セルフ・リライアンスという生き方

自立した個人として豊かに生きる。長期投資のメモ。

セゾン投信の第12期運用報告会

3/16に、満12年を迎えたセゾン投信の運用報告会に参加しました。

セゾン投信は、2007年3月15日に運用開始しました。直販の顧客は14万人、2ファンドの預り資産残高は2,500億円に達し、名実ともに日本を代表する独立系投信会社となっています。

セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドと、セゾン資産形成の達人ファンド、2つの運用ファンドのうち、私はアクティブの「達人ファンド」を積み立てています。
達人ファンドを中心に、ポイントと感じたことをメモ。

f:id:shimo1974:20190321221447j:plain

セゾン資産形成の達人ファンドの運用状況

達人ファンドについては、前記事で詳しく書きました。

12期は、参考指数(MSCI ACWI:▲3.0%)に対して、達人ファンド:▲3.8%とやや劣後。ただし、設定来では、12期中8期で上回っており、累計では参考指数よりも+27.7%。アクティブファンドとしてはかなり強いです。

- 価格を予測しない、中長期の価値を見極める。
- 価値に対して割安なものにのみ投資する。
- 相場動向に流されない。自分たちのやり方を決して変えない。

運用部長の瀬下さんは毎年同じことを言っています。この愚直さがいいですね。

外部アドバイザーの房前さんも言っていましたが、短期的に大勝ちするファンドではなく、長期でコンスタントにリターンを積み上げられるファンドこそいいアクティブファンドです。将来は分かりませんが、少なくともこれまでの達人ファンドは、まさにそうだと思います。

達人ファンドは、現在9本のサブファンドに投資しています。

過去リターン及び房前さんの評価によれば、各ファンドのパフォーマンスはざっくりこんな感じ。(投資開始時期が違う点は注意)
A:文句なし、B:まずまず、C:まだまだ(もしくは投資期間が浅いもの)

A:バンガード米国オポ、コムジェスト欧州、コムジェストエマージング、スパークス集中投資、スパークス長期厳選
B:アライアンスバーンスタイン米国集中、コムジェスト日本株
C:BBHコアセレクト、スパークスワンアジア

個々の組み入れファンドのパフォーマンスには凸凹がありますが、地域別割合、戦略の違い、セクターや企業規模などを考慮した、FoFsのポートフォリオ全体として意味があると思うので、長い目で見ています。

最後に、ファンド評価の指標の一つとして、アップサイド/ダウンサイドキャプチャーレシオが紹介されました。簡単に言うと、市場が1上がった(下がった)場合に、ファンドがどれだけ上がった(下がった)かを示す値です。

達人ファンドは、2007年4月から2018年11月の月次ベースで、アップサイドが88.0%、ダウンサイドが80.3%です。上昇相場ではそこそこ付いていき、下落相場では下がりにくい、この差が少しずつ積みあがって今の累積リターンになっています。

なお、報告会終了後、瀬下さんに、達人ファンドの目標地域別配分は実際のところどう決めているのか質問しました。目論見書等で開示していないのでここでは書けませんが、個人的に引っかかっていた点が大分納得できました。この点は運用報告などで説明してくれると、達人ファンドの考え方がより伝わるのではないかと思います。

中野社長スピーチ

今年も熱い言葉の数々でした。

一番感じたのは、セゾン投信が伝え続けてきた「直販へのこだわり」です。
ファンドは、運用会社だけでなく、運用会社の思想に共感して長く関わる受益者が運用会社と一緒に作り上げていくもの、というのがセゾン投信の基本的な考え方だと思います。「セゾン号」という表現にもそれが表れています。

f:id:shimo1974:20190321221619j:plain

良質な顧客による安定的な資金流入は運用を根っこで支えます。
いいファンドとは、商品そのものだけでなく、受益者の投資行動やマインドも含めて初めて成り立つものです。そういう意味で、販売会社を通さず「お客を選ぶ」のは運用会社として真っ当な姿です。

具体的なKPIとして、「平均保有期間」「インベスターリターン」が紹介されました。

セゾン投信の平均保有期間は10年だそうです。これは毎年平均10%の顧客が解約する計算です。今でも十分長いですが、これを20年にするのが目標とのこと。今のやり方を続ければ十分可能ではないでしょうか。

インベスターリターンは、セゾン投信が特に重視する指標です。
SVGBF、達人ファンドともに、基準価額の上昇率よりもインベスターリターン(実際の受益者の金額加重平均リターン)が上回っています。これは、相場に流されて高値購入や安値解約などムダな投資行動をとらず、積立によってファンドのリターン以上の成果を享受できている顧客が多いことを意味します。

平均3割近い年率リターンを達成していたマゼランファンドですら、7割の投資家が損していた、という話も紹介されましたが、セゾン投信のインベスターリターンの高さは評価されるべきと思います。

(参考)席上配布資料より
・セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド 
 設定来リターン 3.1%/年
 インベスターリターン 5.8%/年

・セゾン資産形成の達人ファンド
 設定来リターン 6.3%/年
 インベスターリターン 8.9%/年

「もっぱら『長期投資』だけを掲げて、経営として成立することを示せたのは誇り。」という言葉が印象的でした。これからもあせらず着実に成長していってください。