セルフ・リライアンスという生き方

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農林中金<パートナーズ>米国株式長期厳選ファンドの運用報告会(第一回年次総会)

積み立てている、農林中金の「米国株式長期厳選ファンド」の、初めての運用報告会が京都で開催されました。
販社のSBI証券さんと、農林中金バリューインベストメンツ(NVIC)さんの共催。

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京都某所にあり文化財にも指定されている、広大な日本庭園を擁する邸宅が会場でした(非公開につき写真NGなのが残念)。1,000年の都、京都で、永久投資を掲げる同ファンドの理念を共有する総会でした。ファンドマネージャーの奥野一成さんは京大出身で、NVICは京大で寄附講座も持っています。

報告会では、奥野さんとNVICの運用哲学をたっぷり聞けました。

NVICの長期投資の考え方、「構造的に強靭な企業」「持続的な価値の蓄積」といったキーワードについては、7月の勉強会の記事もご覧ください。

NVICの長期投資

・長期投資は「価値を生むものに投資する」こと。インデックス、アクティブという軸ではなく、価値が長期的に増大するものに投資できているかどうかが重要。

・いいビジネス、強いビジネスを保有するにはどこに上場しているかは関係ない。日本企業にも投資しているが、どれもアメリカや世界で圧倒的に強い会社ばかり。

 ・いい会社を選ぶことの方が、タイミングを選ぶよりよっぽど重要。構造として利益が積みあがっていく強い企業を見つければ売り買いする必要などない。

→ アクティブ投資=タイミング投資とは限りません。奥野さんの話を聞いていると、いい会社を「選択する」ことがアクティブ投資の本質だと思います。

企業は長期投資家と対話したいと考えている。2012年頃から米国企業の訪問を始めたが、現在では投資先のCEOクラスとも継続的に対話ができている。普通のファンドのように売り買いしないし、業績ではなく長期的観点でビジネスそのものをきちんと見ようとしているから。

・企業訪問では仮説を立てて現場に行き、面談する。対話した内容を投資家にきちんと伝える。これが運用者の役割。パフォーマンスは大事だが、いいビジネスを保有すればリターンはついてくる。長期投資は宗教ではない。いたって理論的なことをやっている。

S&P500は新陳代謝がありいいインデックス。普通にリターンが出ればいいのであればS&P500でも十分。ただし、投資期間が長期になるほど、どんな会社を保有しているのかという「手触り感」が大事になる。だから厳選投資の意義がある。

・当ファンドはFANGなどは組み入れていないので、マーケット全体が上がるときはそこそこだが、全体が下がるときには下がりにくいポートフォリオ。最近のパフォーマンスはS&P500と大差ないが、この上昇局面で付いていけているのは上等。長期ではおそらく勝てるだろう。

⇒ 20数社と超厳選しても、S&P500よりポートフォリオのリスクは低めとのこと。SBI証券のiDeCo対象ファンドの中でもシャープレシオはトップでした(10/5現在)。

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投資先企業選びと対話プロセス

・企業選びにじっくり時間をかけるのがNVICの特徴。詳細分析開始から投資実行まで平均で3~6か月。また、日本の運用会社で、自ら海外の企業訪問をしている会社は少ない。海外企業は年70社程度を分析。2か月に1回は海外現地訪問する。

グローバル横断的な企業分析もNVICの強み。着眼点は日本企業を起点とした競合分析やバリューチェーンによるアイディア創出。

例)日本の紙おむつの会社を分析 → 高齢者用おむつの方が利益率・成長率ともに高いという仮説 → 大人用おむつに強いキンバリークラーク(米)や、エシティ(スウェーデン)を調査・訪問。
その他にも、信越化学・ディスコ → TI、クボタ → Deereなどのタテヨコ展開。

→ コムジェストやスパークスのグローバルの運用者の方々からも同じような分析プロセスを聞いたことがあります。

・企業訪問では、相手の会社の長期ビジョンやビジネス構造についてNVICとしての仮説を立て、対話を通じて検証し、産業の潮流を確認する。

長期投資=消費財・生活必需品と思われがちだが、当ファンドのポートフォリオには産業系も3割ぐらいは入っている。生活必需品重視だとリスクは低いが上昇相場には置いて行かれるので、リスクを取りすぎない範囲で産業系(エマソン、ユナイテッド・テクノロジーズなど)も入れている。日本株でも同様。インデックスに追随できているのはこの成果。

・具体的な投資先の仮説として、マコーミック、Rollins(害虫駆除)、Deere、エマソンのケーススタディを紹介。

・基本は「売らなくていい会社しか買わない」。売却するのは、株価が下がったからではなく、自らの仮説が間違っていたとき

その他質疑応答など

バリュエーションの基本は株式=永久債、という考え方。あまりに人気化して、リターンが3%を下回るような株価水準ならわざわざ株式に投資せず、米国債を買えばいい。6~7%のリターンが目安。

・バフェット的な長期投資というと「バリュー投資」という人もいるが、バリュー、グロース、大型、小型、という区分は投資コンサル会社が考えたもので無意味。当ファンドはあえて言えば大型グロースに近い。

・TOPIX2,000社中1,500社はゾンビ企業&上場ゴール。自ら上場している東証(日本取引所)にはダメな会社を退出させるインセンティブが働かない。だからTOPIXは総体として価値を生まない。日本企業に投資するなら集中投資はマスト

長期で社会の問題を解決できる企業に投資するのだから、ESGは当たり前。外部のESG評価には頼らず、企業選びの過程で当然考慮している。

・日本では資本家として資本市場に参加するという考え方が希薄。例えば、Amazonを買えば、ジェフ・ベゾスが自分の部下として働いてくれる。人生100年時代にあって、労働者としてだけでなく、資本家、企業のオーナーとしてキャッシュフローを生むという考え方を日本でもっと広めたい。

 

もっと激しいコメントもあり、奥野節全開で面白かったです。

持続的に利益を生み続ける「構造的に強いビジネス」に長期で投資することが、資本主義のダイナミズムを支え、投資家にもリターンをもたらすという考え方に改めて共感しました。

対話や企業分析プロセスを詳しく紹介してもらったのは非常に参考になりました。何度も出てきた「仮説と検証」がキーです。

なお、「純資産が増えていないからダメ」という声があるそうですが、心配無用のようです。

なぜなら、当ファンドは積立とiDeCoでの販売しかしていませんし、そもそも機関投資家向けに2012年から運用しているファンドを個人でも買えるようにしたものです。運用哲学を共有できる投資家とお付き合いする、というスタンスが明確で好きです。

来年以降もこのような報告会を京都で開催したいとのことでした。また参加したいですね。SBI証券さん、アレンジありがとうございました。

 

米国株式長期厳選ファンドとNVICについての過去記事。

米国株式長期厳選ファンドの第1期運用報告書をチェック

農林中金バリューインベストメンツ(NVIC)・奥野一成さんとの対話