セルフ・リライアンスという生き方

投資信託を中心にいい会社、いい事業にコツコツ長期投資しています。 社会とつながるソーシャルな投資や寄付も実践中。

幸せな人は「お金」と「働く」を知っている(鎌倉投信 新井和宏さん・著)【読了】

鎌倉投信の運用責任者、新井和宏さんの新著です。

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新井和宏さんの「お金と人生」の授業

「お金」とは何か? 「働く」とは何か? そして「幸せ」とは何か? という人生の大きな3つのテーマに真正面から答えた本です。

新井さんは、鎌倉投信のファンドマネージャーとしての運用業務のかたわら、高校でお金の意味を学ぶ授業を行ったり、大学でも社会起業論の講義を持ったりしています。

新井さんは今までの2冊の本、『投資は「きれいごと」で成功する』、『持続可能な資本主義』で、お金や会社の本来の役割について伝えてきました。

3冊目のこの本は、将来を担う若い人たちに向けて、そんな新井さんが行ってきた「お金の授業」のエッセンスがつまった、「お金と人生」についてのメッセージとなっています。

お金は手段であって目的ではない

人生を生きる目的は「幸せ」になることであって、その目的を果たすための手段の一つとして「お金」が存在するだけなのです。」(p77より)

そんなの当たり前だ、分かっている、と言う人も、日常的に「お金がもっとあればいいのに」「年収が○○あれば楽なのに」「生活のために働かないと」と言ったり思ったりしています。程度の差はあれ、ほとんどの人が無意識のうちに「お金の呪縛」に囚われているのではないでしょうか。

個人だけでなく、会社がブラック企業化するのも、創業時の志を忘れ、いつの間にか短期的な利益や株主偏重となってしまう、つまり、お金が手段ではなく目的化してしまうためです。

新井さんは、お金は「手段」に過ぎないのだから、それ自体はいいものでも悪いものでもなく、お金との付き合い方が大事だと言います。お金との関わり方にはその人の価値観が現れるからです。お金をどう使うか生き方も変わるし、社会も変わっていきます。

これは鎌倉投信の社長の鎌田さんもよく話す言葉です。社会に必要とされる会社と、個人のお金をつないでいる鎌倉投信とその受益者、投資先の企業はそうした価値観の集合体といえます。

また、「人を手段化しない経済」を提示した、クルミドコーヒー・影山知明さんともベクトルがとても近いと思いました。

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「働く」ことは他者への貢献

生活のために、働いてお金を稼ぐことはもちろん必要です。ただ、仕事=お金のため100%では決して幸せになれません。だから、お金のためだけに働くのはやめようと新井さんは言います。

働くことは、傍(はた)を楽にすること。つまり、他人の役に立つことが働くことの意味であって、お金はその感謝の対価です。
もちろん、お金持ちでも幸せな人もたくさんいますが、それは資産が多いから幸せなのではなく、仕事や事業を通じて社会での役割を果たし、貢献している意識を持っているからでしょう。

自分は企業を辞めて独立して約10年になります。組織かフリー、どちらがやりがいを感じられるかは人次第ですが、独立してよかった=仕事が楽しい、と思うのは、少なくとも自分の場合は、確かに「他人の役に立てている実感」が組織で働くよりも持てているからだと思います。

「幸せ」は自分で決めるもの

人が目指すべき幸せは他者との比較による相対的な目標ではなく、自分の中にだけある絶対的なものなのだとようやく気づいたのです。」(p118)

この本の最後のメッセージは、「自分自身の幸せの物差しをもつ」という、当たり前だけどとても大事なことです。

もはや大企業に入れば安泰という時代ではないし、仕事以外の分野でも多様な生き方が認められる時代になってきました。逆に言えば、昔と違って、視野を広く持ち、「自分の幸せの基準」を若いうちからしっかり考えていけるチャンスだと思います。

自分も、新卒時は規模だけは日本一に近い超大企業に入社しましたが、結局組織で働くことが自分の基準とは違うことに30歳前で気づき、鑑定士での独立へとシフトしました。
自分が学生の時もまさにそうでしたが、まわりに流されて、大きい会社、知名度のある会社、年収の高い会社をとりあえず選ぼうとする学生たちに、ぜひ読んでもらいたいです。

そして、いろんな幸せのかたちがある中で、新井さんが示す理想形は、やはり「他者への貢献」そして「利他と利己の一致」です。

どんな事業も仕事も、他人のため100%では疲れてしまうので、社会のため=自分も幸せで楽しくなければ続きません。自分はこの境地には全然達していませんが、最近はそういう方をたくさん見ているので、言わんとすることはよく分かります。

大人も自分も見つめなおせる

個人的にも、ここ数年来、鎌倉投信の新井さんや鎌田さんには、まさに「お金との付き合い方」について大きく影響を受け、とても感謝しています。改めてウンウンとうなずきながら読みました。

運用会社のファンドマネージャー新井さんが書いていますが、これはマネー本では全くなく、人生本です。若者向けのメッセージでありつつ、現代社会に生きる大人たちが忘れそうになっている大切なことを教えてくれます。

幸せな人は「お金」と「働く」を知っている
新井和宏
イースト・プレス (2017-07-15)
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