セルフ・リライアンスという生き方

自立した個人として豊かに生きる。長期投資のメモ。

鎌倉投信(結い2101)がプロトコーポレーションに新規投資

鎌倉投信(結い2101)の新たな投資先企業が、月次レポート(結いだより)で開示されました。
中古車販売サイト「グーネット」を運営する、プロトコーポレーション(4298)です。

鎌倉投信の評価

結いだより155号で、会社の概要と投資した理由が説明されています。

・1977年創業。本社は愛知県。中古車サイト「グーネット」 を中心としたモビリティ関連情報の提供がメイン。タイヤやホイールの販売も行う。社員数は連結で1,302名(2022年3月末)

・現会長の横山博一氏が中古車探しに苦労した経験が創業の原点。中古車流通での売り手と買い手の情報の非対称性の解消に貢献。

・近年はモビリティ業界のDX化に注力。顧客企業の業務効率化を支援。

鎌倉投信の投資視点は「人」です。「挑戦により変化を生み出す、いい会社」とあり、常に挑戦する企業文化が根付いている会社と評価しています。

投資先のいい会社紹介 | 鎌倉投信

経営理念が浸透し、挑戦する文化が根付き、実践していることを高く評価しています。モビリティ業界における変化を機会と捉えて成長してきた軌跡にとらわれず、あくなき挑戦により、「夢、感動、楽しい!」を追求し、社会的な価値を創造しつづけていくことを期待しています。

「プロト」は個性、実現、独創的、総合的、提供の頭文字だそうです。

PROTO

事業内容

※以下は、鎌倉投信の見解ではなく、私がIR資料等より拾ってまとめたものです。

四季報ONLINEでは「中古車サイトの広告収入・情報料が柱。整備・新車領域拡充。タイヤ他物販。チケット販売参入」とあります。

事業セグメントは、大きく、広告収入や情報関連の「プラットフォーム事業」と、タイヤ販売などの「コマース事業」の2つに分かれます。このうち、メインのプラットフォーム事業が営業利益の9割以上を稼いでいます(2022年3月期)。

そこで、メインのプラットフォーム事業をざっと見てみました。グーネットと言えば「カーと言えばグー」のCMで誰でも知っているのではないでしょうか。

プラットフォーム事業は、私たちエンドユーザーと中古車販売店をつなぎ、販売店から手数料をもらうビジネスです。「グーネット」だけでなく、整備工場版の「グーネットピット」もあります。

そして、サイトへの広告掲載だけでなく、中古車、整備、新車の3領域で、業務効率化や販売支援のためのデータベースやシステムを販売店や整備工場などの顧客企業に提供しています。グーネットの取引店舗数のシェアは約6割に上ります。

取引店舗数と、1店舗当たりの手数料・利用料を増やすことが売上増になります。解約率が「2.0%」なのは低い印象です。

一般消費者から見ると「中古車販売サイトの運営会社」ですが、その実は自動車流通業界を広くカバーするデータプラットフォーム企業です。かつては紙の中古車情報誌を出していた会社が、時代に合わせて変化していくところに企業の強さや面白さがあると感じました。

こちらのwantedlyの記事が参考になりました。

業績・財務

簡単に業績数字も見てみました。

売上高と営業利益の推移。2022年3月期の売上高は574億円、営業利益は64億円(営業利益率11.2%)。営業利益率は近年上昇傾向です。

2023年3月期の売上高(会社予想)は950億円と大きく伸びる予定ですが、買収したチケットショップ事業のコスミック社が連結対象になるのが主な理由です。

キャッシュフローの推移。営業キャッシュフローは安定してプラスです。

ROE、ROAの推移。2016年は減損を計上し最終赤字となっています。2019年以降は、最後に載せている事業ポートフォリオの見直し等により資本効率が上昇しており、2022年3月期のROEは15.4%まで高まりました。

なお、自己資本比率は直近で69%とまずまず高めです。

EPSの推移(過去の分割も考慮)。2019年以降は収益性の改善で増加しています。

中期経営計画(2022/3~2025/3)における財務目標は、「売上高1,250億円、営業利益100億円、ROE12%以上」です。

下図のとおり、ROICを用いた事業ポートフォリオ見直しもアピールしており、この企業規模としては財務面でも比較的進んでいるのではないでしょうか。

2/6時点の予想PERは10.3倍、PBRは1.19倍です。

M&Aにも引き続き取り組む姿勢を見せており、これからも変化が期待できる会社という印象です。今後の受益者総会や「いい会社訪問」などで、鎌倉投信が評価した「人」の部分も含めたこの会社の強みを知ることができればと思います。