セルフ・リライアンスという生き方

自立した個人として豊かに生きる。長期投資のメモ。

コモンズ投信 運用報告会&9周年コモンズフェスタ

3/10に、コモンズ投信の9周年イベントが開催されました。2つのファンドの運用報告会と、投資先企業を招いた対話の時間でした。

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午前の部:運用報告

コモンズ30ファンドは第9期、ザ・2020ビジョンは第4期の決算を終えています。
例年どおり、コモンズ投信の理念と2つの運用ファンドの投資哲学、前期のアクションについて、伊井さんからのプレゼンでした。

冒頭、2年かけて議論し、定義し直した、コモンズ投信のミッションが紹介されました。「一人ひとりの未来を信じる力を合わせて、次の時代を共に拓く」。投資は「未来を信じること」とのメッセージがこもっています。

毎年感じるのが、渋澤さんも伊井さんも同じことを繰り返し言っていること。それは「長期投資」「見えない価値」そして「対話」といったキーワードです。
他の独立系投信にも共通しますが、環境変化に対応して組織や運用内容はバージョンアップしつつも、根元の思想は決して変わらず、同じことを伝え、実行し続ける姿勢は安心します。

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直近の運用成果はアップされている運用報告書のとおりです。
パフォーマンスは実はまだ詳しくチェックしていませんで、、、別途確認します。(そもそも1年単位のパフォーマンスは気にしていないというのもあります)

→(2018/3/4)運用報告書をチェックしました。

コモンズ30ファンドの第9期運用報告書をチェック

大きなトピックだった、2020ビジョンの運用体制の変更(糸島さん⇒伊井さんのFM交代)については、特に丁寧に説明されました。

自分は30ファンドのみで、2020ビジョンは持っていませんが、伊井さんが2020ビジョンの運用にも携わることで、今まで別個に動いていた(イメージが強い)2つのファンドが、今後は、調査や運用面で相乗効果を発揮しそうな印象を持ちました。

企業評価の視点や時間軸はもちろん違いますが、例えば、30ファンドの投資先企業との対話の中で生まれた気づきから、2020ビジョンでも組み入れたり、その逆、というケースが出てくるかもしれません。

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午後の部:投資先企業との対話

午後は、コモンズ30ファンドの投資先である資生堂、コマツ、三菱商事、2020ビジョンの投資先であるマネーフォワードの経営者やIRご担当をゲストに、対話のセッションでした。

盛りだくさんでしたが、最も印象に残ったのが資生堂の魚谷雅彦社長のスピーチです。

魚谷さんは、日本コカコーラ出身のマーケティングのプロ。2014年に就任されました。外部の人が役員などを経由せずいきなり社長に登用されたのは、資生堂の150年近い歴史で初だそうです。

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就任後は、「世界で勝てる資生堂」を掲げ、延べ6万5千人もの現場社員との対話を行い、大胆な権限移譲と強いブランド再生を指揮。その結果、2020年の目標だった「売上1兆円」を2017年に早期達成しました。

一番感じたのは、社員を信頼し、ほめることで、本来の能力を引き出すのに長けた経営者だということ。

失敗を恐れずチャレンジする文化をつくる「TET(トライ&エラー&トライ)」という活動や、いい行動をした社員に配る「ワクワクカード」などの面白い取り組みも導入。官僚的だった組織風土がガラッと変わりました。

優れた経営者=トップダウンというイメージがありますが、自ら動く組織にするには、魚谷さんのような「ほめて育てる」タイプのリーダーシップが求められているんだな、と。「社員を活かすためには社員を『解放』する」「会社はボトムアップでしか変わらない」との言葉もありました。素晴らしいと思います。

資生堂は、コモンズ投信の長期投資を象徴する投資先です。
2012年頃からの業績不振時に、30ファンドでの投資ウェイトを大幅に下げ、全売却一歩手前まで行ったものの、その後も商品力やガバナンスをじっくり見極めながら辛抱強く投資を続けた結果、ファンドのパフォーマンスに大きく貢献しています。

企業紹介では資生堂のブースに女性がたくさん集まっていました。投信会社のイベントではレアな光景です。

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資生堂のダイバーシティについて。
コモンズ投信・コモンズ30塾「女性の活躍セミナー」(資生堂執行役員・副島三記子さん)

寄付応援先の紹介

最後のセッションでは、コモンズSEEDCapと、コモンズPOINTという2つの寄付プログラムと、現在の応援先団体(more trees、日本知的障害者水泳連盟)が紹介されました。

3keys、かものはしプロジェクトといった団体のサポーターになったのも、コモンズ投信の寄付の取り組みがきっかけです。

認定NPO法人3keysのChild Issue Seminar(第15回)

去年は、受益者代表で壇上に上がらせてもらいました。

コモンズ投信の8周年イベント「The 8th Commons Dialog」に参加(その2)

今年は、「こどもトラスト」セミナーに参加した子どもたちが、各団体の話を聞いたうえで、どうやったらもっと活動を知ってもらえるか?アイディアを発表してくれました。社会起業家フォーラムやSEEDCapとともに、お金の教育や寄付教育の面でも、コモンズ投信が果たしている役割は大きいです。もっと注目されてもいいと思っています。

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コモンズ投信の「決して変わらない部分」と、「変化している部分」の両方を感じることができたいいイベントでした。

【過去記事】

コモンズ投信 渋澤健さん × テラ・ルネッサンス 鬼丸昌也さん「平和につながるお金のつかい方」

コモンズ投信の第9回コモンズ社会起業家フォーラム