セルフ・リライアンスという生き方

自立した個人として豊かに生きる。長期投資のメモ。

テラ・ルネッサンス世界会議2018(東京会場・6/9)

認定NPO法人テラ・ルネッサンスの世界各国のスタッフが一同に会する「世界会議」が6年ぶりに開かれました。今回は東京、京都など全国6都市をキャラバンします。

アジア、アフリカで日々活動しているスタッフの声を直接聞き、テラ・ルネッサンスの理念を支援者と共有する場でした。

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◎海外スタッフによるスピーチ
 オテマ・ジミーさん(ウガンダ)、サムリット・ラウさん(カンボジア)

◎演出家 平田大一さん講演

◎パネルディスカッション
 平田大一さん、小川真吾さん(理事長)、トシャ・マギーさん(アフリカ事業コーディネーター)、鬼丸昌也さん(理事・創設者)

テラ・ルネッサンス仲間のsachicoさんもブログを残してくださっています。

This is Terra Renaissance.テラルネッサンス世界会議2018年東京大会に参加してきました - sachico’s blog

私は、みなさんの印象に残った言葉をメモしておきます。

オテマ・ジミーさん(ウガンダ事務所長)

職業訓練を受けて卒業した元子ども兵たちが、今度は自分のまわりの人に技術を教え、サポートする側にまわっていくのはうれしいことです。彼らの収入が向上し、自立し、成長する姿から、自分もモチベーションをもらっています。

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サムリット・ラウさん(カンボジア事務所)

村では、地雷で足を失った私を、障がい者というだけの理由で嫌う人もいました。しかし、テラ・ルネッサンスで働き始め、読み書きもできるようになり、裁縫の技術を教えることで自信がつきました。
貧しかったり、障がいがある人も未来をつくる「主体者」になれるのです。

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ジミーさん、ラウさんは、紛争の影響で辛い過去を経験していますが、テラ・ルネッサンスと出会って人生を変えてきました。当事者の言葉はとても響きます。

 

演出家・平田大一さん

沖縄で、地元の中高生が演じる舞台「肝高の阿麻和利」(※)の演出家として、人づくりと地域活性化に取り組む平田さん。初めて話を聴きましたが、惹きつけられる言葉の力を持った凄い方でした。笑いもあり、琉球の歌や太鼓も披露してくれて、講演というよりひとり舞台、ライブ、というのがぴったりでした。

(※)沖縄県うるま市の中高校生が出演している現代版組踊「肝高の阿麻和利」。沖縄に古くから伝わる伝統芸能「組踊」をベースに、現代音楽とダンスを取り入れて、勝連城10代目城主「阿麻和利」の半生を描く、いわば「沖縄版ミュージカル」。 1999年に、当時の勝連町教育委員会が、子ども達の感動体験と居場所づくり、ふるさと再発見・子どもと大人が参画する地域おこしを目的に企画したものです。(公式サイトより)

自分は舞台づくりを通して、舞台ではなく人をつくっています。人づくりのタネは「感動体験」にあります。

チームづくりの方程式は「面倒見のよいリーダーを見つけること」。どんな組織でも、他人に安心感を与えることができる人がリーダのーの絶対条件です。

可能性を引き出す指導法は「ほめ出し7、ダメ出し3」。あくまで順番は「ほめる」のが先です。きちんとほめた上でのダメ出しは、ダメ出しではなくアドバイスになるので相手は受け入れてくれます。

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平田さんは、舞台づくりを通して子どもたちの本来もっている可能性を引き出しています。全く分野は違いますが、紛争被害者の前向きな力を引き出し、自立を支援するテラ・ルネッサンスと共通する要素が多いことに驚きました。

 

小川真吾さん(テラ・ルネッサンス理事長)

従来の「援助」は「相手のないものを探してそれを満たす」やり方でした。しかし、それでは問題は解決しません。
紛争で辛い経験をしてきた若者達は、最初は「どうせ自分は何もできない」という「できない物語」ばかり語ります。これを自己肯定感=「できる物語」に変えていくのが私たちの支援です。そして、その変化を起こすのは、他者への貢献を通じて得られる自信=自尊心です。

テラ・ルネッサンスは、自尊心やレジリエンスといった考え方をとても重視しています。平田さんの舞台でも、親や学校に不信感を持ち、自己肯定感の低かった子どもたちが、チームで演じ、表現することで自分たちにも「できる」と気づいていきます。

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トシャ・マギーさん(アフリカ事業コーディネーター)

支援する相手を「元子ども兵」「受益者」とは決して言いません。同じ人間として、自分自身を見るように接しています。そして、どんな人でもその人の中に何かがある、と信じて人を見ることを大切にしています。

トシャの話は、 "human being" がキーワードになっていると思います。

認定NPO法人テラ・ルネッサンス設立15周年記念イベント(東京・11/12)(その2:トシャ・マギーさん講演)

 

鬼丸昌也さん(創設者・理事)

テラ・ルネッサンスの支援はひとりひとりの「らしさ」を取り戻すもの。
相手は決して本来的に弱い存在ではない、と考えるのが私たちの支援の出発点です。どんな人にも課題を乗り越える力が本来備わっているし、私たちスタッフやサポーターにも、変化を起こす力が内在しているはずです。

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他者への貢献や社会とのつながりを通して人は自己肯定感を高め、本来の前向きな力を引き出せるということ。つまり、「人は変われる」ということ。そして誰もがそれぞれの役割のもとで、その変化を起こす当事者になれるということ。

テラ・ルネッサンスの考え方は、国内、国外あるいは営利、非営利に関わらず、あらゆる組織やコミュニティに共通する大切なものだと思っています。それがテラ・ルネッサンスに個人的に関わっている大きな動機の一つです。「支援」とは何か、再確認できる場となりました。

懇親パーティでは、平田さんの三線に合わせてアジア、アフリカ、日本のみんなが踊りました。一体感があって素晴らしいイベントでした。sachicoさんと同じく、さらにテラ・ルネッサンスが好きになりました。

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音楽は言葉や国境を超えます。

【関連記事】
鬼丸昌也さんの本。

平和をつくるを仕事にする(テラ・ルネッサンス 鬼丸昌也さん・著)【読了】