セルフ・リライアンスという生き方

投資信託を中心にいい会社、いい事業にコツコツ長期投資。 社会とつながるソーシャルな投資や寄付も実践中。

投資×寄付「意思をもったお金の使い方」 D×P代表 今井紀明さん × レオス・キャピタルワークス 藤野英人さん

認定NPO法人D×P(ディーピー)の今井紀明さんと、レオス・キャピタルワークスの藤野英人さんが「意思をもったお金の使い方」を語る、という魅かれるイベントに行ってきました。

そもそも、私の好きな言葉はプロフィールのとおり「意志(意思)あるお金は社会を変える」です。

レオスの藤野さんは、日経のソーシャルビジネスコンテストで今井さんを知って以来、D×Pをサポートしています。社会課題解決の一歩は「関心を寄せる」こと。今井さんの話は初めてだったので有難いイベントでした。

前半はD×Pの活動説明、後半は今井さんと藤野さんのトークでした。

D×Pの活動について:「否定せずに関わる」

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今井さんが代表を務めるD×Pは、通信制や定時制高校に通う高校生をサポートしているNPOです。

ビジョンは「ひとりひとりの若者が自分の未来に希望を持てる社会」。
ミッションは「若者が希望を持って生きるコミュニティをつくる」。

通信制・定時制高校を活動の場とするのは、多くの生徒が不登校や経済的な厳しさ、社会的孤立などさまざまな困難を抱えているためです。

D×Pは、そのような生きづらさを抱えた高校生向けに、「つながる場をつくる」「いきるシゴトをつくる」「いきる暮らしをつくる」を掲げて、学校内での授業プログラムや、就職サポートなどさまざまな活動をしています。

事業の全体像はこちら。

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D×Pは、実際の学校の中で授業を行っているレアなNPOです。
「コンポーザー」と呼ばれる、社会人や大学生のボランティアさんが、少人数の独自の授業プログラムで高校生が大人と「つながる場」をつくります。高校生は大人との対話を通じて、自分のことを知り、将来のことを少しずつ前向きに考えられるようになっていきます。

ただ、そもそも大人を信用していなかったり、積極的に人と関わろうとしない(もしくは関わりたくても関われない)子どもと、どのように関係性をつくっていけばよいのでしょうか。今井さんから問題提起がありました。

大事と思ったのは2つです。

まずは、「否定せずに関わる」。
大人の価値観でいい悪いの判断をしたり指摘はせず、ただ話を聞いてあげること。高校生から見たら、やっと話せたのに頭ごなしに意見されたらもう一切話したくなくなります。否定しないことが自主的な関わりを促すことになるそうです。

もう一つは、「好きなことを育てる」。その子が何に関心があるのか、好奇心を持っているのかを探り、伸ばしてあげること。困難な状況にあっても、本当に興味のあることをきっかけに、他者とつながったり、自分の可能性に気づいたりすることは多いと思います。卒業後の進路探しにもつながる大事な視点です。

よく考えると、この2つは、現在の画一的な学校教育にできていないことなのではないか、逆に言えば、D×Pのしていることには今の教育を変えるヒントがあるように思いました。

「パーソナルな財布」と「社会の財布」を連結させる

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後半のトークでは、藤野さんの寄付の話が非常に興味深かったです。
日ごろ考えていることと通じる内容で、終始うなずいていました。

どうして、日本には寄付が根付かないのか。
「日本人にとって、財布(お金)はとてもパーソナルなもので、社会と連結していない。」という指摘は納得でした。

日本では、自分のお金は自分個人に閉じたもので、社会的なつながりを持っていない。寄付するとその分自分のポケットからお金が失われる感覚になってしまう、だから寄付しない、と。

欧米は、神様を通じて社会がつながっている、という考え方なので、寄付してもお金が減るわけではなく、社会全体の財布の中でまわっていく、という発想です。社会の財布の一部としての個人のお金、という感覚でしょうか。

私もいろんなNPOに寄付していますが、これに近い感覚です。

そして、藤野さんによれば、投資が広まらないのもこれと同じ理由です。

例えば、ソニーの株式に投資することは、ソニーという会社の一部を自分の手元に持っておくことなのに、その分のお金がどこかに行ってしまった、と思ってしまう。だから投資したくない。コモンズ投信の渋澤さんが、「invest」は「資本を投げる」ではなく、「in+vest」=「自分のベスト(チョッキ)の中に価値を取り込む」と喩えたりしますが、同じような意味だと思います。

ただ、日本人もお賽銭は出すし、「金は天下のまわりもの」とも言います。禅ではこのような考え方を表す「一如」(=Oneness)という言葉もあるとのこと。

今井さんによると、クラウドファンディングの普及もあり、若い世代は寄付への抵抗感がなくなってきている印象だそうです。投資や寄付が、欧米とは違う日本的なかたちで浸透する余地もあるかもしれません。

ただし、そのためには、藤野さんも言っていた、お金の教育がどうしても必要です。
お金と社会や経済とのつながりを学ぶこと、勤労体験などを通じて働くことの意義を小さいときから知ること。学校だけでなく、金融機関や企業、NPOの役割が大きいのではと思います。


運用会社であるレオスがこういうイベントをするのは大事です。これも大人向けのお金の教育のひとつと言えますね。

藤野さんの今井さん評は「(いい意味で)常人じゃない。突破力がある人」。
短い時間でしたがその一端を知りました。若者・子どもサポートの分野では、PIECESや3keysを支援していますが、D×Pもフォローさせていただきます。