも投資する。

・投資実行後のエンゲージメントや議決権行使も重視。「責任ある議決権行使」を実践。ISSを使うだけでなく独自に議案を吟味し行使する。40社(日本株の場合)と集中投資しているからこそ可能。

投資先に対してCDP回答をアドバイスし実現したケースや、女性の外部取締役を提案したケースなど、エンゲージメントにより企業価値向上につながった具体例が紹介されました。

個人投資家とESG投資

雑談っぽくなってあまり深い話はできませんでしたが、私はこんなコメントをさせて頂きました。

・「ESGファンド」と付いたファンドの中には、凡庸なアクティブファンドで、「なんちゃってESG」なものも多い。むしろ鎌倉投信とかコモンズ30ファンドの方がESGとは言わなくても昔からESG的な要素を重視していると思う。

・個人のESGの認知度は全然低い。ただし、NPOやソーシャル界隈の人たちと関わっていると、ESG、SDGsなどの方向性(社会性の部分)に関心を持っている若い人は少しずつ増えている印象。

・ESGは投資テーマではない。メディアも、「儲かるESG銘柄!」みたいな誤解を招く取り上げ方をしていると、結局正しく広まらずブームで終わりかねない。運用会社には、正しい情報発信(持続可能性と責任投資の観点)を望む。

ESG投資は儲かるのか?

他の方から、こんなコメントが出ました。

「ESGを考慮した場合にインデックスよりリターンがよくなるのか? それが分からないと広まらないのでは。」

議論する時間がありませんでしたが、大事な論点です。

教科書的には、「ESG投資は長期的にはポートフォリオのリスクを下げ、リターンを上げる方向に働く」という答えになるでしょう。自分もそう思って投資をしています。ESG投資を掲げるGPIFも同じようなことを言っています。

ただ、この「長期的には」が曲者で、非財務要因が財務要因に移行する時間軸は、E、S、Gのそれぞれ、しかも企業によってまちまちです。実証データなどもあるようですが、「儲かるのか?」と聞く人の時間軸にもよるので、答えるのは簡単ではありません。また、ESGインデックスのように機械的にポジティブスクリーニングして幅広く分散するのか、アクティブに個別の企業を深堀りして集中投資するのかによって結果はかなり変わってくるでしょう。

そして、そもそも論ですが、「ESGは儲かるのか?」自体が、問うた瞬間にESGを形骸化、無意味化しかねない問いでもあります。

ESGが生まれたのは、気候変動や格差拡大、市場の成熟と低成長の中で、経済社会の持続可能性をどう高めるか、という意識の高まりからでした。そのためには、短期目線ではなく長期的視点で、持続可能な成長を促すように投資しよう、株主利益優先ではなく全てのステークホルダーに配慮した投資をしよう、というのがESGの本質だと思います。

儲かろうが儲かるまいが、社会全体のことを考えて投資しなければ企業も社会も持続可能でない、というコンセンサスがあったからこそ、責任投資原則(PRI)が生まれたのです。その点では「儲かるならESG投資をやってもいい」という考え方自体がナンセンスと言えます。

ただ、コムジェストのように、個々の企業について、数字には表れない見えない部分まで深掘りして、持続的な成長企業を見つけ、高い確信度で投資できれば、結果的にはかなりの割合で指数を上回るパフォーマンスを上げることができるはずだと私は思います。これは、ESGが儲かるか、というより、しっかりESG要因をインテグレーションして企業を選んでいるアクティブ運用が指数を長期的に上回れるか、ということになります。

この、ESG投資のパフォーマンスというテーマだけで、何時間も議論できそうですね。

運用会社には正しいESG投資の情報発信を

自分はブロガーの中でもかなりESGに関心を持っている方だと思います。
アクティブ運用でのESGインテグレーションの実例を聞けたのは非常に参考になりました。

コムジェストでは一般的に言われる「非財務情報」ではなく「未財務情報」という言葉を使っています。これは、「今は株価やEPSに影響しないが、将来的に影響する可能性のある要因」という意味で、ESGの本質をとらえているなと思いました。

機関投資家の世界ではESGは共通言語になっていますが、個人投資家の中では認知度はまだまだです。
先日も、アムンディ編著のESG投資本を紹介しましたが、販売会社やメディアだけでなく、運用会社がESGの切り口で個人向けに情報を発信するのは大事なことだと思います。

コムジェストさんありがとうございました。

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