コモンズ投信の統合レポートワークショップにひさびさに参加しました。投資先企業を招き、統合報告書を読み解くイベントです。
今回は、堀場製作所でした。コモンズ30ファンドは2009年に投資開始しています。
私個人は、コモンズ投信のほか、鎌倉投信経由でも投資しています。
IRチームの鈴木美波子さん・後藤祐太郎さんから、会社説明と今年の統合報告書「HORIBA Report 2020-2021」に込めた思いを聞きました。
堀場製作所は、「はかる」技術を強みに「自動車」「半導体」「環境・プロセス」「医用」「科学」の5事業セグメントを展開する分析・計測機器メーカーです。自動車の排ガス測定装置は世界トップ。海外売上比率約7割、外国人従業員数が約6割のグローバル企業です。近年はM&Aで競争力を強めています。
統合報告書は、比較的早い時期の2013年から作っています。最新版の印象は、とにかく「見やすい」「分かりやすい」こと。
作成にあたってこのようなことを心がけたそうです。
・開示のフレームワークにとらわれすぎない。
・オーナーシップを大切にする(できるだけ社内で内製)。
・分量はコンパクトに、持ち運びしやすく(約60ページ)。
最近は、ESG、非財務情報の開示の強化の流れで、統合報告書を作る企業が増えています。ただ、内容はというと、IIRC(国際統合報告フレームワーク)の基準に従った定型的で似たようなものだったり、分厚い割にはその企業の個性や価値観が見えないものが少なくありません。
一方、HORIBA Reportは、形式よりも実質重視です。自分たちがどんな会社で、どんな価値を社会に提供していくのか、伝えたいことを伝えようという姿勢を感じます。
また、「雑誌のように読みやすいレポート」を目指したとあって、確かに読みやすいと思いました。「おもしろおかしく」という社是の精神がレポートにも反映されています。
(p35 HORIBAの価値創造サイクル)
HORIBAは、受益者向けに工場見学会をやったり、ファンドのイベントに堀場会長が登壇したりと、運用会社や受益者との対話を大事にしています。今回の統合報告書にも、そんな企業姿勢が表れている気がしました。ちなみにHORIBAは株主を「オーナー」と呼んでいます。
見えない資産にスポットを当て、企業価値の向上ストーリーを語る│コモンズ考
統合報告書は、一義的には投資家向けですが、顧客や取引先、就職に関心のある学生など、幅広いステークホルダーに対して、業績や数字だけには表れない会社の価値や目指す姿を伝えるコミュニケーションツールだと思います。HORIBAのような、形式にとらわれない、伝わるレポートが増えるといいですね。
2017年の鎌倉投信の受益者総会では堀場会長の話を聞きました。