セルフ・リライアンスという生き方

自立した個人として豊かに生きる。長期投資のメモ。

セゾン投信・園部新社長の話

今年6月、セゾン投信は、2006年の創業以来会社を引っ張り大きくしてきた社長の中野晴啓さんが代表取締役会長・CEOに就任し、新しく園部鷹博さんが代表取締役社長・COOに就任する新体制を発表しました。

新体制のお披露目ということで、園部新社長と、中野新会長の講演があった11/3のセミナーを視聴したので、感想とメモです。

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(以前オフィスにお邪魔した時の写真を加工してみました)

中野・園部の2トップ体制へ

まず、中野さんから、今回の経営体制変更の理由について。
中野さんは、投信の直販モデルで「3,000億円の資産残高」「顧客10万人」という、創業時に描いた目標が達成できたことが一つの節目だったと話しました。(顧客はすでに約15万人です。)

また、コロナの影響で、全国を駆け回っていたセミナースケジュールが急に空き、バーンアウト気味となってしまった心境を語っていました。逆に言えば、今後のことをじっくり考える時間ができたのでしょう。

独立系投信の共通の課題が「後継者」です。特にセゾン投信は、中野さんが会社の「顔」であり、セゾン投信と言えば中野さん、というイメージが浸透しているので、中野さんが57歳という早めのタイミングで後継を示したのはいいことだと思います。

今後は、中野CEOと園部COOの2トップ体制となります。中野さんが経営の基本的な方向性の判断を行い、園部さんがその方針に基づいて業務全体の執行責任を負います。

2人体制とした理由については、いきなり全部引き継いでしまうと経営が断絶してしまうので、時間をかけて少しずつ園部さんにバトンをつないでいきたいとのことでした。


新代表就任! セゾン投信2.0 ~お客さまを最優先にした会社であり続けるために~ 代表取締役会長CEO 中野晴啓

変わらない理念・価値観

その後、園部新社長が登壇。
園部さんは、さわかみ投信、ドイチェを経て2018年にセゾン投信に入社。中野さんより一回り下の1975年生まれです。中野さんとは長い付き合いで、投信業界をよくしたいという想いは共通しており、以前から中野さんからずっと「一緒にやろう」とラブコールを受けていました。園部さんは2007年のセゾン投信の運用開始時からの受益者でもあります。

当初は、同じ会社で働くことにためらいもあったそうですが、「意見が違えば喧嘩すればいい」「自分が裸の王様になるのは業界にとってよくない」との中野さんの言葉に、2年前に入社を決心しました。

園部新社長からは、運用哲学の再確認ということで、以下のお話がありました。
・なぜマーケット予想は愚行なのか?
・直接販売の魅力を再定義

中野さんが後継に選んだ方です。「創業来のセゾン投信の理念や価値観は一切変えない」との園部さんの言葉には曇りがなく安心しました。

短期の値動きは予測できない、世界と企業の長期的な成長を考えること、積立投資の大切さ、国際分散投資の重要性・・・いつものセゾン投信と何も変わりませんでした。


新代表就任! セゾン投信2.0 ~お客さまを最優先にした会社であり続けるために~ 代表取締役社長COO 園部鷹博

ただ、せっかく新体制となり、「第二の創業期」というからには、セゾン投信が築いてきた、顧客と直接つながる直販モデルの価値をさらに磨き上げていく必要があります。

今後については、お二人からこのような発言がありました。

・受益者のコミュニティ
「長期投資家が集う圧倒的なコミュニティをつくる。」(中野)
「価値観を共有する受益者同士で、不安や悩みを共有できるようにしたい。」(園部)

・顧客との関係性
「人生100年時代、生涯軸で『お金を育てながら使っていく』ための仕組みをつくる。」(中野)
「売ったらほったらかし、ということは絶対にしない。資産形成期&活用期まで長くお客様に寄り添う。」(園部)

具体的な取り組みとして、「セゾン定期便」(定期換金サービス)や、LINEアカウントなどが始まっています。さらに、真に顧客に寄り添うため、受益者向けの個別相談(ファイナンシャルアドバイス)サービスを検討しているとのこと。

定期換金サービス~セゾン定期便~

セゾン投信、「LINEを活用した情報配信」と「有人チャットサービス」を開始 :日本経済新聞

セゾン投信は、パッシブの「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」(SVGBF)と、アクティブの「セゾン資産形成の達人ファンド」を運用しています。(私は達人ファンドのみ保有)
近年のインデックスファンドの低コスト化で、SVGBFは価格競争力という意味では厳しくなっています。今までも、インベスターリターンの開示など、コストだけではない、顧客と直につながる運用会社ならではの情報提供やサポートに力を入れてきましたが、新体制になって、この部分を一層強化していきます。

純資産3,000億円を超えた今、「お客様を最優先した運用会社であり続ける」セゾン投信の真価がこれからまさに問われると思います。

園部さんは、ソフトな語り口で、とても親しみやすい印象でした。

以前、社長交代のニュースを知った時にこんなブログを書きました。

その時は、中野さんは思い切って全て園部さんに引き継いでもいいのでは?と書きましたが、お二人の話を聞いて、2トップ体制の意味は理解できたので、見守りたいと思います。

達人ファンドは私の個人ポートフォリオの中で一番大きい割合を占めます。セゾン投信の次の一手に期待しながら、積立を続けます。