セルフ・リライアンスという生き方

自立した個人として豊かに生きる。長期投資のメモ。

石坂産業の工場見学ツアーに参加して

「NPO法人いい会社をふやしましょう」主催の、石坂産業の工場見学ツアーに参加しました。

石坂産業は、埼玉県三芳町に本社を置く、産業廃棄物中間処理業を営む社員数100人ほどの会社です。環境と地域との共生を追求する新しいビジネスモデルで、国内外から注目されています。昨年は3,000人の見学者、視察者が訪れています。

今回の見学会に参加したのは、今年8月の同NPOの「いい会社の理念経営塾」で、社長の石坂典子さんのお話を聞いたのがきっかけです。

実際に訪問して、処理プラントの高い技術と環境配慮体制の徹底ぶり、里山再生や地域との協働の取り組みに触れられたのはもちろんですが、改めて感じたのは、石坂社長の経営力と、石坂産業の組織力、人の力です。

<処理プラント内。>

<選別作業の様子。>

メディアでは、女性が圧倒的に少ない産廃処理業界で、倒産寸前の状態から会社を再生させ、新しいモデルを創り出した石坂社長の実行力やリーダーシップがよく取り上げられています。

「女性経営者」とか「環境」「地域共生」といったワードはたしかにキャッチーです。

しかし、石坂社長の凄い点は、このようなトップダウン的なリーダーシップだけではなく、社員ひとりひとりに会社の理念を浸透させ、一つの方向へと動機づける力や、顧客・取引さや地元の人たち、周囲の人たちを引き込み、価値観を共有させていく熱意の強さではないかと感じます。

社員の人と実際に話したり、工場や会社の中を見させてもらうことを通じて、このことが実感できました。

<鎌倉投信新井さんと石坂社長。>

石坂社長ご自身も、同NPOの理事でもある鎌倉投信新井さんとのセッションの中で、社長になって12年間一番大変だったことは?との問いに、社員や創業者(父親)に事業の方向転換を理解してもらうまでの苦労を挙げていました。

組織づくりや社員とのコミュニケーションにおいても、社長・上層部から末端の社員(派遣社員や外国人労働者なども含めて)全員が、会社の方向性を同じ目線で理解するための「ベクトル合わせ」を常に最優先に考えてきたそうです。

外部(社会)に対して一方的に発信するだけではなくて、「外部から会社へと呼び込むことも企業の役割」であるとか、「会社と社会の共育(ともいく、共に育つ)を目指す」という言葉にもそういった考え方が詰まっていると思います。

新井さんも、「実際に歩き回って五感で感じてほしい」と言っていましたが、確かに実際に目で見て、歩いて、石坂産業の凄さが体感できました。

子供から大人まで、環境や廃棄物について学べるのはもちろんですが、働き方や社会との関わり方について、視野を広げられるのではないかと思います。

<「くぬぎの森カフェ」で地産地消の「三富弁当」を頂きました。>

<農産物の6次産業化商品や、地元産直品を販売する「寄り道の駅」。>

来年には、地域住民や来訪者との交流施設「くぬぎの森交流プラザ」も竣工しますし、常に進化を続けています。里山は四季折々の姿が楽しめるということで、また行ければと思います。