積み立てしている「農林中金<パートナーズ>長期厳選投資おおぶね」の第3期(2020年6月22日決算)の運用報告書をチェックしました。
NVIC(農林中金バリューインベストメンツ)が運用を担う「おおぶね」シリーズのうちの米国株ファンドです。以前の名称は「米国株式長期厳選ファンド」でした。
前回(第2期)の記事はこちら。
米国株式長期厳選ファンドの第2期運用報告書をチェック(2019.08.03)
パフォーマンス
設定~第3期末(2017年7月5日~2020年6月22日)の基準価額推移です。
ベンチマーク、参考指数はありませんが、参考として、S&P500に連動する「iシェアーズ米国株式インデックス」と比較しています。
1~3期及び設定来累計のリターンです。
1期はS&P500に劣後しましたが、2期、3期は上回りました。設定来約3年間のパフォーマンスは良好です。
・設定来リターン(2017/7/5~2020/6/22累計)
長期厳選投資おおぶね:+32.2%
iシェアーズ米国株式インデックス:+24.8%
なお、運用責任者の奥野さんがよく話すのが、このファンドの「下方耐性」です。
2020年3月度の月次レポートによると、コロナショックの期間(2/21~3/ 31)でみると、「個社ベースでは、ポートフォリオ企業26社中19社が指数をアウトパフォームしました。」とあります。マーケット急落時に相対的に下げの小さい、強い会社を組み入れているため、急落と回復を繰り返す過程でインデックスに差を付けていっています。
また、モーニングスターのデータからシャープレシオを拾ってみました。
おおぶねの決算期と異なり、2020年8月28日時点での直近3年のデータですが、リスクを含めたパフォーマンスも優っています。これも「下方耐性」の一つの表れだと思います。
長期厳選投資おおぶね: 0.79
iシェアーズ米国株式: 0.51
純資産総額
NVICは、運用会社と投資家が「同じ船に乗る」ことを重視しており、相場に合わせて売り買いするような受益者を極力排除するため、本ファンドは一部販社を除いて積立購入しかできません。
コロナショックで当然時価は一時減りましたが、資金そのものは安定した流入が続いています。これを書いている8/28時点では純資産は50億円に乗ってきました。
※マザーファンドは2020年2月時点で150億円以上残高があります。
ポートフォリオ
本ファンドは、「構造的に強靭な」米国企業約20~30社に集中投資します。マザーファンドの決算日(2020年2月17日)時点の投資先は下記の26社です。
昨年2月から1年で以下の入れ替えがありました。
新規投資:Costco、ROPER、Varian Medical Systems、Jack Henry & Associates
全部売却:United Technologies、Hershey、Tiffany
各社の投資理由、売却理由については、各月の月次レポートで詳しく説明されています。
なお、最新の月次レポート(2020年7月末現在)では、1社増えて27社となっています。
第3期の売買高比率は 1.46 でした。第2期は 0.61 でしたので、だいぶ上昇しました。コロナによる急落時にかなり仕込んだ、という話が以前月次のセミナーでもあったので、第3期は特殊だったのかもしれません。
おおぶねの月次レポートは、「グローバル」「JAPAN」含めて非常に勉強になります。
まだ投資していない、調査中の企業や業界についての分析も詳しいですし、各投資先(or候補先)企業の持っている「圧倒的な競争優位性=参入障壁」についての仮説も読ませます。これを受益者以外に公開していいの?と思えるコンテンツで、NVICが他の運用会社を決定的に凌駕しているポイントです。
農林中金おおぶねの最新月次レポート。米国トラックメーカーPaccarについての分析が面白い。
— Shunichi Shimoyama (@shimo1974) 2020年8月17日
「モノを運ぶ」機能性ではなく、トラッカーの「第二の家」としてのcoolなデザイン性、居住性などの「意味性」が強み。ただし長距離輸送の多い米国内に閉じた優位性との仮説。https://t.co/OWS7EacqY7
外国株式への投資は、昨年ぐらいから「セゾン資産形成の達人ファンド」をやや減らし、このファンドとひふみワールドの配分を多少増やしました。個人的には、SBI証券だけでなく楽天証券のiDeCoでも「おおぶね」を扱ってくれると有難いです。
「おおぶね」関連の過去記事。
ビジネスエリートになるための 教養としての投資(奥野一成・著)【読了メモ】
おおぶねオンラインミーティング(農林中金バリューインベストメンツ・SBI証券)
農林中金<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶね 第二回年次総会に参加しました (第2部:運用報告)