セルフ・リライアンスという生き方

自立した個人として豊かに生きる。長期投資のメモ。

セゾン投信の第15期運用報告会

セゾン投信の15期の運用報告会に参加しました。

今年も残念ながらオンラインでしたが、YouTubeはリアルタイムで500人以上が視聴していました。

達人ファンドの運用状況を中心にメモです。

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セゾン資産形成の達人ファンドの運用状況(15期)

私の個人ポートフォリオで一番投資比率が大きいのが「セゾン資産形成の達人ファンド」です。

今年も、ポートフォリオマネージャーの瀬下哲雄さんの運用状況説明のあと、FCP代表の房前督明さんから評価コメントがありました。

15期の達人ファンドのポイントです。
※第15期:2020/12/10~2021/12/10です。今年に入っての下落は反映していません。

・15期はインデックスに大きく劣後。
 MSCI ACWI配当込(円建て) +30.9%  
 達人ファンド  +23.3%

・パフォーマンスが特によかったのはコムジェスト・ヨーロッパ。(MSCIヨーロッパ配当込:+26.7%に対し、同ファンドは+36.3%)
 悪かったのはコムジェストのエマージングと日本株。特に、コムジェスト・エマージングは指数(MSCIエマージング)がプラスなのにファンドはマイナスだった。

・組入ファンドは9本で昨年から変わらず(入替もなし)。新興国はワクチンの遅れや米利上げへの懸念から敬遠されてきたが、魅力度は増しているので徐々に投資割合を増やしている。「FSSAアジア」の信頼度が高まってきたので目標投資比率を上げ、コムジェスト・エマージングの比率を下げた。
(※)「FSSA アジア・フォーカス・ファンド」は一部日本、オーストラリアなどの企業も組み入れられています。

(参考)2021/12末現在の達人ファンドのポートフォリオ

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房前さんの評価(達人ファンド)

・15期は大きく負けたが、設定来15期累計では依然大きく上回っている。運用目標を十分達成していると言える。
 MSCI ACWI配当込(円建て +190.3%
 達人ファンド +224.0%(超過リターン+33.7%)

・達人ファンドはリスクを抑えた保守的な運用なので、マーケットが下がるときは下がりにくい一方、大きく上がるときは付いていけない。過去の上げ局面では、この原則に反して指数に勝っていたので出来過ぎだった(15期の結果はある意味当然とも言える。)

※15期までの累計(月次ベース)
 ダウンサイドキャプチャーレシオ 82.2%
 アップサイドキャプチャーレシオ 88.6%
 この差が超過リターンの源泉です。

・組入ファンドごとの評価
毎年これが参考になります。指数と、組入後の各サブファンドのリターン・標準偏差を比較しつつ、9本のうち懸念があるものをピックアップ。

<米国株>
BBH・コア・セレクト  

(瀬下さんコメント)
BBHは他の米国株ファンド2本(バンガード米国オポ、AB集中投資)と比べ保守的。上昇局面では置いていかれるが、投資先企業のEPS成長率は指数を上回っており、運用方針にもブレはないので継続投資。

※参考まで、米国株3ファンドの直近の投資先上位10社です。

(バンガード米国オポチュニティファンド)

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(アライアンス・バーンスタインSICAV- コンセントレイテッドUS エクイティ・ポートフォリオ)

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(BBH・コア・セレクト)

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<新興国>
コムジェスト・エマージング:15期は指数に大きくアンダーパフォーム。
(15期:▲5.31% ⇔ 同期間のMSCIエマージング:+10.43%)

(瀬下さんコメント)
投資先のEPS成長率は良好だが株価が付いてきていない。また、EPSの伸び自体も弱まっているが、それらの課題認識はコムジェストとミーティングを通じて共有している。

「FSSAアジア」はバリュエーションが柔軟で(柔軟過ぎるぐらい)、それが結果につながっている。一方、コムジェストは投資判断が厳格なので投資機会を逃している面もある。(これはどちらがいいとは言えないと思います)

 

その他のファンドは全般的に優秀です。
特に、米国株の2本(バンガード米国オポ、AB集中投資)、コムジェスト・ヨーロッパ、FSSAアジア、スパークスの日本株2本(集中投資、長期厳選)は、中長期のシャープレシオで指数を凌駕しており、房前さんのお墨付きでした。

15期は、対インデックスで久々に大きく劣後しましたが、その理由や背景を、運用方針との関連で例年以上に詳しく説明してくれたのは非常によかったと思います。

達人ファンドは、価値と価格の差に注目して相対的に割安なファンドに投資するスタンスを徹底しています。「上昇相場についていけないリスクよりも、高値掴みのリスクを避ける」という瀬下さんのコメントのとおり、昨年のように全部が一本調子で上がる相場に置いて行かれるのはやむを得ないと思います。長い目で見れば、設定来で世界株インデックスを30%以上上回っているのは素晴らしいです。

新興国の割合を増やしているとのことですが、短期的に魅力がないように見える地域や企業群にも、長期的な成長余地が大きければ逆張り的に投資していくのが達人ファンドのいいところなので、今後の成果に期待します。

インベスターリターン

SVGBFと達人ファンドの、インベスターリターンも紹介されました。
※2007年3月15日~2021年12月10日の年率

SVGBF 7.2%(基準価額上昇率は4.5%)
達人F 13.2%(基準価額上昇率は8.3%)

両方ともインベスターリターンが基準価額ベースのリターンを大きく上回っています。これが逆転しているファンドが多い中、この差こそがセゾン投信の訴えてきた長期投資の成果だと思います。

 

最後にCEO中野さんより、運用16年目にあたり、セゾン投信の目指す方向として大きく2つの話がありました。

・生活者の資産形成だけでなく、日本企業の競争力向上と資本市場改革を先導する
・長期投資のコミュニティづくり

前者は、2月に運用開始した「セゾン共創日本ファンド」の立ち上げです。私も投資しました。

また、後者のコミュニティづくりでは、オンラインサロンの開始を準備しているそうです。オンライン上で長期投資仲間でつながる場をつくり、年に1回対面で総会的なものを考えているとのこと。草食投資隊も長いこと活動していませんし、これは楽しみです。