企業の財務指標はたくさんありますが、投資先を探す時に最初にチェックするのが「営業利益率」です。(売上が安定的に伸びていることは大前提) 投資歴の長い方には今さらかもしれません。
「おおぶね」のFM奥野一成さんによれば、事業の経済性は、①付加価値、②競争優位性(参入障壁)、③長期潮流の3要素から成ります。
私もこの3つは指針としていますが、この中の①②を判断する入口として分かりやすく、簡単に数字を確認できるのが営業利益率です。
ビジネスの付加価値の大きさは、顧客の問題解決(「不」や「非」の解消)にどれだけ大きく貢献できたかであり、それは営業利益率の高さに端的に表れます。そもそも付加価値が高い=利益率が高いとほぼ同義ですね。
営業利益率は業種による差が大きいので、絶対的な水準だけでなく、類似企業より高いかを見ます。(山本潤さんの本では売上高/営業費用比率1.15を目安としていました)
ただし、1期や2期だけ抜群に高くても、それは利益率の高い新規事業や新製品の影響、特別なコストの低減事情など「たまたま」かもしれません。
従って「高い営業利益率の持続性」が大事になります。そしてこの持続性は、②の参入障壁に深く関わると考えます。
5年10年単位で競合他社より大きく儲かり続けている企業は、長期に渡り参入障壁を強化し、高いフランチャイズバリューを享受できるシステム(仕組み)を有する可能性ありと類推できるからです。(あくまで候補、十分条件ではない)
理想は、営業利益率が高位安定的かつ上昇傾向にある会社ですが、そのような会社は当然高い値段が付いているため、現在の営業利益率はそこそこでも、何らかの理由でそれが上昇し始めている会社は面白いと思います。
※複数の事業がある企業では、全社だけでなくセグメント毎の利益率を見ることも欠かせません。
なお、営業利益率は簡便さがメリットですが、あくまでP/Lの中の数字です。その意味でROEも見ますが、ROEは営業外・特別損益の影響を受ける、セグメント別の把握が難しい、レバレッジの影響も受けるので、まずは営業利益率をチェックして、その後ROEを見るという感じになっています。
営業利益率は万能では決してありませんが、強い企業は総じて高い営業利益率の持続性を持っています。
なので、まず営業利益率の水準と推移を見た上で、気になる会社があったら、「なぜ他社より高い営業利益率を長期的に保つことが可能なのか?」を深く考えていくことになります。