鎌倉投信の本社に3年ぶりに訪問しました。対面イベントがようやく再開となり、お招き頂きました。
コロナ前は毎年1~2回は運用報告会などで足を運んでいたので、感慨深いものがありました。本社の古民家は、心が自然と落ち着く場であり、整理整頓と清潔さが行き届いた、質素であっても訪問者をもてなしてくれる空間です。以前と全く変わっていませんでした。
「時代を超えて変わらない投資の本質」とのテーマで、鎌田社長の講演を聞きました。世界が大きく変化している今は、投資の本質を見つめ直すいい機会です。インフレ&金利高、環境リスクの顕在化はじめ、グローバルな経済社会システムが構造的に変質し、不安定さが増す中で、何を軸に投資していけばよいのか、何のために投資していくのか。
鎌田さんは、環境が変化しても不変な3つのポイントを挙げて下さいました。
1.予測せずシンプルに投資を継続する
2.「価格」ではなく「価値」に着目する
3.自分なりの投資軸(投資観)を持つ
投資を実りあるものにするために、どれもとても大切ですが、特に、3つ目の「ブレない投資軸」=自分なりの投資の価値観は、全ての根幹となる最も重要なものだと思います。(上の2つも、広い意味で投資軸に包含されるかもしれません)
鎌田さんは、「お金は命と表裏一体」「お金の使い方にはその人の価値観、人となり、生き様が表れる」とよく話されます。お金に対し謙虚で、お金を誠実に扱える人は、投資においても、投資先の企業に敬意を持ち、自らの欲や相場に振り回されず、確固たる価値観のもとで堅実に継続できるので、自然と報われるのではないでしょうか。
そして、「投資の本質」を説明するスライドにはこう書かれていました。
投資とは、自分のお金をふやすためだけではなく、これからの社会をより善くし、さらには、様々な学びや出逢いを通じて人間的成長をもたらす。
投資は、お金を増やす(資産の形成)だけではなく、よりよい社会を創り、個人の人間としての精神的・人格的成長にもつながる。鎌倉投信は、投資の果実を「資産形成 × 社会形成 × こころの形成」と表現します。これこそ、投資の本質をシンプルに表しています。
私自身も、約10年前にさかのぼる鎌倉投信との出会いをきっかけに投資観が大きくシフトしたので、この本質的な意味を経験的に実感してきました。
その投資観とは、「いい会社を主体的に選ぶ投資」であり、「志あるお金としての投資」、あるいは「社会を変革する投資」でもあります。そして、そのような投資の実践を目指す中で、多くの学びや出会いを頂くとともに、社会に対する視野を広げることができ、人生にいい意味で幅が出ました。ソーシャルセクターに寄付で関わるようになったのも、投資を通じて感じた社会課題への関心の高まりからでした。
鎌田さんは、投資は究極的には自分自身との出会いだと言います。投資をきっかけに人生観や生き方が変わることも、大きな投資の果実ではないでしょうか。
改めて、本来の投資は、人を幸せにし、社会を変革し、自分の人生も豊かにできる、素晴らしいお金の使い方だと思います。2023年の年始めに、もう一度原点に立ち返り、自分の軸を再確認しつつ、投資と向き合っていきたいと感じた次第です。
お土産に、第一回受益者総会(2010年)の参加者向け冊子を頂きました。当時は受益者ではなかったので貴重です。未来工業はじめ、現在まで鎌倉投信が投資継続している「いい会社」がたくさん載っています。長期投資には満期はありません。永続するいい会社の歩みに、今後も微力ながら参画したいです。