セルフ・リライアンスという生き方

自立した個人として豊かに生きる。長期投資のメモ。

コモンズ投信の第11回コモンズ社会起業家フォーラム

今年もコモンズ社会起業家フォーラムに参加しました。

「今日よりもよい明日を共創する」、コモンズ投信の理念を象徴する年1回のイベントです。私は第5回から参加しています。

今年は、コモンズ投信の渋澤健さんと、様々な分野で社会課題に取り組む11人のスピーカーが登壇。7分間のスピーチリレーをつなぎました。

第11回コモンズ社会起業家フォーラムを10/5開催

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個人的に印象的だった2人の方をご紹介。

・渡部清花さん(NPO法人WELgee)

WelcomeとRefugee(難民)をミックスしたのが団体名WELgeeの由来です。

WELgeeは、日本にくる難民と、ともに生きる、ともに働くための活動をしています。彼らは、母国の様々な事情で逃れてきたというだけであって、ひとりひとりが様々な技能を持って母国で活躍していました。それを活かせるように、日本企業への就労サポートや、難民が講師になる企業研修なども行っています。

「難民は社会課題ではない、社会課題を解決する人。」という渡部さんの言葉が印象的でした。難民は弱い人だから助けてあげる、という発想ではなく、可能性を引き出して一緒に社会をつくっていく、という考え方に共感します。

自分自身は、国連UNHCR協会、難民支援協会のサポーターにもなっているので、WELgeeの活動もフォローします。

・玄正 慎さん(一般社団法人ファストエイド)

心停止で突然死する人は日本で年間7万人(1日200人!)もいるそうです。

身近な人が突然倒れてしまった場合、救急車が来るまでの数分が生死を分けます。しかし、日本では学校などでCPR(心肺蘇生、心臓マッサージ)の訓練を受ける機会がありません。CPR訓練には高価な人形や教える人手が必要だからです。私もできません。

そこで、ファストエイドは、誰でも手軽にCPR訓練ができる「CPRトレーニングボトル」を開発しました。300円程度のシートと、空のペットボトル。これだけで心臓マッサージの練習ができるキットです。(ペットボトルは、「サントリー天然水」が反発力などがちょうどよく採用されています)

素晴らしいアイディアと思いました。

玄正さんは、Coaidoというベンチャーの経営者でもあり、そちらでは救命救急アプリ「Coaido119」の普及も行っています。懇親会で話をうかがったのですが、技術の力で社会は変えられる、という熱い思いを感じました。

他にも様々な分野の熱いピッチが続き、濃厚な3時間でした。

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今年は、各団体のブースに多くの人が並び、熱心に話を聞く姿が目立ちました。このイベントがきっかけで、参加者とのつながりができるといいと思います。

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「社会」起業家?

ところで、「社会起業家」という言葉に疑問、という意見が結構あります。

どんな事業も究極的には社会の役に立っているので、あえて「社会」と付ける必要はない、また、そもそも登壇している人たちも自らを「社会起業家」とは思っていない、という意見です。

それももっともなのですが、5回目からずっと参加していて、コモンズ投信がこの言葉を使い続ける意味が分かってきた気がします。

この場に登壇する人たちは皆、何らかの「社会課題の解決」が事業の根源的な動機となっています。しかも、誰もが取り組まなかったやり方でチャレンジしています。

製品やサービスが社会の役に立っているとか、給料を払ったり税金を納めて貢献している、というレベルではなく、「誰も取り組んでいないこの社会課題を解決したい」という強い意志があるのが共通点だと思います。それは営利、非営利に関わらずです。そういう起業家が増え、そこに投資や寄付でお金が集まることで、社会はよくなっていくでしょう。

※もちろん、強い意志だけでは事業はまわりません。そこには組織づくりや持続性があるビジネスモデルが必要で、投資家や寄付者はそれを見極める必要はあります。

なので、社会起業家、という言葉が当たり前すぎていらなくなるまで、この言葉を使い続けてほしいですね。