セルフ・リライアンスという生き方

自立した個人として豊かに生きる。長期投資のメモ。

「大改正でどう変わる? 新NISA 徹底活用術」(竹川美奈子・著)

2024年から大きく制度が変わる新NISAの解説書です。
著者の竹川美奈子さんから献本頂きました。ありがとうございます。

NISA制度は、約10年の紆余曲折を経て、ようやく制度の「恒久化」と非課税期間の「無期限化」というほぼ最終系にたどり着きました。

本書では、新NISAの具体的な仕組み、2つの枠(つみたて投資枠と成長投資枠)の活用方法と留意点、商品の選び方、旧NISAとの関係などについて、図表も使いながら、とても分かりやすく解説しています。特に、Q&A形式の第3章が充実していて、新NISAに関するたいていの疑問は解決すると思います。私の知りたいことも全て書いてありました。

NISAはかなり複雑な制度なので、ネットには不正確な情報も多いです。なので、竹川さんのような信頼できる専門家の一次情報に当たるのが大事です。特に、これから投資を始めよう、NISAを知りたい、という人は、きちんとまとまった書籍を手元に置いておくと安心ですし、あれこれ調べるより手間も少なくて済むと思います。

一方で、忘れてはいけない大前提は、制度はあくまで制度ということ。今回の改正で、使い勝手が大きく向上し、投資上限額もアップするので、「今こそNISA!」という風潮になっていますが、NISAがおトクだからとにかく投資しよう、という本末転倒に陥らないことが大事だと思います。竹川さんはこう書いています。

制度をめいっぱい使おうとか、効率的に使おうとか考える前に、まずは家計の現状把握(資産と負債、年間収支など)や、投資する目的、運用できる期間、投資に回せる金額(お給料の一部を投資に回していくのか、今ある預貯金の一部を投資にあてるのか、その組み合わせか)などを整理しましょう。(p116)

NISA制度を学ぶことが大事なのではなく、自分の人生を考えて主体的に生きること。その1つとして、資産設計を考えること。その中で、税優遇のあるNISAを利用するという順番なのだと思います。(p224)

従来のNISAより、使い方の幅が増え、関わる期間も長くなるだけに、一人一人が、資産形成全体の中での位置づけをしっかり考える必要があると思います。

私個人の制度への感想としては、これから資産形成を始める若年層にとって生涯投資枠1,800万円は少ないだろうとか、もっと多くのアクティブファンドをつみたて対象で認めてあげてもいいのでは、などなど言いたいことはあります。ただ、恒久化&無期限化が実現したのはよかったと思います。

来年以降は、つみたて投資枠を保有アクティブファンドの一部で、成長投資枠を個別株で使うことになりそうです。