8/1にミュージックセキュリティーズのトークイベントに参加しました。
登壇者は、顧客担当役員に就任された杉山章子さんと、草創期から同社に参画し、今はクルミドコーヒー店主でもある影山知明さん。セキュリテのサイトで、「ゆっくり、いそげ?~セキュリテ自由帳~」というお二人のコラボブログが始まったのを機に開催されました。
ミュージックセキュリティーズは、2000年の音楽ファンドに始まり、2007年の純米酒ファンドで事業者への出資を開始、2009年にマイクロ投資プラットフォーム「セキュリテ」となり、個人の応援と共感のお金を、志ある事業者に届けてきました。現在までのファンド組成総額は71億円、ファンド数は700本以上にのぼります。
そんなセキュリテの今までとこれからについて、お二人が本音で語りました。
影山さんは、クルミドコーヒーの経営者として資金を受け取る側の立場でもあります。
クルミドコーヒー・影山知明さんとの対話「続・ゆっくり、いそげ~いのちの形をした経済」(1/18 池袋コミュニティ・カレッジ)
印象に残ったのは、影山さんの著書にも出てくる「Take」と「Give」の話。
セキュリテは、「自分が利益を得たい」という「Take」ではなく「この事業者を応援したい」という個人の「Give」の気持ちから始まるお金の流れをつくってきました。
私もセキュリテのファンドに投資する中で、「Give」の動機は実感します。
投資=「お金を増やすこと」だと誰もが思いますが、いい事業を応援できる、いい会社とつながれる、あるいは投資を通じて社会づくりに参加できる、という「お金でないリターン」を意識した瞬間、投資の価値は、単なるお金のやり取り以上の別次元のものに変わり始めます。そして、それはお金を出す側だけでなく、お金を受け取る側にとっても同じです。
セキュリテのような金融が広まれば、個人のお金との関わり方も変わっていくし、社会全体がいい方向にまわっていくのではないでしょうか。
一方で、課題もあります。
セキュリテの投資家のうち約半数が、リピーターになっていない(ひとつのファンドに投資しただけ)そうです。コアな常連投資家層が多いと思っていたので意外でした。
投資家特典やツアーだけでなく、投資家と事業者がより密にコミュニケーションしたり、投資家が投資を通じた社会参加をより実感できるような場づくりについても話に上りました。
ここは事業者側、投資家側両方の課題だと思います。自分も出資したきりになっているものも結構あるので。。
また、杉山さんから、セキュリテは今まで「マイクロ投資プラットフォーム」でしたが、「インパクト投資プラットフォーム」とキャッチコピーを変え、社会的価値をより意識した金融を目指すとのお話がありました。
ファンド組成や審査、評価のあり方も、今まで以上に「社会的インパクト」を意識していくそうです。
近年、寄付型・購入型のクラウドファンディング、投資型のソーシャルレンディングなどたくさんのサービスが出てきましたが、金融商品取引業者として、一番古くから新しい仕組みをつくってきたミュージックセキュリティーズの存在は大きいです。
私がセキュリテに投資し始めてまだ2年も経っていませんが、投資家、事業者、社会全体によりよい価値を提供できる「インパクト投資プラットフォーム」として大きくなってもらいたいと思います。
影山さんが、「お金を受け取ってお金で返す」のではなく「お金を受け取ってお金以外のものも返す」というお話、どこかで聞いたなと思ったら、鎌倉投信・新井さんの「お金で預かって幸せで返す」と通じると思いました。